トピックス

●●●乳去勢枝肉価格、BSE発生前の水準に回復●●●

乳用種去勢牛の枝肉価格の回復が顕著になっている。東京市場における3月の乳用種去勢牛B−2の枝肉価格は、前年の同じ月に比べて55.3%高の775円となった。枝肉価格は、米国でBSEが初めて確認された15年12月以降、4カ月連続で前年同月を大幅に上回って推移している。

量販店での売れ筋であった米国産牛肉の輸入が停止され、代替として乳用去勢牛など国産牛需要が高まっていることや、輸入牛肉の出回り量の減少により国内の輸入牛肉の卸売価格が上昇したことも、乳用種去勢牛の枝肉価格を押し上げる要因になったものとみられている。

乳用種去勢牛は、和牛や交雑種と同様に、日本でのBSE発生に伴い大きく値を下げた。その後、和牛などの卸売価格は1年程度でBSE発生前の水準に回復した一方で、乳用種去勢牛は長らく価格低迷が続いていた。しかし、16年以降は、乳用種去勢牛もBSE発生前の12年度の平均価格とほぼ同様の水準で推移している。

図1 牛枝肉価格の推移(12年度=100)
資料:農林水産省「食肉流通統計」、(株)東京食肉市場


●●●豚肉の16年度第1〜3四半期の輸入基準数量について●●●

 財務省は16年3月31日付け官報で、関税暫定措置法に基づく豚肉等のセーフガード発動の基準数量となる16年第1〜3四半期(16年4月〜12月)の輸入数量と16年度の特別セーフガードに係る輸入基準数量を告示した。

 16年度各期間の輸入数量は、13〜15年の3年間の各四半期の輸入数量の平均に119%を乗じて得た数量で、この輸入量には、チルド、フローズンの豚肉はもとよりくず肉、ハム、ベーコンなども含まれている。16年度の第一四半期は、前年同期の239,803トンから17,201トン増えた257,004トンとなったが、昨年8月から発動されていた緊急措置が3月末で解除されたことや、BSE、鳥インフルエンザの影響による豚肉需要の拡大から、4月以降は、輸入量の増加が見込まれている。

 また、輸入基準数量は、787,610トンと告示された。

 これは、前述の緊急措置が、四半期ごとの運用であるのに対し、年間の運用になっている。告示される基準数量は、前出の発動基準数量に更に、生きた豚に係る数量を1頭につき54kgとして換算した数量を加えて算出される。

 なお、第4四半期の(17年1月〜3月)の輸入数量は5月末の官報で告示される予定である。

●●●国内での鳥インフルエンザ終息へ●●●

 2月に京都府下の養鶏場で発生した鳥インフルエンザ(3、4例目)について、京都府は、清浄性確認検査の結果、4月11日に搬出制限区域を解除し、続いて13日に移動制限区域を解除し、終息宣言を発表した。

 処理された鶏は、20万羽以上、焼却処分された鶏卵は545万個(341トン)、その他鶏ふんなどの処分、防疫体制の整備など膨大な費用と労力を費やすこととなった。

 日本での鳥インフルエンザの発生は、1925年以来の79年ぶりとなったが、この度の発生は、野鳥からのウイルスが鶏群あるいは七面鳥群で伝播を繰り返すうちに強毒に変異したものとも考えられていることから、家きんをとりまく環境を含めた防疫体制の強化、見直しの必要性が指摘されている。

 ひとまず終息へと向かった鳥インフルエンザだが、今後の防疫体制確立のためにも、さらなる病性鑑定と感染経路の究明が急がれる。


●●●2月の鶏肉・鶏肉調製品の輸入量、激減●●●

 主要な鶏肉など輸入先のタイ、中国、米国で鳥インフルエンザが発生し、輸入停止措置がとられたため、2月の鶏肉及び鶏肉調製品の輸入量は、大幅に減少した。

 ここ6カ月の鶏肉及び鶏肉調製品の輸入数量の推移をみてみると鶏肉については、昨年度輸入量のシェアを2分していたタイ、ブラジルからの輸入量は、9月以降も昨年とほぼ同様に推移していたものの、1月末にタイで鳥インフルエンザ発生が確認され、輸入停止措置が講じられ、2月の輸入量はゼロとなった。

  一方、ブラジルは輸入量を順調に伸ばしており、タイ、中国、米国の代替輸入先として、今後も取引の増加が見込まれている。(図2)

 唐揚げ、焼き鳥などを含む鶏肉調製品については15年12月に過去最高の2万6千トンが輸入されたが、鳥インフルエンザの発生により中国、タイからの輸入が一時停止したため、2月の輸入量は1,469トンと前年同月の12%、前月の7%と激減した。(図3)

図2 ブロイラーの国別輸入量(15年度)
資料:財務省「貿易統計」
図3 鶏肉調製品の国別輸入量(15年度)
資料:財務省「貿易統計」



●●●15年度生乳ベースでの供給量、約1,300万トンの見込み●●●

 農林水産省生産局「生産者補給金単価等算定説明資料」の需給表によると、15年度の生乳生産量は前年比0.4%増の842万トンと見込まれている。内訳は飲用向けに約506万トン(約6割)、乳製品向けに約336万トン(約4割)となっている。また、乳製品の期首在庫82万トンおよび乳製品輸入量378万トンを加えると、15年度の牛乳・乳製品の総供給量は、1,301万トンに達する見込みである。一方、消費量は前年比1.1%減の1,204万トンにとどまるものとみられており、乳製品の期末在庫は期首から16万トン増の98万トンになるものとみられている。(※数値はいずれも生乳ベース)




●●●平成14年、初生ひなの輸入状況●●●


 平成15年12月に動物検疫所から発行された「平成14年動物検疫年報」によると、14年に検疫が行われた初生ひなの輸入羽数は、卵用鶏67万羽、肉用鶏51万羽となった。

 輸入初生ひなは、国内の主な原種鶏場、種鶏場、養鶏場に導入されるが、14年度の都道府県別導入先のトップ5は、三重県28.3万羽、岐阜県11.6万羽、広島県11.5万羽、兵庫県11.3万羽、静岡県8.8万羽であった。

 卵用種の主な輸入元は、オランダが43万羽:64%(内訳:原種鶏(種鶏を生産する親鳥)、種鶏(コマーシャル鶏を生産する親鳥))とトップで次いでドイツ9万羽:14%(原種鶏、種鶏、採卵鶏)、カナダ8万羽:12%(原種鶏、種鶏、採卵鶏)、アメリカ3万羽:5%(原種鶏、種鶏)となった。

 また、肉用種は、フランスが25万羽:46%(種鶏、ブロイラー)とトップで、次いでイギリス15万羽:30%(原種鶏のみ)、アメリカ10万羽:19%(原種鶏、種鶏)となった。(図5)

 今年に入って、原種鶏を生産しているアメリカ、カナダでも鳥インフルエンザが発生していることから、初生ひなの輸入にも影響が出ることが懸念される。

図4 平成14年 卵用鶏の輸入先国別羽数

図5 14年 肉用鶏の輸入先国別羽数


●●●4〜6月期配合飼料価格、引き上げ●●●

 全農は3月15日、4〜6月期の配合飼料供給価格を全国全畜種総平均トン当たり約2,900円値上げすることを公表した。この値上げは、トウモロコシや大豆油かすおよび海上運賃が前期に比べ値上がりすると見込まれていることなどによるものである。特に価格が顕著に上昇しているトウモロコシ、大豆油かすの配合割合が高い鶏・豚用飼料は、平均値上げ額を上回る改定になるとしている。

 全農の動きに追随し、専門農協系および商系もそれぞれほぼ同額の引き上げを公表している。

<最近の原料コスト動向等>

 全農では、最近の原料コストの動向について次のように見込んでいる。

1.飼料穀物

 トウモロコシのシカゴ定期は、(1)中国からの輸出が1月以降ストップしたこと、(2)米国のトウモロコシ期末在庫(8月末)が大幅に減少すると予想されること、(3)大豆の高騰により米国におけるトウモロコシの作付が減少すると予想されることなどにより上昇しており、現在290セント/ブッシェル(3月限)前後で推移している。

 今後は、南米での天候不順による収穫への影響が懸念され、世界的に飼料穀物の需給がひっ迫しており、更なる価格の上昇が見込まれる。

 この結果、4〜6月期のトウモロコシ価格は1〜3月期に対し値上がりするものと見通される。

2.たんぱく質原料

 大豆かすのシカゴ定期は、(1)米国産大豆の生産量見通しが大幅に減少、(2)昨年末の米国におけるBSE発生を受けて家きん用の大豆かす需要が高まるとの観測、(3)南米の天候不順による大豆生産量の減少懸念などから、直近のシカゴ定期は280ドル/トン前後(3月限)まで上昇してきている。

 4〜6月期の国内大豆かす価格は、シカゴ定期が上昇していることや、国内の搾油量が減少し需給がひっ迫していることから、1〜3月期に対して大幅に値上がりすると見通される。

輸入魚粉は、主産地ペルーでの生産量が昨年に比べ大幅に減少しており、産地価格は上昇している。一方、国内魚粉の生産量は低調であるものの、需給関係が安定しているため、4〜6月期価格は据え置きが見通される。

3.海上運賃

 米国ガルフ・日本間のパナマックス型(6万〜6万8千トンクラスの船)海上運賃は、(1)中国の鉄鉱石・石炭輸入の増加、(2)中国の大豆輸入量の増加による船腹需給ひっ迫などにより、史上最高水準を更新し続けており、直近では70ドル/トンを超える水準となっている。

 今後も、中国からの引き合いが強く、船腹需給が非常にひっ迫した状況は続き、海上運賃は高水準で推移するものと予想される。

 この結果、4〜6月期の海上運賃は1〜3月期に対し、大幅に値上がりするものと見通される。

<補てんの実施>
なお、配合飼料価格安定制度による通常補てん金4,200円/トンが交付される。

図6 副原料の輸入価格(CIF)
資料:財務省「貿易統計」



「しっかり選ぼう 消費者の知恵で」

 経済社会の各分野で構造改革が進展するなか、消費者は多様な選択ができるようになっています。一方、これまでにない消費者問題も生じており、消費者が商品やサービスに関しトラブルに遭うことも年々増加しています。

このため、国民が安全で安心できる暮しが実現できるように行政や事業者がこれら消費者問題に取り組む必要があります。同時に消費者も良質な商品やサービスを選択するしっかりした目を持つとともに、行政や事業者に対して積極的に働きかけていくことが必要です。

このため、本年の消費者月間においては「しっかり選ぼう 消費者の知恵で」を統一テーマとして各種事業を行うこととします。


内閣府が行う消費者月間関連事業等
(1)消費者問題国民会議の開催
(2)消費者問題に関する学習支援事業
(3)各種媒体による積極的な広報
(4)ホームページでの各種事業の紹介
(5)ポスター等の作成・配布

連絡先
内閣府国民生活局消費者調整課 
消費者情報室:平川、中村
電話:03−3581−7735
FAX:03−3581−9935

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