トピックス

●●●牛肉、鶏肉などの購買数量、減少●●●

 当機構による牛肉の種類別購買数量をみると、 米国でBSEが確認された12月第4週以降、一部量販店での販売中止などの影響もあり、米国産牛肉の購買数量が大きく落ち込んだ。 1月以降は前年の2割以下の水準にまで減少している。これとは対照的に、国産牛(乳用種および交雑種等)は、1月第2週以降、 前年を上回って推移している。ただし、和牛、豪州産では、前年の7割程度の数量となっており、牛肉合計では、 前年を大幅に下回る結果となっている。

 牛肉以外の食肉の購買数量をみると、鶏肉では、 山口県で79年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザが発生したことに加え、タイ、ベトナム、中国など東南アジア、 東アジア各国でも発生が確認されたため、1月第3週以降は、前年の7割程度まで購買数量が低下した。 唯一豚肉が前年に近い水準を維持しているものの、食肉全体では前年の8割程度の水準となっている。

 なお、機構による食肉の購買数量調査は、日経POS情報により全国の主要6地区 (札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡およびそれぞれの周辺地区の計9量販店)について、レジ通過1,000人当たりの購買数量を 集計したものである。

図1 牛肉の購買数量の増減(前年比)
資料:農畜産業振興機構調べ

図2 食肉の購買数量の増減(前年比)
資料:農畜産業振興機構調べ


●●●豚肉の国産供給率は54%(14年度)●●●

 昨年末の米国でのBSE発生に続き、相次ぐ海外での鳥インフルエンザの発生によって、発生国からの牛肉、鶏肉の輸入が一時停止し、国産品の食肉の供給率が注目されている。

 平成14年度の牛肉消費量のうち国産品の占める割合は約40%、鶏肉については約70%となる中で豚肉の国産品の占める割合は、約54%となっている。(図3)

図3 平成14年度 豚肉消費量の内訳
注1:数量は部分肉ベース
注2:輸入品の国別推定出回り量は輸入シェアから推計したもの


 消費量のうち輸入品752万トンの内訳は、米国(15%)、デンマーク(14%)に続きカナダ(10%)、メキシコ(2%)となっており、12年に韓国で、13年にはEU諸国での口蹄疫の発生により、北米からの輸入シェアが拡大する傾向にある。また、3年連続のSG発動にもかかわらず輸入数量は年々増加傾向にある。(図4)

図4 豚肉輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」 注:部分肉ベース


 前述のように牛肉、鶏肉の海外からの供給が一時停止する中、特に外食メニュー、惣菜材料などの代替手当として豚肉が注視されている。

 一時、安定基準価格を下回った国内の豚肉卸売価格は、年明けには回復し始め、1月の東京、省令価格は430円/kgとなるなど、値動きも落ち着きを見せ始めており、今後の輸入動向が注目されるところである。


●●●子取り用雌豚の飼養農家、大規模化進む●●●

 当機構の補助事業である養豚振興体制整備事業として(社)全国養豚協会が実施している「子取り用雌豚飼養頭数と戸数」調査によると、15年8月1日現在の子取り用雌豚は、915,727頭となった。昨年度は、BSEの代替需要により豚価が高水準で推移したため、生産者の増頭意欲を背景に、3年ぶりに増加に転じたが、15年度については、1,700頭(▲0.2%)減少したもののほぼ同水準を維持した(図5)。

図5 子取り用雌豚の飼養頭数の推移
資料:(社)全国養豚協会 注:各年8月1日現在


 これを飼養規模別に見ると200頭前後を境に、200頭以下の層では減少、200頭以上の層では増加と規模拡大が続いている。この傾向は11年以降、変わっていない。

 特に1,000頭以上の層では前年比が6.4%増と伸びが大きく、大規模化が進展している(図6)。

図6 規模別構成割合の推移(子取り用雌豚)
資料:(社)全国養豚協会


●●●国内で今年2例目となる鳥インフルエンザが発生●●●

 山口県に続き大分県で2月17日、高病原性鳥インフルエンザの発生が確認された。今回の発生は養鶏農場ではなく鶏愛好家で、飼養していたのは、チャボ13羽、あひる1羽のみ。飼養鳥は既に死亡したか、検査のために全羽処分済みである。

 今後、発生場所の消毒や、発生場所を中心として半径30km以内の区域で鶏等の家きん、卵などの移動制限が実施される。

 鶏肉や鶏卵を食べることによる人への感染は報告されていない。

 なお、鳥インフルエンザウイルスは適切な加熱等により、死滅することが知られている。世界保健機構(WHO)は、食品の中心温度を70℃にまで加熱することを推奨している。

 一方、山口県下での防疫措置「死亡鶏および殺処分鶏、飼料等の埋却」、「鶏舎、車両、機材等の消毒」は1月21日に完了した。「高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル」によると、鶏肉・鶏卵等の移動・搬出制限期間は、原則として、最終発生に係る防疫措置の完了後28日以上の期間とされており、農林水産省消費・安全局衛生管理課と協議の結果、2月19日午前0時に移動制限が解除された。


●●●海外における鳥インフルエンザに対するわが国の対応●●●

 年末から今年にかけて東南アジア・北半で鳥インフルエンザが発生し、鶏肉の輸入先であるタイ、中国、米国からの輸入が一時停止された。

 これまでにも、ヨーロッパ、東アジア、北米と鳥インフルエンザが相次いで発生している(発生時期、地域の詳細は「機構から」33ページに示した)。

 鳥インフルエンザが発生した国からの鶏肉などの輸入は、家畜伝染病予防法第36条により禁止されることとなるが、過去の輸入停止措置を解除された事例の経緯を簡単にまとめた。

 1 平成13年6月(中国)
 中国産あひる肉からトリインフルエンザウイルス(H5N1)が分離されたとの情報から、中国における家きんペスト(平成15年6月23日から高病原性鳥インフルエンザに変更)の清浄性が確認されるまでの間、輸入の一時停止措置が講じられた。同年8月、わが国の家畜衛生専門家による当該国の清浄性の確認及びわが国に侵入するリスク評価がなされ、・追加的なリスク低減措置を継続すること、・解除から3ヶ月間は通常の検疫上の書類検査及び現物検査に加え、一定割合の抽出精密検査をすることを条件に停止が解除された。

 2 平成15年3月(オランダ)
 採卵鶏農場においてインフルエンザウイルス(血清亜型H7)が発生し、オランダにおける同病の清浄性が確認されるまで輸入停止措置が講じられた。

 同年8月オランダ家畜衛生当局から、同国内において90日間本病の発生がなかったこと、清浄化の措置が講じられたことが報告されわが国として当該国の清浄性を確認し、解除となった。

 以降 ベルギー(15年4月)、ドイツ(15年5月)デンマーク(15年9月)もほぼ同様の措置がとられた。


●●●鶏肉消費の状況●●●

 平成14年度の推定出回り量173万トンのうち71%が国産品であり、主要輸入国の中国、タイ、ブラジル産の占める割合はそれぞれ7%、10%、9%となっている。(図7)

図7 平成14年度 鶏肉消費量の内訳
注:国産物は骨付き肉ベース


 今般、輸入停止となった中国、タイおよび米国を合わせると輸入量全体の68%程度を占めていることとなり、輸入鶏肉の多くを利用している外食メニューや弁当用惣菜類の供給に影響が心配されるが、国産品については、東京のもも肉、むね肉の1月の卸売価格に大きな動きは見られていない。



●●●牛乳・乳製品の消費者物価指数、引き続き下落●●●

 総務省が1月30日に公表した消費者物価指数によると、平成15年の総合指数は前年から0.3ポイント低下し98.1となった。総合指数は、平成11年以降、5年連続して下落しており、デフレ傾向に歯止めがかかっていないことが伺われる。

 食料指数でも前年から0.2ポイント低下し98.4となり、同様に5年連続での下落となった。品目別にみると、肉類、穀類、野菜・海藻で上昇した一方、乳卵類、魚介類で下落した。牛乳・乳製品の品目別動向は右表のとおり。輸入チーズは上昇、牛乳は前年並みとなったほか、他の品目は軒並み低下した。

 牛乳について過去5年間の動きを見ると、牛乳の指数は11年以降、連続して下落していたが、15年は前年並みの水準となり、下げ止まった。これは、配達牛乳の指数が大きく上昇した結果である。しかし、店頭売り牛乳の指数は依然として下落が続いており、5年間で3.9ポイント低下している。

牛乳・乳製品の品目別指数(15年)

図8 牛乳に関する消費者物価指数の推移
資料:総務省「消費者物価数」 注:平成12年を100とする。

●●●16年の鶏卵初市85円から出発●●●

 平成16年の東京での鶏卵卸売価格(全農・M)の初市(1月6日)は、近年の最安値である85円を記録した。最近の初市では、15年125円、14年125円、13年140円となっており今年は破格の安値となった。しかし、12月の採卵用めすひな出荷羽数は842万羽(▲9.8%)とかなりの程度減少し、今後の出荷見通しも、1月▲1%、2月▲3%、3月▲10%とかなり抑制されてきていることから、今後の価格動向に注目したい。

図9 採卵用めすひな出荷羽数の推移
資料:農林水産省統計部


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