アイルランド衛生当局がオーエスキー病防疫・撲滅プログラムの現状を発表
アイルランド衛生当局は、3月2日に開催されたEUの食品チェーンと動物の健康に関する常設委員会(SCFCAH)において、アイルランド国内で進行中のオーエスキー病防疫・撲滅プログラムの現状について発表を行った。本稿では、その発表概要を紹介する。
アイルランドでは1960年に国内で初めてオーエスキー病の確定診断がなされたが、近年のオーエスキー病ワクチンの開発や全国豚識別・追跡システムの整備注を契機として、2003年より3段階からなるオーエスキー病防疫・撲滅プログラムが進められることとなった。
このプログラムは、中央政府が法的な強制力を伴う形でアイルランド全土を対象に実施されており、豚群のオーエスキー病に関するステータス(3区分)に応じ、移動制限、陽性豚群の管理などの防疫措置が講じられている。プログラムの第一段階(2003〜2004年)においては、全豚群に対する血清学的検査の実施および検査結果に応じたステータスの認定が行われ、最もステータスが低いとされる陽性豚群については、
- 強制的なワクチン接種
- 生体の移動はと畜場への移動に限定
- バイオセキュリティの向上
- 死亡した豚の適切な処理
- 計画的なとう汰
などの措置が講じられた。
また、プログラムの第二段階(2005〜2009年)においては、上記の陽性豚群に対する防疫措置の実施と併せ、繁殖豚群全群および無作為抽出された肥育豚群に対する血清学的検査が継続的に実施されたことから、アイルランド衛生当局が公表する陽性豚群数は減少の一途をたどることとなった。
アイルランド衛生当局によると、2000年以降オーエスキー病を発症したケースは確認されておらず、2010年現在で確認されている陽性豚群はゼロとなり、新たなワクチン接種も実施されていない。このため、アイルランド衛生当局は、これまで得られた結果はアイルランドにおいてオーエスキー病の発生が極めて低いまたは皆無であることを示していると評価し、それぞれの豚群を血清学的検査により継続監視する第三段階に移行する方針を打ち出した。今後は、アイルランドにおいてオーエスキー病撲滅が達成されるかどうかが注目されることとなろう。
【前間 聡 平成22年3月12日発】
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