トピックス

●●●牛肉の輸入量、12月はほぼ前年並みに回復も年間では「ばら」を中心に大幅減●●●

 財務省が公表した貿易統計(速報)によると、2004年12月の牛肉(くず肉、煮沸肉を除く)輸入量は、生鮮・冷蔵が2万4トン(前年同月比6.6%)、冷凍が2万3,533トン(同▲8.2%)となり、全体では同1.9%減の4万3,535トンとほぼ前年並みに回復し、「ロイン」、「かた・うで・もも」は、特にチルドで前年同月をかなり大きく上回った。

 しかしながら、牛肉(くず肉、煮沸肉を除く)輸入量2004年1〜12月の累計でみると、43万1,974トン(前年比▲25.0%)と前年を大幅に下回った。

 一方、輸入国別では、豪州は39万4,224トン(前年比39.0%)、ニュージーランドは3万3,569トン(同96.7%)、その他は2,905トン(同406.6%)となり、大幅に増加するとともに、豪州のシェアは前年の49.2%から91.3%となった。

 部位別にみると、米国産牛肉の輸入一時停止措置の影響は大きいものの、「ロイン」が4万6,378トン(前年比▲8.0%)、「かた・うで・もも」が16万8,095トン(同▲10.4%)となり、前年を約1割減の水準まで回復した。

 一方、米国産への依存度が高かった「ばら」は、前年比65.5%減と大幅に減少し、米国産牛肉の輸入一時停止措置の影響を大きく受けた。このような中で、豪州産ばらの2004年1〜12月の累計は前年比58.1%増と大幅に増加しており、特に生鮮・冷蔵品の伸びが顕著となっている。

 また、豪州産ばらの輸入価格(CIF)は、国内の需要が強く品薄感が強いことなどから、生鮮・冷蔵は497円/kg(前年比37.1%)、冷凍は382円/kg(同56.4%)と前年を大幅に上回り300円後半から500円台で推移し、今後も高水準であることが見込まれる。(図1・2)

図1 牛肉輸入量の国別シェア
資料:財務省「貿易統計」
 
図2 豪州産ばらの輸入動向
資料:財務省「貿易統計」
注:輸入単価はCIFベース

●●●国産牛肉の小売価格、最高値を更新●●●

 農林水産省は牛肉小売価格等の調査結果を公表した。この調査は、輸入牛肉の関税緊急措置の発動に伴い15年8月から毎週行われており、その後の米国産牛肉の輸入停止を受けて引き続き実施されているものである。

 この結果によると、17年1月24日〜28日の国産牛肉(冷蔵ロース)の全国平均小売単価は、これまでの最高値696円/100g(16年9月21日〜24日、12月27日〜17年1月7日)を2円上回り、698円/100gとなり、最高値を更新した。

 その後、2月第2週の国産牛肉(冷蔵ロース)は690円/100g、輸入牛肉(冷蔵ロース)363円/100gと高水準にとどまっている。

 国産の牛枝肉の価格は、16年4月以降、前年同月を10数%以上の高値が続いていたのに対して、小売価格の上昇率は、卸売価格のそれと比較して低水準で推移していたが、今年1月に入り、徐々に上昇し始めている。

 関係者によると、卸売業者は厳しい経営環境に置かれていたが、1月以降徐々にその改善の方向が表われてきた結果とみている。(図3)

図3 国産牛肉(冷蔵ロース)全国平均小売価格
資料:農林水産省「牛肉小売価格等の調査」


●●●16年の豚肉輸入量、前年を15%上回る●●●

図4 豚肉の国別輸入量
資料:財務省「貿易統計」


 豚肉の輸入量は、年々増加傾向にあり、12月の貿易統計によると、16年(1月〜12月)は、米国産牛肉の代替需要などの要因により、86万3千トンと前年を15%上回った。

 16年に輸入された豚肉の輸入量を国別にみるとデンマークが27万トン(シェア31%)、米国が26万トン(同30%)、カナダが18万トン(同21%)、チリ4万トン(同5%)、メキシコ3万トン(同4%)その他8万トンとなった。米国産の豚肉は、特定部位が大量に入手しやすいこと、チルド品の輸入が可能なことなどで、近年輸入量を増加させていたが、16年はデンマークが、4年ぶりに米国を抜いて1位となった。

 デンマークからの輸入豚肉は、そのほとんどが冷凍品でありベーコンなどの材料となるベリー(ばら)が多いのが特徴である。特に16年は、米国産牛肉のばらの代替品としてのベリーを使った豚丼特需があったことによる輸入量増加がその要因と推定される。

 また、輸入量の伸び率を国別に見ると、チリ(対前年比38%増)、デンマーク(同22%増)、カナダ(同11%増)、米国(同4%増)となり、反対に減少した国は、メキシコ(同5%減)であった。

 輸入量が大きく伸びたチリとは、1月にFTA協定締結を視野に入れた共同研究会が開始され、また、メキシコとは既に昨年9月に経済連携協定(EPA)が結ばれ、豚肉の輸入特別枠が措置されることなどから、これら国々の動向が今後最も注目される。


●●●一層の大規模化が進む養豚経営●●●

 (社)全国養豚協会の「子取り用雌豚飼養頭数と戸数」調査(養豚振興体制整備推進)によると、16年8月1日現在の子取り用雌豚の飼養頭数は、912,817頭と前年とほぼ同水準を維持した。(図5)

図5 子取り用雌豚の飼養頭数の推移
資料:(社)全国養豚協会
注:各年8月1日現在

 これを子取り用雌豚の飼養頭数規模別に見ると、200頭以下の層が前年に比べ1割近く減少し、逆に200頭以上の層が増加し、大規模化が進展している。この傾向は11年以降、変わっていない。

 特に1,000頭以上の層は、前年に比べ7.6%増と伸びが大きく、小規模層の減少を補うかたちで大規模層での増頭が進んでおり、この結果、119戸の1,000頭以上層は、戸数シェアでは1.6%であるが、頭数シェアでは、25%と全体の4分の1を占めることとなった。

 また、飼養農家戸数については、16年11月の家畜排せつ物法の施行に伴い経営を断念する農家が増加することが懸念されていたが、全体で8,167戸と、前年を6.6%下回ったものの、これはここ数年と同程度の減少幅であった。

図6 飼養規模別構成割合の推移(子取り用雌豚)
資料:(社)全国養豚協会

●●●年末の鶏肉、ピークを迎えるも盛り上がらず●●●

 忘年会、クリスマスなどの年末行事によって一年中で最も鶏肉の消費が増加するのが12月である。ブロイラーの出荷日齢は、おおむね60日程度であることから、生産者は12月の出荷増に備え、その約2ヵ月前の10月にえ付け羽数を増加させるが、16年10月のえ付け羽数は、5,913万羽(▲2.1%)と前年同月を下回り、12月の生産量も115,767トンと前年同月を2.3%下回った。

 また、調製品を含む加工仕向けの鶏肉輸入量も、年末の需要に合わせ増加していたところであるが、12月の推定出回り量は、15万5千トン(▲5.3%)と前年同月をやや下回り、盛り上がりに欠けた。

 その主要因としては、鳥インフルエンザの影響で15年10月以降、輸入量が激減していることが挙げられる。

 さらに、昨年末は、競合する牛肉の価格高騰などにより、鶏もも肉の引き合いが強まり、鶏肉の荷動きも活発になるものと思われたが、国産鶏肉の卸売価格は、663円/kg(東京・もも)(対前年同月比0.9%増)となり、前年同月の水準にとどまった。

図7 ブロイラー出荷は数と鶏肉生産量の推移

●●●2004年の牛乳購入数量、前年割れ●●●

 総務省が2月8日に発表した「家計調査」によると、2004年の牛乳の1世帯当たりの購入数量は前年比1.3%減の102.32リットルとなった。これは、今夏の猛暑にもかかわらず、豆乳や茶系飲料などに押されたことが要因の一つと考えられる。

 また、平均購入価格は、193円84銭、支出金額は1万9,833円となり前年を3.0%下回った。

 一方、バターは、購入数量は509グラム(前年比2.4%)、支出金額は704円(同2.0%)と、ともに前年を上回った。

2004年家計調査(全国平均)

●●●高水準続く卵価●●●

 17年1月の全農・東京・Mサイズの価格が、206円となり、10月以降4ヵ月連で200円台を維持している。

 高値の要因は、年末需要の高まりに加え、飼育期間を延長して産卵させた鶏の更新が重なったことや寒さの影響で生産力が低下したことなどにより、供給量が拡大しなかったことなどが挙げられる。

 生産者団体は、安定的な卵価を維持するための基金を設け、基準取引価格を下回った場合に補てん金が支払われる体制を整えているが、今年度は、当初142円と設定されたものの、卵価が高水準で推移したため、7月に17円引き上げの159円と改正された。しかし、9月以降の標準取引価格は、基準取引価格を大幅に上回る高水準を維持している。

 また、高水準を維持している卵価が家計消費に与える影響をみてみると、夏以降、全国1人当たり消費量(8月〜12月分)は、前年同期に比べ6%程度、約卵1個分下回っているが、消費金額は5%程度(約11円)上回った。

図8 鶏卵の1人当たり家計消費金額・数量の前年同月差
総務省「家計調査報告」

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