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●●●宮崎県で高病原性鳥インフルエンザが発生●●●
平成19年1月11日、宮崎県宮崎郡清武町の肉用種鶏場において高病原性鳥インフルエンザ(H5N1亜型)の発生が確認された。 (18日、病原性判定試験の結果、強毒タイプのウイルスであることが判明) 発生農場は、24週齢の肉用種鶏(コマーシャル鶏の親鶏)約12,000羽を飼養していたが、1月18日現在、農林水産省と宮崎県は以下の措置を講じている。 ・家畜伝染病予防法(以下「家伝法」)に基づき、当該農場の消毒および鶏の殺処分、焼却処分 ・当該発生農場の周囲10キロメートルを移動制限区域とし、清浄化が確認されるまで家きんなどの移動を禁止(半径10キロメートル以内に16農場、飼養羽数約19万4千羽) ・家畜保健衛生所による移動制限区域内の飼養農場に緊急の立入検査を実施し、異常の有無などを把握 など「高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」などに基づき必要な防疫措置が実施されている。 また、宮崎県ホームページでは防疫措置状況を日々公表しており、18日現在、移動制限区域内の農場に異常のないことを発表している。併せて、農場従業員や防疫作業従事者に対する健康診断の実施結果や「鳥インフルエンザ発生に伴う人への影響について」として「日常生活で鳥インフルエンザが人に感染することはありません。」と情報提供し、地域住民などに冷静な対応を呼びかけている。 さらに、農林水産省が家伝法の規定により各都道府県に対し報告を求めている「緊急立入検査等による飼養家きんの異常の有無の確認結果」では、16日現在対象農場8,197戸(飼養羽数1,000羽以上)で異常がないことが確認されている。 農林水産省の17年「食鳥流通統計調査」によると宮崎県のブロイラー出荷戸数は、541戸(全国第1位)出荷羽数109千トン/年で、全国の出荷羽数の18%を占める全国第2位の生産主要県である。 また、18年2月1日現在の採卵鷄の飼養戸数は84戸、種鶏を除く成鶏めす飼養羽数3,382千羽、1戸当たりの飼養羽数4万羽と比較的大型採卵養鶏場も多いことから、今後もまん延防止のために厳しい警戒体制が必要である。
肉用子牛の取引価格(当機構調べ)を見ると、平成18年11月は、雌雄平均で黒毛和種52万3千円/頭(前年同月比4.3%増)、ホルスタイン種12万1千円(同13.3%増)、交雑種(F1)25万5千円(同0.1%減)となり、黒毛和種とホルスタイン種は、13年9月のBSE発生以降、最も高い水準となった。いずれも16年以降、多少の増減を繰り返しながら、おおむね上昇傾向で推移していたが、18年は夏場にいったん下落した後、秋以降再び上昇傾向に転じている(図1)。 ホルスタイン種や交雑種の高値は、酪農家が生乳減産計画の実施下で飼養頭数を減少させているため、子牛の取引頭数が落ち込んでいることと、競合する米国産牛肉が輸入再開後も輸入数量が伸び悩み、枝肉価格の高値安定がしばらく続くと見込まれていることが、主な要因とみられる。ホルスタイン種の子牛価格は17年2月以降、22カ月連続で前年同月を上回って推移し、12万円台を超えたのは、4年2月以来14年ぶりとなった。 また黒毛和種の取引頭数はほぼ昨年と同水準で推移しているものの、枝肉価格は依然として高水準で推移していることから、16年1月以降、35カ月連続で前年同月を上回っている。
図1 肉用子牛価格の推移
18年11月の豚肉の需給状況は、生産量が前年同月とほぼ同水準の79,985トン、輸入量は、前年同月をわずかに下回る64,589トンとなった。 このような中で機構調べによる豚肉の推定期末在庫量は172,038トン(国産品17,661トン、輸入品154,377トン)となり、これは前月を約2千トン、前年同月を5万トンそれぞれ下回った。これにより消費量である推定出回り量は146,702トン(▲2.8%)となった。 13年度以降の推定期末在庫量の内訳の推移をみると、国産品は2万トンをベースに大きな変動がないのに対し、輸入品は13,14年度の14万トン台から15年度以降は16〜20万トンに増加していた。 これは、豚肉の推定期末在庫量が米国でのBSEの発生を契機に牛肉の代替需要として、特に輸入品由来の加工原料や外食向けに引き合いが強まり、輸入量が増加したことが主な要因であるが、それも平成17年7月の24万トンをピークに徐々に減少している。(図2)
図2 豚肉推定末期在庫量の推移 資料:機構調べ
生産局畜産部食肉鶏卵課推計による18年11月の鶏肉生産量は117,682トン(6.3%)となり14カ月連続で前年同月を上回った。 冷凍生肉の輸入先がブラジルに一極集中し、中国、タイからの加工品の輸入が毎月3万トンベースで輸入される中で、世界的な高病原性鳥インフルエンザの発生に終息の兆しが見えないことから国内の鶏肉生産は増産意欲が衰えず、18年度のブロイラーえ付け羽数も、5月以降前年を上回って推移している。 18年4月〜11月までの累計生産量は879千トンと前年同期の840千トンを4.5%上回って推移しておりこのまま12月〜3月にかけて同様に前年同月を上回って生産が続けば、130万トンを上回る生産量が予測される。(図3)
図3 鶏肉生産量と1戸当たりの平均出荷羽数 資料:食肉鶏卵課推計、食鳥流通統計調査 近年の鶏肉生産量は、海外の高病原性鳥インフルエンザ発生による輸入停止や大規模飼養者層の拡大を背景に年々増加しており、17年度は特に大きく増加し、前年度を5万トン上回り、過去最高の130万トンに近づく勢いであった。
生乳の減産計画が着実に実施される状況下で、生乳生産量は平成18年3月以降、9カ月連続で前年同月を下回り、11月は前年同月比4.0%減の63万8千トンとなった。これに伴い、乳製品向け処理量も昨年7月以降、前年同月を下回って推移し、11月は同8.5%減の24万9千トンとなった。 乳製品の生産量の推移を品目別に見ると、チーズ、クリームは前年同月を上回って推移し、4〜11月の累計生産量は、チーズが8万4千トン(前年同期比1.6%増)、クリームが6万2千トン(同3.7%増)となった。一方、生乳生産量の減産に加え、チーズ、クリーム向け仕向け量が増加した結果、バター、脱脂粉乳の生産量は前年をかなりの程度下回って推移している。18年4〜11月の累計生産量は、バターが4万9千トン(同7.4%減)、脱脂粉乳が11万トン(同6.3%減)となった。特に、脱脂粉乳は、在庫の減少が徐々に進んでいるものの、需要の低迷から過剰在庫が解消されたとは言い難く、大口需要者向け販売価格も平成14年4月以降値下がりが続いている。(図4) 図4 品目別乳製品生産量(対前年同月増減率)
全農は平成18年12月19日、平成19年1〜3月期の配合飼料供給価格を前期に対して全国全畜種総平均トン当たり約5,500円の大幅な値上げをすると公表した。飼料穀物の価格高騰、海上運賃の値上がりが主な要因とされている。主要原料であるトウモロコシのシカゴ定期が急騰していることに加え、豪州における干ばつの影響により小麦の国際的な需給のひっ迫が懸念されることから、穀物価格が高止まりして推移するとの見方もあり、今期の配合飼料供給価格の値上げ幅が注目されていた。 トウモロコシのシカゴ定期が高騰している主要因の一つとして、米国におけるトウモロコシの需給動向が注目されている。米国農務省(USDA)によると、2005/06穀物年度(2005年9月〜2006年8月)のトウモロコシ生産量は、過去最高を記録した前年度を5.9%下回る2億8,226万トンとなる見込みである。一方、国内向けと輸出向けを合わせた総需要量は、同5.6%増の2億8,612万トンと見込まれており、期末在庫量は同6.8%減の5,007万トンになるとの予測が示された。特に、今後、燃料用エタノール向けの需要が著しく増加するとみられ、2005/06年度は4,072万トン(同21.2%増)、2006/07年度は5,461万トン(同34.2%増)に増加すると予測されている。 全農によると、最近の原料コスト動向などの情勢は以下のとおり。 1.飼料穀物 2.たんぱく質原料 3.海上運賃 4.外国為替 配合飼料供給価格の値上げは2期連続となるが、今回の値上げ幅5,500円は、(社)全国配合飼料供給安定基金から全額補てんされ、さらに前期の補てん額1,600円のうち1,000円が継続されるため、農家の負担は実質600円増となる。 |