トピックス

●●●17年度子牛市場取引状況●●●

 当機構の18年3月の「月別肉用子牛取引情報」(月報)によると、17年度の全国における黒毛和種の肉用子牛取引成立頭数(雄雌合計)は361,569頭(前年度比1.0%増)と、ほぼ前年度並みとなった一方、平均取引価格(雄雌平均)は488千円/頭(同6.3%増)となり、4年連続で前年度を上回った。

 取引成立頭数の一番多い都道府県は、鹿児島県の79,575頭(前年度比0.7%増)、次いで宮崎県で61,619頭(同0.1%減)、第3位が沖縄県で25,917頭(同2.7%増)、第4位が北海道で23,923頭(同2.1%増)、第5位が岩手県で23,467頭(同0.7%減)、第6位が宮城県で18,882頭(同0.3%増)となった(図1)。


図1 黒毛和種子牛取引成立頭数(平成17年度)

 平均取引価格は、第1位が岐阜県で523千円/頭(同1.0%増)、第2位が宮崎県で517千円/頭(同9.1%増)、第3位が栃木県で511千円/頭(同4.9%増)となった。宮崎県同様に黒毛和種の主要生産地である鹿児島県も492千円/頭(同6.7%増)と高値で推移している。

 取引頭数は、15年度から2年連続で前年度を下回っていたが17年度は前年度並みとなった。一方、取引価格は、依然高値で推移している。その要因としては、国産枝肉卸売価格が堅調に推移し、肉専用種子牛の需要が高まっていることなどが挙げられる。(図2)


図2 肉用子牛の取引頭数と価格(黒毛和種)

 


●●●17年度チリ、メキシコからの豚肉輸入量はともに増加●●●

 財務省「貿易統計」による2月の豚肉輸入量は冷蔵品16,679トン(前年同月比30.3%増)、冷凍品42,353トン(同3.6%減)となった。17年4月から18年2月までの輸入量全体の累計では81万3千トン(前年同期比0.8%減)と前年度とほぼ同水準となっている。

 このような中、チリ、メキシコからの輸入量(17年4月〜18年2月)は、それぞれ5万2千トン(前年同期比33.9%増)、2万4千トン(14.3%増)となり、両国とも数量を伸ばしている。

 チリ産豚肉は、冷凍品がその大宗であるが、17年度(4月〜2月)の豚肉輸入量全体の6%、冷凍品全体の8.5%を占めている。

 わが国とチリとの間では、17年11月にEPA交渉開始が合意され、18年2月に第一回交渉が開催されたところである。チリにとって豚肉は、農林水産物中の上位の貿易品目となっており、わが国の主要な需要部位である冷凍品のロース、ばらが比較的安価に入手できることから、ここ2、3年で輸入量が急激に増加している。(図3)




図3 チリからの豚肉輸入実績

 

 一方、メキシコとの間では、平成17年4月にEPAを発効し、豚肉および豚肉調製品については、5年後の21年度に関税割当枠を3万8千トンから8万トンに拡大するとともに、関税を4.3%から2.2%などに引き下げられることとなっている。(図4)




図4 メキシコからの豚肉輸入実績

 近年の豚肉輸入量は、平成12年度の41,229トンを記録して以降4年連続で減少していたが、EPAの発効を契機に今年度は5年ぶりに前年度を上回る輸入量となる見込みである。

 メキシコ産豚肉は17年度(4〜2月)の豚肉輸入量全体の4%程度を占めており、その3割程度が冷蔵品として輸入されている。18年度の豚肉および豚肉調製品の関税割当枠は、53,000トンとなっており、今後、輸入量の増加が見込まれる。(表1)


表1 日メキシコ経済連携協定(EPA)に基づく豚肉および豚肉調製品の関税割当方法等



●●●畜産経営に起因する苦情発生状況●●●

  農林水産省は、平成16年の畜産経営に起因する苦情発生状況を発表した。

 これによると平成16年の苦情発生件数は、2,622戸(全畜産農家戸数の1.8%)で、近年ほぼ横ばいで推移している。このうち、苦情発生戸数の畜種別割合は、乳用牛34.9%(前年32.8%)、豚27.1%(同30.6%)、鶏20.6%(同17.5%)、肉用牛14.2%(同14.8%)となっている。

 苦情の内容については、悪臭関連が57.8%とトップで、次いで水質汚濁関連が27.3%となった。(表2)

表2 畜産経営に起因する苦情の内容別発生状況(平成16年度)

 

●●●17年の肉用原種鶏、種鶏の輸入量は前年を下回る●●●

 農林水産省動物検疫所の統計による肉用鶏初生ヒナの用途別国別検疫状況(速報値)によると17年の原種鶏の輸入は19万羽(前年比83.6%)、種鶏が33万羽(同59.4%)となった。

 これらの種類別国別内訳は、フランスが種鶏(雄4万羽:雌15万羽)、イギリスが原種鶏(雄6万羽:雌13万羽)、種鶏(雄1万羽、雌8万羽)、米国が種鶏(雌5万羽)となった。

 欧州では鳥インフルエンザ発生が相次ぎ、18年に入ってからも家きんなどの輸入停止措置が採られた。(イタリア:2月11日、フランス:2月24日、アルバニア:3月9日、オランダ:3月16日 ※日付は感染確認日(オランダについては発生はないが、ワクチン接種につき輸入停止))

 わが国のブロイラー生産体系は、一般的に総合商社などによるインテグレーションが進行しており、国産鶏肉の大宗が前述の輸入原種鶏、種鶏から生産されているのが現状であることから、今後の原種鶏などの安定的な導入も危惧されている。(表3)


表3 17年肉用鶏初生ひなの用途別、国別検疫状況


●●●平成17年度カレントアクセス輸入、全量を契約●●●

 当機構が国際約束に基づいて平成7年度から行っている乳製品のカレントアクセス輸入については、生乳全体の需給が緩む中、平成17年度においても農林水産大臣から通知を受けた数量(生乳換算137,202トン)の全量を契約した。

 機構は、国内の乳製品需給を勘案しつつ、平成12年度までは脱脂粉乳とホエイ・調製ホエイの2品目、13年度はそれにバターを加えた3品目、14年度から16年度にかけてはバターとホエイ・調製ホエイの2品目でカレントアクセス輸入を行ってきた。

 しかし、17年度に入ると、牛乳消費量の減少などから脱脂粉乳のみならずバターについても需給緩和に伴う在庫の積み増しが顕著となったため、国内の乳製品需要について改めて調査したところ、バターより乳脂肪含有率が低いデイリースプレッドについて一定の需要が見込まれたため、これを新たな品目として輸入することとした。その結果、17年度の品目別契約数量(製品ベース)は、バター3,551トン、脱脂粉乳4,000トン、ホエイ・調製ホエイ6,685トン、デイリースプレッド1,761トンとなった(表4)。


表4 カレントアクセス品目別数量(契約ベース)


 これにより、17年度のカレントアクセス輸入は全量が契約された。

 一方、国内生乳需給は依然として緩和状況が続いている。18年2月の生乳生産量は北海道296,296トン(前年同月比2.5%増)、都府県345,753トン(同0.7%減)、全体で642,049トン(同0.8%増)と特に大きな変動はなかったが、北海道の生産量は17年9月以降、7カ月連続で前年同月を上回っている。こうした中、ホクレンは牛乳消費量の減少に加えて3月後半はその約1割を占める学校給食用牛乳が春休みの休止時期に入るため、乳業工場の処理能力を上回る生乳約1,000トンを産業廃棄物として処理せざるを得ないと発表して各方面に衝撃を与えた。ホクレンは18年度は減産型の計画生産を行うのでこのような事態にはならないとしているが、引き続き生乳需給の緩和が懸念されている。


●●●高齢者世帯の鶏卵消費量は若齢者世帯よりも多い傾向●●●

 総務省「家計調査」(農林業家世帯を含む)による17年(1〜12月)の全国1人当たりの鶏卵消費量は、9,784グラムとなり前年の9,676グラムを1.2%上回った。

 これを世帯主の年齢階級別に1世帯当たりの年間購入量でみると、購入量が一番多かったのは、家族構成人数が最も多い40〜49歳代の世帯(世帯人数:3.89人)の36キログラム(M玉10個パックで約59パック)で、逆に購入量が少なかったのは若齢世代の29歳以下(世帯人数:3.03人)で23キログラム(同37パック)となった。

 また、1人当たりの消費数量を世帯主の年齢構成別にみると、50歳以上の世帯主では、50〜59歳で171個、60歳以上で179個と、その消費量は全世帯の平均(160個)をかなり上回っており、2、30歳代の若齢者世帯では、29歳以下で122個、30〜39歳で126個と平均を大幅に下回っていた。(図5)


図5 17年鶏卵の世帯主年齢別年間購入量

 この傾向は、5年前の平成12年の家計調査をみても同様で、1人当たりの消費量を17年と12年で比較すると、全体では6.4%減少しているものの29歳以下の世帯主の消費量は14.1%とその減少率が大きく、一方で60〜69歳は、4.7%の減少に留まっている。現在、付加価値の高いブランド鶏卵や少量パックの製品が増えているが、これらが若齢者世帯などのニーズに応えることができるかが期待されている。(表5)
※ 鶏卵1個61gで計算


表5 世帯主年齢別1人当たりの年間鶏卵消費量の推移

 

●●●平成18年4〜6月期配合飼料価格、据え置き●●●

 全農は3月20日、平成18年4〜6月期の配合飼料供給価格を、飼料原料・外国為替情勢などを踏まえ、18年1〜3月期価格を据え置くことを公表した。

<最近の原料コスト動向など>

1.飼料穀物

 トウモロコシのシカゴ定期は、米国での史上2番目の大豊作を背景に一時はブッシェル当たり200セント(3月限)台まで下落したが、(1)アルゼンチンでの生産が降雨不足により減産になる見通しであること、(2)米国での需要が旺盛との見込みがあることなどから上昇に転じ、現在は220セント台後半で推移している。

 今後は、アルゼンチンの減産を背景に輸入国が米国産の買い付けを増やしていることなどから、相場は堅調に推移するものと見込まれる。

 4〜6月期の国内トウモロコシ価格はシカゴ定期が堅調なものの、海上運賃の値下がりと円高の影響から、ほぼ前期並みの価格が見込まれる。

2.たんぱく質原料

 大豆かすのシカゴ定期は、米国産大豆の期末在庫予想が過去最大となったことから一時170ドル/ショートトン台前半まで下落したものの、(1)南米産地での乾燥天候が懸念材料となっていること、(2)春先の作付時期の天候相場を期待した投資筋の買い意欲が強いことなどから、現在は180ドル/ショートトンを下回る水準で推移している。

 4〜6月期の国内大豆かす価格は、国内大豆かす需給にひっ迫感があるものの、円高の影響により1〜3月期に対し若干の値下がりが見込まれる。

 魚粉価格は、(1)国内の魚粉生産量が引き続き低位にあること、(2)輸入魚粉も中国の需要が旺盛なため高騰していることなどから、4〜6月期の価格は1〜3月期に比較し値上がりすると見通される。

3.海上運賃

 米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、中国の旧正月前の需要が予想を下回ったため船腹需要に余剰感が生まれ相場は昨年末から下落し、現在は40ドル/トンを下回る水準となっている。

 今後は、(1)中国を中心に粗鋼生産量が増加し船腹需要が回復と予想されること、(2)南米産新穀の船積みが本格化することが見込まれることなどから、値下げ基調に底入れ感があるが、4〜6月期海上運賃は前期に比べ、値下げが見込まれる。

4.外国為替

 外国為替は1月後半以降、米国の金利引き上げが継続するとの観測が強まったため円安ドル高基調で推移したが、2月下旬以降、日銀総裁の発言を受け量的緩和政策の解除観測が強まり円高に転じ、現在は116円台で推移している。

 しかしながら、(1)米金融当局が好調な景気とインフレ懸念から追加利上げの可能性を示唆していること、(2)日銀は量的緩和政策の解除後も実質的なゼロ金利政策を続けるとの観測があることから、円高がさらに進行する情勢にはないものと予想される。

 4〜6月期の外国為替は1〜3月期に比べ、円高が見込まれる

 配合飼料価格は据え置きとなったが、配合飼料価格安定基金の補てん交付額が1〜3月期の1,350円から700円に減額の予定となっているため、生産者の実質価格は650円の値上げとなる。


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