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オーガニック農業、拡大傾向続く(EU)

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 EU統計局(EUROSTAT)は今般、2008年のEUのオーガニック農業に関する現状を発表した。

オーガニック農地は前年に比べ7.4%増加と引き続き拡大傾向

 これによると、2008年のEUのオーガニック農地面積(オーガニックへ転換中のものを含む。)は前年度比7.4%増の776万4千ヘクタール(全農地面積の4.1%)となっている。
 国別に見ると、EU全体のオーガニック農地面積の17%を占め、EU最大となっているスペインは、前年比33.3%増と大幅な拡大、これに次ぐイタリアが同12.9%減と唯一減少となったが、スペイン以外にもブルガリア(22.1%)、スロバキア(19.4%)など6カ国で同10%以上の増加が見られた。また、EU25カ国ベースで2005年と比較すると21%増加していることから、拡大傾向が続いているとしている。
(表1)EUのオーガニック農地面積(2008年)
 オーガニック農家については、戸数が前年比9.5%増の19万6千戸、1戸当たりの平均農地面積が37ヘクタールとなっている。これは、EUのオーガニックを含む農家全体の平均農地面積(13ヘクタール)と比較して2倍以上となっており、オーガニック農家の大規模化が伺える。国別に見ると、スロバキア(同15倍)やチェコ(同2.5倍)では一般農家よりもかなり大規模である一方、デンマーク、フランスおよびルクセンブルクでは一般農家よりも小規模となっている。

飼料用関係の作付けシェアは高い

 オーガニック農地の品目別作付け割合については、フィンランドやデンマークなど10カ国で穀物、飼料用作物などの耕種作物の占める割合が5割以上となっている。この内訳については、穀物および飼料用作物作付けが8割以上の国がほとんである。また、チェコやアイルランドなど15カ国では草地・採草地の占める割合が5割以上となっており、飼料用関係の作付け割合が高いことがうかがえる。
オーガニック農地に占める永年作物・草地・採草地の割合(2008年)

牛の飼養頭数は増加傾向

オーガニック畜産については、ドイツ、キプロス、ルクセンブルク、マルタ、ポルトガルを除く22カ国の2008年の飼養状況が公表されている。牛のオーガニック飼養頭数を見ると、ギリシャ、イタリア、ラトビア以外は前年と比較して増加となっている。なお、オーガニック飼養の状況は国によってさまざまだが、オーストリアでは、羊が飼養頭数全体の25.7%、牛も17.7%とほかの加盟国と比べ高いシェアとなっている。
(表2)主要国のオーガニック家畜の飼養頭数(2008年)
【小林 奈穂美 平成22年3月17日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:井上)
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