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チオロシュ次期農業・農村担当委員が公聴会でCAPの将来像などについて説明(EU)

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直接支払いは最低限の所得水準を保証すべきとの見解

 欧州委員会の次期農業・農村担当委員として指名されているルーマニア出身のチオロシュ氏に対する欧州議会公聴会が2010年1月15日に開催された。共通農業政策(CAP)改革に情熱を注いだフィッシャー・ボエル現委員の路線にどの程度変更がなされるのかという点に関心が集まったが、第一の柱である直接支払いについて、所得保証の必要性や配分の不均衡是正といった観点から、引き続きその支援を強力に推進すべきであると強調された点が注目された。

 表1は、欧州議会のプレスリリースをもとに公聴会の主要な質疑を整理したものであるが、CAPの改革の必要性に言及しながらも、改革の意味するところは財政支援の削減ではなく、新たな試練に対処するために適応することと説明するなど、CAP予算の確保に対する並々ならぬ情熱が感じられる内容となっている。

表1 2010年1月15日に実施された欧州議会によるチオロシュ次期委員公聴会の質疑概要
表1 2010年1月15日に実施された欧州議会によるチオロシュ次期委員公聴会の質疑概要
 なお、CAPについては、第一の柱である直接支払いから第二の柱である農村開発への財源の再配分(モジュレーション)が進行中であり、生産者に対する直接的支援が順次縮小し、間接的支援に移行しつつある。しかし、今般チオロシュ次期委員が改めて第一の柱の意義を強調したことは、同氏がフィッシャー・ボエル委員の進めてきた路線とは別の改革を目指していることの表れと言えよう。

食肉関係団体関係者はCAP改革の路線変更を予期

 当地のある食肉団体関係者は、2009年12月に22加盟国の農業大臣が第一の柱による強力な支援の維持と農業予算削減反対を内容とする要請を欧州委員会に行ったことに触れ、チオロシュ次期委員のCAPに対する姿勢は、第一の柱による強力な支援の必要性を唱えるなどフィッシャー・ボエル委員とは異なるとみられることから、同氏の委員就任後にCAP改革の路線変更が行われることになろうとの見解を示している。この関係者は、いずれにしても、各新任委員の優先課題の設定が2010年3月までに整うとみられることから、2010年の下期には2013年以降のCAPに関する意見交換が活発化する可能性があるとみており、今後の動向が注目される。
【前間 聡 平成22年1月22日発】
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