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食料供給力強化への取り組み(シンガポール)

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食料供給力強化のための基金を創設

 シンガポールは、国土面積約710平方キロメートルのうち農地が占める面積は約745ヘクタール(2009年3月末現在)と国土の約1%に過ぎず、また農家戸数も372戸(同、観賞用植物や鑑賞魚、水産養殖を含む。)であり、食料の大部分を輸入に頼っている。一方で、積極的な移民受け入れを行っており、人口は増加を続け、2009年には前年比3.1%増の約498万人となった。

 こうしたことを背景に、シンガポールの食品行政を所管する農食品獣医庁(AVA)は、2009年12月10日、同国の食料供給力を強化するための基金を創設したと発表した。

 AVAでは、食料の中でも特にコメ、鶏肉、豚肉、食用魚、鶏卵および葉物野菜を対象に、「輸入元の多様性の確保」と、「国内の農業生産力の向上」の2つの分野に対して基金からの支援を行うとしている。

 「輸入元の多様性の確保」の分野では、上記6品目を対象に、海外での食料生産基地や契約生産、既存の準主要輸入元からの安定輸入に向けた投資に関する予備的調査に対して、当該投資が安定した食料供給元の新たな確保につながることを条件に、人件費や旅費などの経費の補助を行うこととしている。

 また、「国内の農業生産力の向上」の分野では、鶏卵、食用魚、葉物野菜を対象に、それぞれ23%、4%、7%の現自給率を、同30%、15%、10%にまで向上させることを目標とし、研究開発や農家の生産力向上に対して補助を行うとしている。研究開発では、食用魚や葉物野菜の品種改良や生産力向上、家きんの排泄物処理および持続的農業に係るシステムなどの項目が挙げられている。また、農家の生産性向上では、機械化やブランド開発、知的財産権の活用が挙げられている。
シンガポールの品目別食糧消費量、生産量、輸入量(2008年)

(株)阿久根食肉流通センターを対シンガポール輸出牛肉取扱施設として新たに認定

 AVAでは、上記の取り組み以外についても輸入元の多様性の確保を図っており、基準を満たす各国の食肉や食肉調製品の取扱施設について、対シンガポール輸出施設としての認定を行っている。

 同認定については、2009年4月以降、(株)群馬県食肉卸売市場をはじめ日本における牛肉処理施設4カ所を対シンガポール輸出牛肉取扱施設として認定しているが、12月には、鹿児島県の(株)阿久根食肉流通センターを5カ所目の同施設として認定した。
【佐々木 勝憲 平成22年1月14日発】
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