●●●17年度の牛肉生産量は前年度を下回る●●●
17年度の牛肉生産量(部分肉ベース)は、34万8千トンとなり、前年度を2.2%下回った。
米国におけるBSE発生による牛肉輸入一時停止の影響から肉牛の出荷前倒しが行われ、16年度はほぼ前年度並みとなったが、17年度はその反動などから減少傾向が続き、前年度を下回った。
●●●17年度の牛肉輸入量は5年ぶりに増加●●●
17年度の牛肉の輸入量(部分肉ベース)は、45万8千トン(前年度比1.7%増)となり、5年ぶりに前年度を上回った。
国別にみると、豪州産は40万6千トン(同1.0%減)と3年ぶりに前年度を下回ったが、前年度に引き続き、シェアは約9割となった。ニュージーランド産は4万トン(同14.2%増)と3年連続で前年度を上回った。その他(米国、カナダ、豪州、ニュージーランドを除く)メキシコやニカラグアなど中南米産を含む輸入量は、1万1千トン(同112.8%増)と大幅に増加し、シェアも前年度の1.3%から2.8%となった。(図1)
図1 牛肉の国別輸入量の推移
●●●17年度の牛肉推定出回り量は前年度比0.3%減●●●
17年度の牛肉の推定出回り量(部分肉ベース)は、80万6千トン(前年度比0.3%減)となった。
国産品は34万7千トン(同2.5%減)と前年度を下回った。輸入品は、16年度に米国産牛肉の輸入一時停止の影響を受け、大幅に減少したが、17年度は、46万トン(同1.4%増)となり、前年度を上回った。(図2)
図2 牛肉の推定出回り量の推移
●●●17年度平均豚肉卸売価格(東京・省令)は、472円と2年連続高水準●●●
18年3月の東京市場における豚枝肉の卸売価格は、1キログラム当たり430円(省令価格)となった。
これにより17年度の平均省令価格(東京)は472円となり、前年度比を0.8ポイント下回ったものの、2年連続して高水準な卸売価格となった。(図3)
この背景には、@米国産牛肉の輸入停止措置や世界的な鳥インフルエンザのまん延などで豚肉への需要が引き続き堅調であること、A肉豚の出荷頭数が、猛暑の影響などで、15年度をピークに2年連続して減少したことなどが挙げられる。
さらに、輸入品のうで、ももなどの低級部位が比較的高値で取り引きされ、これが誘因となって、国産物の「中」、「並」が前年度をやや上回った。
このように、2年連続して豚肉卸売価格が堅調に推移したことから、農業物価指数(農林水産省)の肥育豚の農家販売価格は17年度平均で、生体10キログラム当たり3,038円となり4年ぶりに3千円台となった。
図3 豚肉卸売価格の年度推移(東京・省令)
●●●鶏肉生産量、5年連続増加●●●
農林水産省食肉鶏卵課推計による17年度の鶏肉生産量(ブロイラーと成鶏肉の合計)は前年度を4.1%上回る129万3千トンとなった。
海外でのBSE、鳥インフルエンザの発生などの影響により鶏肉の需要が増したことなどから、鶏肉生産量は平成13年度以降5年連続で前年度を上回って推移している。
さらに、世界的な鳥インフルエンザの発生に終息の兆しが見えないことから、国内生産者の増羽意欲は増していると思われる。
17年食鳥流通統計(農林水産省)によると、17年のブロイラー出荷戸数は3,120戸(▲4.0%)と減少しているものの、出荷羽数は606,898千羽(3.0%)と増加しており、1戸当たりの平均出荷羽数は、195千羽と前年に比べ7%増加した。(図4)
これによると飼養規模の拡大は着実に進んでおり、特に年間出荷羽数50万羽以上の飼養者層は戸数では5%の割合ではあるが、出荷羽数のシェアの32%を占めている。
図4 鶏肉生産量と1戸当たりの平均出荷羽数
●●●17年度末の脱脂粉乳の在庫量、2年連続で前年度を下回る●●●
18年3月の脱脂粉乳の生産量は、18,607トン(前年同月比2.9%増)と前年同月を上回ったが、推定出回り量が25,000トン(同43.2%増)となった結果、17年度末在庫量(推定)は、前年度から12,700トン少ない75,300トン(同14.4%減)となり、2年連続で前年度を下回った。(図5)
17年度の推定出回り量も、202,500トン(同7.6%増)と前年度を上回ったが、これは、過剰在庫の解消のため、16年度に引き続き17年度も、生産者団体と乳業者が協力して輸入調製品から国産脱脂粉乳への代替利用や、国産脱脂粉乳の飼料用への転用促進などの在庫削減対策を実施した効果が表れたものと思われる。また、3月の推定出回り量が特に多かったのは、在庫削減の目標達成のため、上記の対策を集中的に実施したことに加え決算時期とが重なったことなどによるものと思われる。
図5 脱脂粉乳の推定期末在庫量
●●●18年度の鶏卵補てん基準価格、162円/kgに決定●●●
18年度の鶏卵補てん基準価格は、4月末、前年度を1円下回る1キログラム当たり162円と決定された。卵価基金の補てん価格は、同補てん基準価格から各月の標準取引価格を差し引いた価格に0.9を乗じた価格となる。
一方、全農「畜産販売部情報」による17年度の卵価(東京・M)は、高騰した前年度平均の205円には及ばないものの、186円と比較的堅調に推移した。これにより17年度の補てん金の交付実績は3カ月で、7月に標準取引価格160.33円で、1キログラム当たり2円、8月に同価格157.39円で同5円、1月に同価格142.03円で同18円がそれぞれ交付された。(図6)
図6 標準取引価格と補てん基準価格
●●●17年度の鶏卵の輸入量、15万トンを超える●●●
昨年の鶏卵価格高騰を反映して、17年度の鶏卵輸入量(殻付き換算)は150,960トン(前年度比12.4%増)と、2年連続して前年度を上回り、初めて15万トンを突破した。(図7)
図7 輸入国別鶏卵輸入量(殻付き換算)の推移
近年、鶏卵の輸入量は、11万トンをベースに横ばいで推移していたが、11年度以降徐々に増加している。
17年度輸入量の国別シェアをみると、米国31%、オランダ18%、ブラジル10%、カナダ9%、中国5%と続く。特に、前年度と比較して輸入量が増加したのは米国、カナダでそれぞれ109.5%、70.5%増加した。
また、主要輸出国別の輸入量の最大品目をみると、米国は全卵粉9千トン(シェア45%)、オランダは乾燥卵白2万1千トン(同81%)、カナダは乾燥卵白1万トン(シェア80%)となっている。(図8)
鶏卵の輸入量は、供給量の約5%程度ではあるが、加工用などの用途に応じた手当が可能であることや鳥インフルエンザの世界的な発生による先行き不安などから今後も輸入動向が注目される。
図8 主要国別品目別鶏卵輸入量(殻付き換算)
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