ジョン・ダッリ委員、2012年以降も採卵鶏のケージ飼養容認を求める要請を却下(EU)
ポーランドは採卵鶏の飼養基準改善に係る指令の施行を2017年1月まで先送りするよう書面で要請
EUにおいては、採卵鶏の保護のための最低基準に関する理事会指令(1999/74/EC)により、2012年1月以降、採卵鶏をバタリーケージなどの従来型のケージにより飼養することが全面的に禁止されることとなるため、全加盟国において従来型のケージ方式から、2012年以降も飼養が認められるエンリッチドケージ方式注1への変更が急務となっている。しかしながら、ポーランドは2010年2月8日付で、同指令の施行を2017年1月まで5年間先送りするよう書面による要請を行った注2。欧州委員会に提出された同要請書には、当該指令の施行先送りの理由として、ポーランド国内の採卵鶏経営591戸のうち、エンリッチドケージを導入済みであるのは99戸(17%)に過ぎず、残りの492戸(83%)は従来型のケージ方式による飼養を継続している一方、近年の経済危機により採卵鶏経営の財務基盤が脆弱化したため、飼養方式変更への投資が十分確保できないことが挙げられている。
ジョン・ダッリ委員は、飼養方式の転換に既存の農村開発プログラムの活用を検討するよう促す形でポーランド提案を却下
この要請については、2010年2月22日の農相理事会で議論されたが、ジョン・ダッリ委員(保健・消費者政策担当)は、同指令の適用までにポーランド国内の採卵鶏経営を規定された基準に適合させるべく、共通農業政策の枠組みの下で実施されている既存の農村開発プログラムの活用を検討するよう促す形で、ポーランドの要請を却下した注3。
もともとポーランドの要請が認められるとは考えにくい状況であったが、同指令の施行まで1年10カ月余りとなった段階で過去の議論を蒸し返さざるを得なかったポーランドの窮状をうかがい知ることができよう。
【前間 聡 平成22年2月26日発】
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