米国農務省、2009年産の主要穀物の生産見通しを上方修正
米国農務省(USDA)は1月12日、2009年産の主要農作物の生産・需要見通しを公表した。
トウモロコシの推定生産量は過去最大。期末在庫を引き上げたが価格は上方修正
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が公表した「Crop Production 2009 Summary」によると、2009年産のトウモロコシの推定生産量は11月の予測値から2億3000万ブッシェル引き上げられ、過去最大であった2007年産の130億3800万ブッシェルを上回る131億5106万ブッシェル(前年比8.8%増)となった。1エーカー当たり収量も11月の予測値から2.3ブッシェル上方修正され、同じく過去最大であった2004年産の160.3ブッシェルを上回る165.2ブッシェルとなった。
一方、世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が公表した1月の世界農産物需給推計の月次報告によると、2009/10穀物年度(2009年9月〜2010年8月)の米国のトウモロコシ需要予測量は前月から1億4000万ブッシェル引き上げられ、130億7000万ブッシェル(前年度比8.4%増)になるとされている。用途別に見ると、飼料等向けは1億5000万ブッシェル増、エタノール向けは変わらず、食品加工用向けは甘味料の需要低迷などにより1000万ブッシェル減とされており、輸出向けについては変わらないが、飼料等向けが増えたことで全体の需要も引き上げられている。
2009/10年度末の在庫予測量は、需要予測量が引き上げられたが推定生産量の引き上げがそれを上回ったため、前月から8900万ブッシェル引き上げられた17億6400万ブッシェルに上方修正されている。これは2005/2006年度以降最大の在庫量となるが、需要に対する在庫の割合が前年度の13.9%を下回る13.5%となっていることと、先物価格が堅調なことなどから、USDAは2009/10年度の平均農家販売価格を前月から0.15ドル/ブッシェル引き上げて3.40〜4.00ドル/ブッシェルになると予測している。
大豆は国内需要予測量を引き上げる一方で輸出需要は堅調と予測
USDA/NASSによると2009年産の大豆の推定生産量は11月の予測値を4200万ブッシェル上回り、過去最大となる33億6103万ブッシェル(前年比13.3%増)となった。これは、収穫面積は7641万エーカー、1エーカー当たり収量も44.0ブッシェルと、いずれも過去最大となったことによる。
一方、USDA/WAOBによると、2009/10穀物年度の米国の大豆需要予測量は前月から2億1500万ブッシェル引き上げられ、32億6200万ブッシェル(前年度比7.1%減)になるとされている。これを用途別に見ると、国内搾油向けが大豆ミールの輸出需要を受けて前月から1500万ブッシェル引き上げられる一方、輸出量については中国向けの堅調な増加に加えて台湾、タイ、エジプト、カナダ向けなどが増加することに伴い3500万ブッシェル引き上げられている。これは南米の干ばつにより競合する輸出国での生産が減少したためと考えられる。
以上のような需給状況を反映して、2009/10年度末の在庫予測量は、前月から1000万ブッシェル引き下げられ、2億4500万ブッシェルに下方修正されている。USDAは2009/10年度の平均農家販売価格を8.90〜10.40ドル/ブッシェルとしており、前月予測から0.15ドル/ブッシェル上方修正している。
【中野 貴史 平成22年1月12日発】
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