2009/10年度下半期の酪農経営環境は改善見込み(豪州)
上半期は生乳減産も、下半期の酪農業の見通しは上向き
デイリー・オーストラリア(DA)は2月、昨年10月に公表された「酪農業の現状とその見通し」に関するレポートの更新版を公表した。その中で、2009/10年度(7〜6月)下半期の酪農業について、国際乳製品市場は不安定であるため注意が必要であるとした上で、その見通しは比較的明るいとしている。
豪州酪農業に好影響を与える主な要因として、乳業メーカー各社が回復基調にある国際乳製品価格を反映して、2009年10月以降、生産者乳価の引き上げを発表していること、および国内乳製品市場も堅調であることが挙げられる。また、生産資材について、飼料価格は引き続き安価であるとみられ、かんがい用水の割当も4年来で一番良好と報道されていることから酪農経営環境は、改善すると見込まれている。
2009/10年度の生乳生産量は前年度比4%減の900万キロリットルと予測
上述のとおり、2009/10年度下半期の酪農経営環境は上半期に比べ改善が見込まれるため、年度を通しての生乳生産量は、前年度比4%減の900万キロリットルと予測されている。しかし、年度の生乳生産の6割を占める上半期の生産量は、前年同期比6%減の510万キロリットルとなったこと、また、下半期については、経営環境の改善により、前年度並みが見込まれるものの、乳用経産牛飼養頭数がかなり低い水準であり、頭数の急速な拡大が困難な状況にあるためこの予測は、かなり楽観的であると見る乳業関係者もいる。DAは、限られた飼養頭数で、前年並みの生乳生産を達成するには、特に、酪農主産地である南部地域(ビクトリア州とニューサウスウェールズ州の州境)での1頭当たりの泌乳量の増加が必要であるとしている。このためには、海外からの安定した乳製品需要を反映する加工原料用乳価のさらなる引き上げが必須であるとみられている。しかし、主要輸出先のうちロシア、EU諸国および日本などの需要は不安定であり、中でも豪州の乳製品輸出の20%程度(額ベース)を占める日本は、経済低迷や日本国内でチーズの生産能力が拡大していることなどから豪州産乳製品の輸出量に影響を与えるとみられている。
なお、今シーズンの生乳生産予測は、2009年第1四半期の乳牛とう汰が大きく影響するとの見方から、シーズン当初より「干ばつに見舞われた2007/08年度をも下回り、過去12年で最も低い水準」ということで一貫している。
【杉若 知子 平成22年2月23日発】
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