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●●●平成17年畜産部門における農業産出額、1位は北海道、2位に鹿児島●●●

 農林水産省統計部は、平成18年11月1日、17年の農業産出額(市町村別推計値)を公表した。これによると畜産部門の農業産出額の第1位の都道府県は北海道で、5,018億円(全国の畜産部門合計に占める割合は18.6%)となった。続いて第2位は鹿児島県2,386億円(同8.8%)、3位宮崎県1,823億円(同6.7%)、4位岩手県1,296億円(同4.8%)、5位茨城県1,082億円(同4.0%)となった。

 第1位の北海道の畜産部門のうち最も産出額が多かったのは乳用牛で、3,415億円(農業産出額のシェア32.0%、うち生乳は2,791億円)となり、乳用牛部門の市町村別ベスト3位に道内の別海町(434億円)、中標津町(163億円)、標茶町(154億円)が入った。

 第2位の鹿児島県では、肉用牛が778億円、鶏(鶏卵、ブロイラー合計)760億円、豚755億円がほぼ同額の3本柱となっており、各畜種とも全国のトップの産出額となった。

 また、第3位の宮崎県では、鶏(鶏卵、ブロイラー合計)615億円、肉用牛574億円、豚522億円と2位の鹿児島と同様3本柱となっているが、特にブロイラーの産出額(443億円)が全国トップとなった。

 
 平成17年の農業産出額の全体を見ると、トップは北海道の10,663億円(全国シェア12.1%)だが2位は食肉の価格上昇などにより、昨年4位だった鹿児島県が4,168億円(同4.7%)で2位に躍進した。

表1 農業産出額 畜産部門における上位5県の品目構成(金額ベース)

 
●●●17年の食肉消費構成割合−加工仕向けが減少ないし停滞●●●

 農林水産省生産局畜産部食肉鶏卵課は、平成18年10月24日、平成17年次の食肉の消費構成割合をまとめた。これによると、牛肉と豚肉の家計消費割合が前年と比べて上昇する一方、その他(外食等)の割合は低下し、鶏肉については、家計消費とその他の割合が上昇し、また、加工仕向けが減少した。

 牛肉は、家計消費が36%と前年から1ポイント上昇し、その他(外食等)は54%と前年を1ポイント下回った。加工仕向け割合は前年と同ポイントとなり、その内訳を見ると、ハンバーグ・ハンバーガー、レトルト食品向けなどがわずかに前年を下回ったもののハム、ソーセージなどが前年と同水準となった結果、全体では前年並みとなった。

 豚肉は、家計消費が41%と前年を1ポイント上回り、その他が30%と1ポイント下回った。変化がみられなかった加工仕向割合の内訳は、ハム・ソーセージが前年に引き続いて0.6ポイント減少し、ハンバーグ、ハンバーガーおよび冷凍食品がそれぞれ0.2ポイント上回った。

 鶏肉は、牛豚肉とは異なり、家計消費とその他が34%、58%とそれぞれ1ポイント増加し、加工仕向けが2ポイント下回って8%となった。(図1)

 17年は食肉全般に加工仕向けの消費割合が減少ないしは停滞した。これは、加工原料となる輸入物の価格が高水準にあったことや鳥インフルエンザなどによる鶏肉の輸入量の大幅な減少の影響を受けたものと考えられる。

図1 食肉の消費構成割合の推移

資料:農林水産省食肉鶏卵課

 
●●●豚肉の加工仕向け原料、輸入物が減少●●●

 日本ハム・ソーセージ工業協同組合公表による、平成18年8月の豚肉食肉加工品仕向け肉量は、30,620トン(前年同月比8.1%減)で、うち国内物は6,179トン(同7.7%増)、輸入物24,441トン(同11.4%減)となった。

 加工仕向け豚肉は、平成7年度では約6割が輸入品で占められていたが、その後、10年間で8割に迫る勢いでシェアを伸ばしていた。しかし、16年度をピークにして、昨年から輸入物の加工品仕向け量が減少している。(図2)

 主な要因としては、主要調達先のデンマーク、カナダなどで、(1)豚肉の現地価格が堅調に推移、(2)世界各地で豚肉需要の増大、(3)ロシアが従来のブラジルから口蹄疫発生のために輸入先をEU域内にシフトさせたため域内の豚肉流通が変化−などから冷凍品の加工原料仕向け下級部位の輸入量が減少していることが挙げられる。

図2 食肉加工品仕向肉量の国内物割合

資料:日本ハム・ソーセージ工業協同組合

 
●●●鶏肉調製品、鶏肉輸入量を上回る●●●

  財務省「貿易統計」による平成18年9月の鶏肉調製品輸入量は、26,598トンと前年同月を4.2%下回ったものの、鶏肉輸入量18,344トンを大きく上回った。

 調製品の国別内訳を見ると中国14,724トン(▲4.4%)、タイ11,783トン(▲3.0%)となっている。

 鶏肉を使った業務用の唐揚げ、焼き鳥などの原料調達先が国産から輸入に変化し、さらには、現地で加工する調製品輸入にシフトしていることから、国内実需者も原料輸入から加熱加工品輸入への切り替えが進んでいることがうかがえる。

 
 鶏肉は、過剰在庫への警戒心から18年1月をピークに輸入が抑制され、徐々に在庫の積み上がりも解消されつつあるが、9月末現在の推定期末在庫は147,732トンと前年同月を依然として22.2%上回っている。

図3 鶏肉と鶏肉調整品の輸入量
資料:財務省「貿易統計」

 
●●●17年度の酪農ヘルパーの利用実態について●●●

(社)酪農ヘルパー全国協会が、酪農ヘルパーの利用実態(速報)を発表した。

 これによると、平成17年度の酪農ヘルパーの利用状況は、平均利用日数は利用農家1戸当たり17.17日となっている。前年度に比べて0.50日増となっていることから、同協会では、酪農ヘルパーの利用が定着しているとみている。(図4)

図4 酪農ヘルパーの1戸当たりの平均利用日数
資料:(社)酪農ヘルパー全国協会「酪農ヘルパーの利用実態調査」


 また、酪農ヘルパーを利用した農家のうち、61.7%が月に1日以上(年12日以上)利用しており、定期的な利用が増えてきていると思われる。

 一方、18年のヘルパー要員の状況は、ヘルパー要員数は2,604人となっており、専任ヘルパーが1,269人と前年に比べ22人の減少となっている。(表2)
なお、酪農ヘルパー利用組合数(8月1日現在)は、18年は361組合(北海道:102、都府県:259)と17年から変動はない

表2 ヘルパー要員数

注:平成18年8月1日現在


●●●鶏卵価格は需要の回復から2カ月連続で上昇●●●

   全農「畜産販売部情報」による平成18年9月の鶏卵の卸売価格(全農・東京・M)は1キログラム当たり187円となり、17年8月以降13カ月連続で前年同月を下回った卵価は18年8月以降2カ月連続で前年同月を上回った。(図5)

   一般的に夏場は鶏卵生産量が暑さのために停滞し、消費量も落ち込むことから価格が弱含み傾向となるが、冷涼な気候になると採卵鶏の飼料の摂取量も増加し、産卵率が向上し、卵重も増すことから生産量も増加する。

 さらに、9月は学校給食の再開などから需要も増すことから需給が活発になると見込まれる。

 今後、冬場に向けて、おでんやすき焼きなどの鍋物需要の高まりからボイル卵仕向けや小玉サイズを求める傾向も高まると推測されるが、今年度(4〜9月)の採卵用めすひなえ付け羽数は前年を下回る月が多いことから、S、MSサイズの小玉を産卵する採卵鶏が少ないとの見方もあり、小玉サイズの引き合いが強まることが予想されている。

図5 最近の鶏卵価格(東京/M)の推移
 
資料:全農「畜産販売部情報」

 

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