トピックス

●●●食料品の内外価格差、初めてニューヨーク、パリを下回る●●●

 農林水産省は「東京及び海外主要5都市における食料品の小売価格調査結果」で、17年11月時点内外価格差を発表した。

 これによると東京およびニューヨーク、ロンドン、パリ、ジュネーブ、シンガポールの各都市の一般小売店舗で販売されている食品29品目(肉類、野菜、果物など)の内外価格差(東京=100)は、ジュネーブが122、ニューヨーク109、パリ105と東京より割高となった一方、ロンドンおよびシンガポールではそれぞれ83、70といずれも東京より割安であった。

 ニューヨーク、パリが東京を上回ったのは平成3年の調査開始以来、初めての結果となった。また、前年の結果と比較するとジュネーブ以外の都市では東京との格差が縮小した。

 その主な要因としては、(1)東京では、平成16年には天候不順の影響などにより生鮮野菜の価格が高かったため、食料品が著しく上昇したが、17年には野菜の価格が下がったこと、(2)ニューヨーク、ロンドンおよびシンガポールでは平成16年に比べ17年は為替レートが円安となったことが挙げられている。(図1)

図1 共通食料品(29品目)の内外価格差

資料:農林水産省
注:東京における小売価格を100とする。

 畜産物について品目別にみると、牛肉(ロース)および豚肉(肩肉)では、ジュネーブで東京より割高となっているほか、他の都市では割安となっている。鶏肉(むね肉)については、東京はシンガポール、ニューヨークに次いで3番目に安くなっている。逆にボンレスハムや牛乳では、東京が高くなっている。(表1)

表1 東京および海外主要5都市の畜産物等の小売価格(平成17年11月)




●●●牛肉の枝肉卸売価格(東京)、和牛は堅調、交雑種は低下●●●

 7月の牛肉の枝肉卸売価格(東京)をみると、去勢和牛は、A−5が2,468円/キログラム(前年同月比3.0%増)、A−3が1,960円/キログラム(同4.0%増)、乳用種肥育去勢牛は、B−3が981円/キログラム(同0.1%減)、B−2が788円/キログラム(同1.5%増)、交雑種去勢は、B−3が1,448円/キログラム(同3.8%減)、B−2が1,137円/キログラム(同12.9%減)となった。

 牛肉の枝肉卸売価格は、平成15年12月の米国のBSE発生により米国産牛肉の輸入が一時停止したことから、品薄状態が続き、全体的に高値で推移している。

 和牛については、お中元用の手当などを中心とした引き合いが強いことなどから、前年同月を上回り、堅調に推移した。しかし、高水準で推移する卸売価格の影響による消費の減少に加え、今夏は、全般的に、長梅雨などの影響から天候不順が続いたため、焼き材を中心とした需要が伸びず、乳用種肥育牛は保合、交雑種は前年同月を下回る結果となった。(図2)

図2 牛肉卸売価格の推移(東京、前年同月比)

資料:農林水産省「食肉流通統計」



●●●「黒豚」表示の検討始まる●●●

 現在、国内で生産される肉豚の7割強が白豚(三元交配豚 LW×D)などであるが、近年、肉のきめ細かさや脂の旨みから「黒豚」(バークシャー種)の生産が微増している。(図3)また、黒豚は相対取引が多く、一般的には白豚に比べキログラム当たり100〜200円高く取引されているという。

 一方で、海外からもバークシャー種由来の豚肉が輸入されていることから、その表示方法をめぐっては、ルールの明確化が迫られている。さらに食肉の表示については、消費者の関心が高まっており、従前の表示制度(JAS表示、任意表示など)だけではわかりにくいとする意見や十分な情報提供ができていないとする意見も聞かれる。

 このような情勢を受けて、(財)日本食肉消費総合センターは昨年9〜12月にかけて「豚肉の表示等に関する調査」を実施した。この調査結果によると約9割の消費者が「黒豚」を知っていたが、品種の定義については理解されておらず、販売店では、約5割の販売店が黒豚を取り扱っており、8割以上が品種の定義を理解していた。また、「黒豚」定義を国産に限るかどうかについては消費者の65.0%、販売業者の70.8%が「国産に限るべきだと思う」と答えており、その理由は消費者、販売業者ともに約半数が「国産ブランドだと思うから」と答えている。

 このような中、農林水産省は、8月31日「第1回食肉の表示に関する検討会」を開催した。この検討会では「黒豚」だけでなく併せて「和牛」表示についても検討されることとなっており、当日は、各委員からそれぞれの立場から意見が出された。今後、月1回程度検討会を開催し、年度内には方針を明らかにする予定である。

図3 肉豚の品種別飼養頭数割合の推移

資料:(社)中央畜産会「家畜改良関係資料」等
注:雑種には外国種ハイブリッド種を含まない。



●●●平成17年度学校給食用牛乳の供給実績は前年度を0.1%上回る●●●

 当機構が公表した「平成17年度学校給食用牛乳供給事業概要」によると、17年度の学校給食用牛乳供給実績数量は385,972キロリットル(前年度比0.1%増)となった。これは、牛乳生産量の10.2%を占めている。(図4)

 供給学校数(2学期)は32,975校(同1.1%減)となり、前年度を下回った。しかし、供給人員(2学期)をみると、その他校(盲学校、聾学校、養護学校)が1.3%増となったことから、全体で10,711,882人となり前年度比0.5%減となった。(図5)

 供給数量がわずかに増加した要因としては、その他校の供給人員の増加に伴う供給本数(200cc換算)の増加(同1.1%増)や、いわゆる大型容器と言われる300ccでの供給の増加(同1.1%増)などが考えられる。

 なお、全国総学校数に対する実施校の割合は、区分別にみると、小学校が95.7%、中学校が84.8%、夜間高校が86.1%、その他校が86.1%となり全体では91.9%となっている。

図4 学校給食用牛乳供給数量

資料:農畜産業振興機構「平成17年度学校給食用牛乳供給事業概況」


図5 学校給食用牛乳供給人員

資料:農畜産業振興機構「平成17年度学校給食用牛乳供給事業概況」
注:第2学期の供給人員


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