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輸出需要が低迷する中、フィードロット飼養頭数は増加(豪州)

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飼養頭数は前回調査比、前年同期比ともそれぞれ増加

 豪州フィードロット協会(ALFA)は1月25日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2009年12月期)を公表した。これによると、2009年12月末時点の総飼養頭数は77万頭と、前回調査(2009年9月期)比で3.7%、前年同期比で6.5%それぞれ増加した。

 ALFAでは、飼養頭数が前回調査に比べ増加したのは、飼料穀物価格や素牛価格の下落により、ニューサウスウェールズ(NSW)州、ビクトリア(VIC)州、南オーストラリア(SA)州がそれぞれ増加したこと、西オーストラリア(WA)州で季節的な要因から穀物肥育が進んだことが大きいとしている。一方、最大の肉牛生産地であるクイーンズランド(QLD)州は、飼料原料となるソルガムの作付けが遅れなどから価格が不安定に推移したこと、輸出需要が低迷していることなどから、前回調査比でやや減少した。なお、2009年10〜12月の飼料穀物価格は前回調査(同年7〜9月)比6%安、素牛価格は同10%安となったが、NSW州北部とQLD州のソルガム先物価格は同6%高となったとしている。このように、相対的に飼料穀物価格や素牛価格は下落したものの、主要通貨に対し高値で推移する豪ドル為替相場および世界的な不況による輸出需要の低迷が、フィードロットの収益性により大きな影響を与えているとしている。
州別飼養頭数内訳

豪ドル高によりグレインフェッド牛肉の輸出需要は依然低調

 また、MLAによると、2009年におけるグレインフェッド牛肉輸出量は、最大の輸出先である日本向けが前年比4%増とやや増加したものの、2番手である韓国向けが同14%減とかなり減少したことから、同2.9%増にとどまった。このうち、グレインフェッド冷蔵牛肉輸出量は、低水準となった前年と比べれば6.2%増とかなり増加したが、同年10〜12月においては豪ドルが前年同期比で日本円に対し26%高、韓国ウォンに対し16%高とそれぞれかなり上昇したことから、依然として低調であったとしている。

 ALFAのカドモア会長は、国内市場は引き続き堅調であるが、輸出需要の回復などが見込めるまで、フィードロット飼養頭数が今後さらに増加することを期待するのは難しいとしている。
フィードロット飼養頭数の推移
【玉井 明雄 平成22年1月27日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:井上)
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