養豚経営状況に関する統計を公表(EU)
繁殖用めす豚飼養はデンマークを含む6カ国で3分の2以上を占める
今般、EU統計局(EUROSTAT)が養豚経営状況に関する統計を公表した。
この統計によると、EUの豚生産は、デンマーク、ドイツ、スペイン、フランス、オランダ、ポーランドなどに集中しており、繁殖用めす豚については、3分の2以上が上記6カ国で飼養されている。地域(県)レベルで見ても、その半分が11地域に集中して飼養されており、これら地域は、全てこの6カ国のいずれかに属している。
また、各加盟国の農業粗生産額に占める養豚の割合を見ると、EUの主要豚肉輸出国であるデンマークが一番高く、29%となっており、ベルギー(20%)、ポーランド(15%)、マルタ、キプロス(共に14%)、ドイツ(13%)が続いている。
EU12では小規模経営(400頭未満)の割合が6割
養豚農家の経営規模を見ると、2004年5月以降に加盟した12カ国(以下「EU12」という。)では、主要豚肉生産国の一つであるポーランドが、飼養頭数400頭以上の大規模農家の割合がEU12では最も高く、21.6%となっている。これに対し、2007年1月に加盟したルーマニア、ブルガリアでは10頭未満の農家割合がそれぞれ66.2%、34.8%と高く、EU12全体では400頭未満の経営は全体の6割となっており、依然、小規模農家が多いことが分かる。一方、2004年以前に加盟したEU15カ国を見ると、400頭以上の農家の割合は、アイルランドやデンマークなど9カ国で9割以上となっている。
2008年の域内の豚生体取引は20万トンに
図3、4は2008年の域内生体取引状況を示しているが、体重50キログラム未満の豚の取引数量は20万トンに達しており、これを子豚(平均体重25キログラム)に換算すると8百万頭に相当することとなっている。(図3)
デンマークは子豚の主要輸出国となっており、EU取引全体の74%を占め、そのほとんどがドイツに輸出されている。また、ドイツの子豚の輸入量は、同77%となっている。繁殖用めす豚の取引についても同様に、デンマークが主要輸出国(同23%)、ドイツが主要輸入国(同46%)となっている。なお、ドイツは、繁殖用めす豚を除く50キログラム以上の豚についても最大の輸入国となっており、これらの豚については、ほとんどがと畜用となっている。(図4)
EUROSTATでは、EUの豚の生産についてはこの図のとおり、繁殖はデンマーク、肥育はスペイン、オランダでは繁殖・肥育の両方を行うといったように、国ごとの役割が特化しており、国境を越えた構造となってきているとしている。
【小林 奈穂美 平成22年3月5日発】
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