●●●日本・フィリピンFTA、大筋合意の概要●●●
小泉総理大臣とアロヨ・フィリピン共和国大統領は、2003年12月11日の会談で、合意していた日・フィリピン経済連携協定のための作業部会などの成果を踏まえ、2004年の早期に交渉を開始し、合理的な期間内に協定を締結することに合意した。
本年2月以来、一連の交渉が行われた結果、11月29日、小泉総理とアロヨ大統領は会談を行い、日・フィリピン経済連携協定(EPA)の主要点について大筋合意に達した。
今回、大筋合意に達した主な農林水産品の関する内容は別表の通りである。
畜産物では、指定乳製品および牛肉(部分肉)が除外されるとともに、牛肉(枝肉、骨付き肉)、豚肉、チーズが再協議となった。一方、鶏肉(骨付きもも肉を除く。)について関税割当が行われるとともに、豚肉調製品の一部、ソーセージ、アイスクリームに低関税枠が設定された。
主要5品目の取扱い
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別表
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5品目以外の品目の取扱い
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●●●牛肉卸売価格、高値相場続く●●●
16年4月から枝肉の卸売価格は、前年同月をかなり上回って推移し、10月の去勢和牛A−4は5.1%高の2,066円/kg、交雑種去勢牛B−3は15.4%高の1,405円/kgとなった。
社団法人日本食肉格付協会が取りまとめた平成16年度第2四半期の枝肉格付結果によると、去勢和牛の、A−5、A−4の構成割合はそれぞれ前年同期を上回った。しかし、乳用種去勢牛では、B−3が7.7%(15年度第2四半期9.2%)、B−2が65.4%(同63.0%)とB−2の割合が上がった。また、交雑種去勢牛でもB−2の割合が39.4%(同38.3%)となり肉質等級に課題を残した。これは枝肉卸売価格が高値で推移していることに伴い、肉牛の出荷が前倒しで行われた結果によるものと考えられる。加えて、10月の枝肉格付結果では、さらにその傾向が強まっている。
図1 格付割合の推移(乳去勢、第2四半期)
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資料:社団法人日本食肉格付協会 |
図2 牛のと畜頭数(前年同月比)
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資料:農林水産省「食肉流通統計」 |
●●●ロース、ヒレなどの上級部位、荷動き振るわず●●●
9月まで高水準を維持した豚肉省令価格は、10、11月の不需要期を迎え、徐々に価格を落とし300円台となったものの、前年同月に比べ5〜8%程度上回って推移している。
末端の消費は、うで、もも、バラなどの下級部位の動きが活発であるものの、ロース、ヒレなどの高級部位の荷余り感が顕著になり、その価格が下がっている。(図3)機構調べによる仲間相場(国産チルド)は、ロースは今年度最高値の8月1,091円/kgに対し10月815円/kg(▲25.3%)、一方、好調のばらは、同じく8月813円/kgに対し10月732円/kg(▲10.0%)となった。
冬場にかけて鍋物需要に向かないロースなどは、年末まで消費が停滞する見込みである。
一方、家計消費量に見る豚肉消費は、依然好調であり10月は1人当たり471g、前年同月比8.8%増となり、一般家庭においては、テーブルミートとしての豚肉がより多く利用されているものと思われる。
図3 国産豚肉の仲間相場(チルド)
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資料:農畜産業振興機構調べ |
●●●韓国(済州島)からの豚肉輸入一時停止●●●
韓国からの豚肉の輸入については、平成14年に口蹄疫、次いで豚コレラの発生があったために、輸入の一時停止措置がとられていたところある。その後、本年4月には、日本との間で、家畜衛生条件が取り決められ、韓国(済州島に限る)からの豚肉などの輸入が可能となったが、本年11月29日付けで済州島において、豚コレラの血清検査陽性事例が摘発されたため、再び、停止措置がとられている。
済州島では、2003年、韓国の豚飼養頭数の約4%である40万頭が飼養されている。
●●●カルシウムの摂取基準、大幅引き上げ●●●
平成16年4月〜10月までの飲用牛乳等の生産量は、昨年の冷夏に比べ今夏が猛暑となったことから、消費の大幅な伸びが期待されていたにもかかわらず、前年同月期をわずかに下回る水準にとどまった。このことについて、社団法人日本酪農乳業協会は、調査結果から、茶系飲料の伸びや豆乳の増加が影響していると分析している。
このような中、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準について」を発表し、カルシウムの摂取基準を、多くの年齢層で引き上げた。特に、学校給食の終了する年齢層である「15〜17歳」では、男性が1日当たり300ミリグラム増の1,100ミリグラム、女性が1日当たり150ミリグラム増の850ミリグラムと大幅に引き上げられた。また、生活習慣病予防の観点から新たに示された「目標量」において、不足している栄養素として示されている。
「五訂日本食品標準成分表」によると、牛乳はカルシウム含有量が競合飲料とされている豆乳の約7倍もあることから、今後、飲用牛乳等の需要増が期待されるものと考えられる。
カルシウムの食事摂取基準(mg/日)
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資料:厚生労働省「日本人の食事摂取基準について」 |
1 付加量は設けないが、目安量をめざして摂取することが勧められる。
妊娠中毒症等の胎盤機能低下がある場合は積極的なカルシウム摂取が必要である。
2 上限量は十分な研究報告がないため、17歳以下では定めない。しかし、これは、多量摂取を勧めるものでも、多量摂取の安全性を保障するものでもない。
3 目安量と現在の摂取量の中央値とが接近しているため、目安量を採用した。
4 前後の年齢階級の値を考慮して、値の平滑化を行った。
●●●鶏卵卸売価格5カ月連続して上昇●●●
全農「畜産物販売部情報」によると、10月の鶏卵卸売価格は、東京、Mサイズで1キログラム当たり204円、11月は256円となり、5カ月連続で上昇している。(図4)
農林水産省の鶏卵流通統計による7月〜9月期の生産量は、鳥インフルエンザの発生、猛暑などによる生産抑制により60万6千トンとなった。これは、前年同月期に比べ1万7千トンの減少となっており、推定出回り量も2%程度少ない量となっている。
さらに、年末年始の鍋物需要に加え、お菓子用などの業務用の需要も伸びる時期を控え、10月の鶏卵類輸入量は大幅に増加し、前年同月比40.5%増の1万4千トンとなった。内訳をみると業務用で利用される卵黄粉、卵黄、乾燥卵白などが大幅に増加している。
図4 最近の鶏卵価格(東京)の推移
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資料:全農「畜産販売部情報」
数値は、L,M,MSサイズの中値の単純平均 |
●●●「鶏卵トレーサビリティ導入ガイドライン」が公表される●●●
11月30日付けで農林水産省から「鶏卵トレーサビリティ導入ガイドライン」が公表された。
本ガイドラインは、養鶏場、GPセンターなどの施設を対象に、記録、保管すべき情報内容、消費者への情報提供方法などを示したもので、トレーサビティシステム導入に向けた自発的な取り組みを助長とシステムの普及推進することが目的となっている。
対象となる製品は、「殻付きの食用鶏卵」で、対象となる業種は、鶏卵の生産・選別包装・流通・販売を担う企業、団体および個人である。
食品トレーサビリティ導入におけるメリット「食品とその流通した経路および所在地などを記録した情報の追跡と遡及を可能とする」は他の生産物と同様であるが、鶏卵を取扱う場合のロットの概念、養鶏場やGPセンターでの記録、保管方法、またその間の鶏卵と記録書の流れなどが詳細に示されている。
また、情報の伝達方法としてホームページでの情報提供方法や卵殻印字のメリットについても記述されている。
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