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●●●米国における対日輸出認定施設等の現地査察が終了●●● 厚生労働省と農林水産省は6月13日、米国における対日輸出認定施設などの現地査察(5月13〜28日)が終了し、それに伴い、今後、全箱確認検査は行わないこと、米国側は新たな対日輸出施設の認定を行うことが可能になったことを公表した。 全箱確認検査は、昨年7月の輸入手続き再開後、適合性を確認することを目的に、輸入業者の協力を得て実施されていた。 両省によると、現地査察において、月齢確認、特定危険部位(SRM)除去等の記録の検証など5項目について、対日輸出された製品に関する記録や対日輸出製品に関する現場での作業状況などを確認した結果、一部の施設にいくつかの指摘事項があったものの、いずれも対日輸出条件に影響するものではなく、米国の対日輸出プログラム順守に関して、システムとして問題はないことが確認されたとしている。 今後は、検疫所および動物検疫所において、抽出検査の実施とともに現地査察が実施されるほか、厚生労働省が輸入者に対しても輸出元への対日輸出プログラムの順守の確認を指導するなどの適切な処置が行われることとなっている。 ●●●枝肉省令価格(東京)は下落、小売価格は強保合で推移●●● 牛枝肉卸売価格(東京市場)の省令価格が下落傾向で推移している。4月の省令価格は、前年同月をかなりの程度下回るキログラム当たり1,213円(前年同月比10.7%安)となった。規格別に価格を見ると、4月は全体的に弱含みでの推移となったが、特に交雑種去勢牛の下げ幅が大きく、B-3が1,379円(同7.6%安)、B-2が1,165円(同12.2%安)となった。一方、当機構調べによる小売価格(特売価格)は強保合で推移している。POS情報による食肉小売動向を見ると、牛肉の購買量のうち約8割弱をばらが占めるが、国産牛(和牛以外)、豪州産ともに4月のばらの小売価格(特売価格)は、国産牛は100グラム当たり358円(前年同月比2.3%高)、豪州産は同194円(同2.1%高)となった(図1)。 価格の上昇は、少なからず消費にも影響を与えるものと思われるが、消費について見ると、総務省家計調査報告による平成18年度の全国1人当たりの牛肉消費量は2,192グラム(前年度比2.3%減)となり、おおむね減少傾向が続いている。夏期の需要期を前に、消費の盛り上がりが期待されているが、枝肉価格下落が小売価格にどのように影響を及ぼすかが注目される。
図1 牛肉家計消費量と牛肉小売価格の推移
資料:総務省「家計調査報告」 当機構調べ ●●●18年度の豚肉加工品仕向肉量は前年度を6.4%下回る●●● 日本ハム・ソーセージ工業協同組合の「食肉加工品等流通調査」によると平成18年度の豚肉の加工品仕向肉量は、380,083トンとなり前年度を6.4%下回った。その内訳をみると、国産物77,516トン、輸入物302,567トンとなり、前年度と比較すると国産物は4.0%上回ったものの、輸入物は8.7%下回った。豚肉の加工品仕向肉量は、年間40万トンをベースに推移していたが、加工品の原材料となるうで、ももなどの下級部位価格の上昇や、ハム、ソーセージなど調製品輸入量が増加していることなどから、ハム、ソーセージ生産量が減少傾向で推移する中で、国産物のシェアは20%程度を維持した。(図2)
図2 豚肉の加工品仕向肉量の推移
資料:日本ハム・ソーセージ工業協同組合 また、18年度の豚肉推定出回り量に占める加工仕向量の割合は、国産物が9%、輸入物が40%となり、全体では23%を占めた。 前述のとおりハム、ソーセージなど豚肉調製品の輸入量は、海外の豚肉貿易の変化や高水準な豚価を背景にして増加傾向にある。 この10年間で、ハムなどを主体としたもも調製品(統計品目番号:1602.41.090)の輸入量には変化がないものの、ソーセージ輸入量(同1601.00.000)は3倍に、ショルダーベーコンなどを含むかた調製品(同1602.42.090)は1.4倍に、バラベーコン、シーズンドポークなどを含むその他調製品(同1602.49.290)は2.3倍に増加した。(図3)
図3 豚肉調製品等の輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」 ●●●18年ブロイラー処理量は、6年連続で前年を上回る●●● 農林水産省が平成19年5月18日に公表した「食鳥流通統計調査」によると、18年の食鳥処理量は、193万8,620トンと前年を2.5%上回った。食鳥処理量の内訳をみると、大宗を占めるブロイラー(肉用鶏のうち、ふ化後3カ月未満の鶏)の処理量は175万トン(前年比2.8%増)、廃鶏(採卵鶏または種鶏を廃用した鶏)は15万6千トン(同0.8%減)、その他の肉用鶏(肉用鶏のうち、ふ化後3カ月以上の鶏、いわゆる地鶏を含む)は2万7千トン(同4.1%増)、その他の食鳥(あいがも、うずらなどの鶏以外の食鳥)は、5.5千トン(同0.8%増)となり、廃鶏を除く肉用鶏は、海外での鳥インフルエンザの発生や国産志向の高まりなどを背景に増加し、鶏肉国内生産量は6年連続で前年の生産量を上回った。(図4)
図4 食鳥処理量(生体)の種類内訳の推移
資料:農林水産省「食鳥流通統計調査」 一方、同統計によるとブロイラー飼養農家戸数は、2,583戸と前年から7戸減少し、飼養羽数は1億529万羽と前年に比べ1.5%増加した。このことから1戸当たりの飼養羽数は前年を800羽上回る40.8千羽(前年比2.0%増)となった。 飼養戸数の推移を都道府県別にみると戸数が増加したのは、大分県(45戸→62戸)、山形県(23戸→26戸)などをはじめとする11県で、反対に減少したのは、埼玉県(5戸→3戸)、愛知県(32戸→25戸)などの18県であった。 ●●●ブロイラーの1羽当たりの生体処理重量が増加傾向●●● 平成18年のブロイラー処理量175万297トンを処理羽数6億2,182万羽で除したブロイラーの平均生体処理重量は2.81キログラム(前年比0.5%増)となった。また、製品生産量(解体品)99万180トンを処理羽数で除した1羽当たり製品生産量(解体品)は1.6キログラム(同2.6%増)となった。ブロイラー1羽当たり平均生体処理重量の推移をみると一貫して増加傾向にあり、欧米型品種の普及やウインドレス鶏舎の普及による飼養環境の改善などの影響でブロイラーの大型化が進んでいることがうかがえる。 ブロイラーの大型化は欧米型品種の特徴であるむね肉の重量比率が高くなるため、脂肪分の少ないむね肉のし好が強い欧米では好まれている。 一方、卸売単価がもも肉600円、むね肉200円程度を目安とするもも肉需要の強いわが国では、むね肉重量の増加は、生産者販売価格の低下を招く要因となるというデメリットを含んでいる。
図5 ブロイラー1羽当たり平均生体処理重量の推移
資料:畜産物流通統計 ●●●18年度チーズ総消費量は、27万トン台に増加●●● 農林水産省が公表した「平成18年度チーズ需給表」によると、チーズの総消費量は、プロセスチーズが117,340トン(前年度比0.8%減)と5年ぶりに前年度を下回ったものの、直接消費用ナチュラルチーズが152,719トン(同6.4%増)と前年度をかなりの程度上回ったことから、全体では270,059トン(同3.1%増)と過去最高を記録した。総消費量に占める国産の割合は、前年度と同じ15.8%となった(巻末資料参照)。このようにチーズ消費量の増加は、直接消費用ナチュラルチーズの伸びに支えられており、直接消費用ナチュラルチーズの生産量は前年度を大幅に上回る16,240トン(前年度比16.5%増)、輸入総量は136,479トン(同5.3%増)となり、ともに増加している(図6)。
図6 直接消費用ナチュラルチーズの総消費量と輸入価格の推移
資料:農林水産省牛乳乳製品課「平成18年度チーズ需給表」 財務省「貿易統計」 現状、直接消費用ナチュラルチーズの供給量の約9割を輸入品が占めているが、国際的なチーズ需要の高まりなどを背景に、チーズの輸入価格が上昇している。18年度の輸入価格は、前年度比2.3%高のキログラム当たり399円となり、15年度と比べると約20%の値上がりとなった。 一方、国内の需要増加に対し、国内乳業メーカーは増産体制の整備を進めている。平成18年度牛乳乳製品統計(基礎調査)の結果を見ると、乳製品を製造した工場数のうちチーズを製造した工場数は、前年度より4工場増加し、139工場となった。また、大手メーカーによる新工場の建設も進んでおり、国産ナチュラルチーズの生産基盤の拡大に向けた取り組みが行われている。 ●●●18年鶏卵の農業物価指数は畜産物全体を下回る●●● 平成19年5月31日に公表された「平成18年農業物価指数(平成12年=100)」によると肥育牛や肉豚などの肉畜価格の上昇から畜産物は108.5と農産物価格指数(総合)の102.3を上回った。しかし、鶏卵(指数97.7)、生乳(同98.7)が基準年を下回ったことから農業全体の中では、上位にあった畜産物の指数は前年に比べ0.7%低下した。 鶏卵物価指数の低下は、18年の卵価が、生産量の増加などから16年以降2年連続で前年を下回って推移したことが影響しているものと思われる。 国内の採卵養鶏は、大手インテグレーター化が進み低コスト生産が可能となっているものの、生産コストの約6割を占めるのは飼料費であり、そのほとんどを輸入トウモロコシに依存している。このため、今後の飼料価格の動向は、採卵養鶏経営にのみならず畜産全体にも影響を与えることから、その対応が求められている。
図7 農業物価指数の推移−平成12年基準−
資料:農業物価指数 |