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●●●5月の牛肉需給、輸入品推定出回り量は前年同月を大幅に上回る●●●
当機構調べによる平成19年5月の牛肉推定出回り量は、輸入品が39,942トン(前年同月比19.2%増)、国産品が27,266トン(同1.0%増)となり、合わせて67,208トン(同11.1%増)と前年同月をかなりの程度上回った。輸入品の大幅な増加は、昨年5月の推定出回り量が前々年同月を17.9%下回る水準であったことに加え、豪州における生体牛出荷の増加による日本向け牛肉輸出価格の低下などにより、豪ドル高にもかかわらず豪州産牛肉の輸入量が前年同月比で増加したこと(18.8%増)がその要因として考えられる。豪州において、4月の牛肉枝肉生産量は、前年同月を6.4%上回る16万8千トンと増加するとともに4月の日本向け輸出価格は、高騰した昨年秋からポンド当たり約30USセント(キログラム当たり約82円:1USドル=124円)値下がりし、同207.8USセント(同568円)となっていた。 総務省の家計調査報告による牛肉家計消費量(全国1人当たり)を見ると、4月が前年同月比10.6%増の191グラム、5月が同4.5%増の189グラムとなり、3カ月連続で前年同月を上回った。一方、日本フードサービス協会が発表した5月の外食産業市場動向調査によると、牛丼チェーンを主とする和風ファストフードの売上高は前年同月を21.7%上回ったものの、焼き肉ファミリーレストランの売上高は、前年同月比2.0%減となり、3カ月連続で前年同月を下回っている。 図1 豪州産牛肉の輸入量と推定出回り量の推移 資料:財務省「貿易統計」 機構調べ ●●●豚肉の家計消費量は、安定的に推移●●●
平成18年度の全国1人当たりの家計における食肉消費量は牛豚鶏の合計で11.5キログラム(前年同月比1.0%増)となり、その内訳は牛肉が前年度比2.3%減の2.2キログラム、豚肉は同0.3%増の5.5キログラム、鶏肉が同4.1%増の3.8キログラムとなった。また、その構成割合は、豚48%、鶏33%、牛19%で、依然として家計での食肉消費のトップは豚肉となった。(図2) 図2 全国1人当たり家計内食肉消費量 資料:総務省「家計調査報告」 また、月別の牛肉、豚肉、鶏肉の消費量の動きを、カナダでのBSE発生前の平成15年4月の家計消費量を100(全国1人当たり豚肉412グラム、鶏298グラム、牛肉522グラム)として見ると、季節的な需要の増減はあるものの豚肉は長期にわたって毎月安定的に基準月を上回っており、19年5月は472グラムとなり、18年11月以降7カ月連続で前年同月を上回って推移している。(図3) 図3 食肉の家計消費量の推移(15年4月=100) 総務省「家計調査報告」 ●●●鶏肉の加工品仕向け肉量、国内物のシェア高まる●●●
日本ハム・ソーセージ工業協同組合の「食肉加工品等流通調査」によると平成18年度の加工品仕向肉量は、牛肉が13,180トン(0.0%)、豚肉が380,084トン(▲6.4%)、鶏肉が40,862トン(▲0.7%)となった。 図4 加工品仕向肉量の推移 ●●●全国平均乳量(ホルスタイン種)、2年ぶりに前年度を上回る●●● (社)家畜改良事業団が公表した「乳用牛群能力検定成績速報(平成18年度)」によると、18年度の牛群検定に参加しているホルスタイン種の平均乳量(305日、2回搾乳、立会)は、北海道が、前年より54キログラム増の9,143キログラム、都府県が、同65キログラム増の9,244キログラムとなり、全国では、58キログラム増の9,179キログラムとなった。17年度は14年ぶりに乳量が前年度を下回ったが、18年度は2年ぶりに前年度を上回った(図5)。しかしながら、16年度の水準には至っておらず、また18年度も引き続き生乳の生産調整が実施されていたため、検定牛頭数も前年度を下回る561,892頭(前年度比1.5%減)となった。 図5 ホルスタイン種の1頭当たり乳量 資料:(社)家畜改良事業団「乳用牛群能力検定成績速報」 注:ホルスタイン種:、305日検定2回搾乳 乳成分率(全国平均)を見ると、乳脂肪率、無脂乳固形分率ともに前年同となり、それぞれ3.95%、8.75%となった。北海道と都府県で比較すると乳脂肪率、無脂乳固形分率とも北海道が高くなっている(表1)。 表1 平均乳成分率 資料:家畜改良事業団「乳用牛群能力検定成績速報」 注:立会検定、ホルスタイン種 また、北海道酪農検査協会による18年度合乳検査成績においては、体細胞数30万の以下の比率が過去最高の98.8%となっており、北海道産生乳の乳質が着実に向上していることがうかがえる。 ●●●18年の鶏卵出荷量に占める加工用原料卵の割合は21%●●● 鶏卵流通統計による平成18年(1〜12月)の鶏卵出荷量は、2,420,485トンとなった。 このうちテーブルエッグとしての家計で消費される割合は5割程度と推計されており、残りの5割は外食、中食などの業務用、また、需給の調整役として割卵・加工され、製菓、製パン、マヨネーズなどの加工品仕向けとして消費されている。 このほど(社)日本養鶏協会が18年の「加工卵の生産と流通調査」をまとめた。この調査は、15年まで(株)全国液卵公社により調査が行われていたが、16、17年の2年間調査が中止されていたので、この2年間の年間生産量についても合わせて報告されている。 卵の加工は、原料調製としての一次加工品とこれらを使用した二次加工品に分類されるが、この調査では「一次加工品」である殻付き卵を割卵した「生液卵」「凍結卵」「乾燥卵」に分けて調査している。 18年の加工卵生産量は264,658トンで前回調査の15年263,854トンと比較すると0.3%増加となった。この間16年の加工卵生産量は264,515トン、17年は260,072トンと17年の生産量はわずかに減少したが、26万トン台を維持し、ほぼ横ばいで推移した。 なお、従来の推算を利用して加工卵の生産に利用された原料卵を殻付き換算した結果、18年は507,798トンとなり、鶏卵出荷量に占める割合は21%となり、16年以降は20%を超えて推移している。(図7) 図7 鶏卵出荷量に占める加工用原料卵割合の推移 また、加工卵の形態別生産割合は、生液卵8割、凍結卵2割で、生液卵のうち全卵、卵白、卵黄の内訳は、全卵8割、卵白1.5割、卵黄0.5割でこの割合に大きな変化は見られなかった。 さらに、18年の加工卵の販売先の状況も製菓製パン業者51%、中間業者13%、加工卵専門業者12%、食肉加工練製品業者12%、となり、前回調査(15年)と比較しても大きな変化は見られなかった。(図8) 図8 加工卵の販売先別販売量の割合 資料:H18は(社)日本養鶏協会、15,13年は(株)全国液卵公社 「加工卵の生産と流通」 ●●●配合飼料工場渡価格が高騰、平成19年
7〜9月期 配合飼料価格は約1,100円値上げ●●● 農林水産省生産局によると、4月の配合飼料工場渡価格(全畜種加重平均)はトン当たり50,463円(前年同月比21.5%高、税抜き価格)となり、前年同月を同8,919円上回る大幅な値上がりとなった。 これは、エタノール需要の拡大に伴うトウモロコシのシカゴ相場の高騰が主に影響したものであり、全農が6月20日に公表した平成19年7〜9月の配合飼料供給価格は、前期に対して全国全畜種総平均トン当たり1,100円の値上げとなった。1〜3月期の5,500円、4〜6月期の3,200円に続き、18年10〜12月期以降4期連続での値上げとなった。 全農は、今回の価格決定の背景として、直近の米国農務省(USDA)需給見通し(5月11日発表)でも依然おう盛なエタノール需要により、2007/08年度の期末在庫率の予測が7.6%(前年度比0.5ポイント減)と低いことから堅調な相場展開が見込まれることなどを挙げている。 配合飼料の主な原料であるトウモロコシは、輸入量の95%以上を米国産が占めているため、米国トウモロコシ需給に注目が集まるが、日本の米国産飼料用トウモロコシの輸入量は19年1月以降、前年同月をかなり大きく下回る水準で推移している。5月のトウモロコシ輸入量は、879,689トン(前年同月比11.3%減)となり、うち米国産輸入量は848,492トン(同14%減)となっている。 USDAによると、2006年9月〜2007年3月期における米国のトウモロコシ輸出量は3,645万9千トン(前年同期比9.0%増)と増加している中で国別では、日本向けが、956万6千トン(同9.6%減)となった。一方、トウモロコシを主食とするメキシコはシェアを伸長し、664万8千トン(同48.6%増)と前年同期に比べ大幅に増加した。この傾向は9月まで続くものと見込まれている(図9)。 図9 米国 国別トウモロコシの輸出数量
資料:USDA「Feed Outlook」 |