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2008/09年度におけるニュージーランドの酪農生産動向

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2008/09年度の生乳処理量は過去最高を記録

 ニュージーランドの家畜改良公社(LIC)は先ごろ、2008/09年度(2008年6月〜2009年5月)における同国の酪農生産動向に関する報告書を発表した。これによると、2008/09年度の生乳処理量は、前年度比10.8%増の1604万4千トンと過去最高となった。これは、一部の地域で2007/08年度における干ばつから回復したこと、経産牛飼養頭数が前年度比6.0%増の425万3千頭と過去最高になったためとしている。
図1 乳用経産牛頭数と生乳処理量の推移

規模拡大による1戸当たりの飼養頭数の増加傾向が継続

 酪農家戸数の推移を見ると、近年、減少傾向が継続しているが、2008/09年度は、前年度比1.6%増の11,618戸とわずかに増加した。一方、1戸当たりの経産牛飼養頭数は、規模拡大による増加傾向が継続しており、2008/09年度は、前年度比4.3%増の366頭とやや増加した。このうち300頭以上の飼養規模は全戸数の49.8%、500頭以上の飼養規模は21.3%となっている。10年前にはそれぞれのシェアが18.2%、3.9%であったことから、近年における規模拡大の進展が伺える。また、経営規模別の1頭当たりの乳固形分生産量を見ると、650頭〜699頭と850頭〜899頭の飼養規模がそれぞれ345キログラムと最も高くなっている。
図2 酪農家戸数と飼養規模の推移

地域別では南島で飼養戸数や飼養頭数が顕著に増加

 NZの生乳生産は北島を中心としたものであるが、近年における地域別の酪農家戸数の推移を見ると、南島での増加が目立っている。こうした要因として、LICは、南島で羊・肉牛部門における収益性の低下のため酪農部門への転換が進んだこと、かんがい施設や飼養管理技術の改善が進んだこと、北島に比べ土地購入条件が良いことなどを挙げている。

 2008/09年度の酪農家戸数と経産牛飼養頭数を地域別に見ると、2004/05年度と比べ、北島の酪農家戸数は1,012戸減少したが、南島では359戸増加した。また、同期間において、北島の経産牛飼養頭数は0.6%の増加にとどまったのに対し、南島は34.7%増加した。なお、北島と南島の生産性を見ると、南島は、1頭当たりの乳固形分生産量は355キログラムと北島の1.13倍、1ヘクタール当たりの乳固形分生産量は1,018キログラムと北島の1.14倍と、いずれも南島が北島を上回っている。南島の中では北カンタベリー地方の1ヘクタール当たりの乳固形分生産量が1,187キログラムと最も生産性が高い。

 こうした南島の利点に着目し、近年では、オープンカントリーデイリー社、シンレイ社、ニュージーランドデイリーズ社など新興乳業メーカーによる南島への進出が活発化している。
表 地域別の飼養頭数・酪農家戸数・使用規模の推移
【玉井 明雄 平成22年1月12日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:井上)
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