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●●●18年度の牛肉輸入量は、前年度を2.0%上回る●●●

 平成18年度の牛肉の輸入量(部分肉ベース)は、生鮮・冷蔵牛肉が223,368トン(前年度比1.6%減)となったものの、冷凍牛肉が243,177トン(同5.6%増)と前年度をやや上回り、合計では前年度を2.0%上回る467,237トンとなった。豪州産は、409,870トン(同0.9%増)となり、全体の約9割を占めた。

 豪州産牛肉の輸入については、深刻な干ばつが発生したことから、現地の供給量や価格の動向が注目されていたが、飼料価格の高騰など飼養条件の悪化から出荷が前倒しされたため取引頭数が増えたことを背景に、下半期(10〜3月)における豪州産冷凍牛肉の輸入量は、前年度を大幅に上回る103,115トン(同19.7%)となった。特に冷凍ばらは、豪州食肉家畜生産者事業団調べによる日本向け輸出指標価格(冷凍ブリスケット)が前年を上回る水準で推移したものの、24,026トン(同43.7%)と大幅に増加した(図1)。

図1 豪州産牛肉 日本向け輸出指標価格(冷凍ブリスケット)と冷凍ばら輸入量の推移


資料:豪州食肉家畜生産者事業団、機構調べ

 輸入量が前年度を上回ったことから、18年度末の牛肉の推定期末在庫数量は、輸入品が前年度を大幅に上回る66,124トン(前年度比23.4%増)となり、国産品10,282トン(同5.2%減)と合わせて、76,406トン(同18.6%増)となった。年度末の輸入品在庫量が6万トンを上回る水準になったのは、4年ぶりとなる(図2)。

図2 年度別 牛肉輸入量と期末在庫量の推移


資料:財務省「貿易統計」、機構調べ

●●●18年度の豚肉輸入量は、6年ぶりに前年度を下回る●●●

 財務省「貿易統計」による平成19年3月の豚肉輸入量は冷蔵品20,786トン(前年同月比5.4%増)、冷凍品40,268トン(同14.0%減)となった。これにより18年度の輸入量は、冷蔵品224,332トン(前年度比3.6%増)、冷凍品512,407トン(同22.7%減)、累計で736,964トン(同16.2%減)となり6年ぶりに前年度を下回った。中でも輸入量の7割を占める冷凍品の減少幅は大きかった。

 また、輸入量を国別にみると米国が261,106トン(前年度比10.5%減)、デンマークが166,515トン(同26.6%減)、カナダ155,208トン(同17.7%減)、チリ50,232トン(同12.7%減)、メキシコ41,200トン(同7.2%増)とEPAによる特恵輸入枠が設けられたメキシコを除きすべての主要国からの輸入量が減少した。

 輸入量減少の要因としては、17年度末の輸入豚肉の在庫数量が増加していたことからその調整局面に入ったことに加えて、海外の豚肉生産体制・貿易の変化などが挙げられる。

図3 国別豚肉輸入量の推移

資料:財務省「貿易統計」


●●●18年度の鶏肉調製品輸入量は、鶏肉輸入量を上回る34.6万トン●●●

 財務省「貿易統計」によると平成18年度の鶏肉調製品輸入量は345,667トンと前年度を2.4%上回った。

 調製品輸入量は、3年連続で前年を上回って推移しているものの、18年度の伸び率は鈍化した。

 18年度の国別シェアをみると中国が56%、タイが43%とほぼ二分されており、中国がタイを若干上回る傾向に大きな変化は見られていない。

 また、18年度の調製品の単価(CIF価格)は1キログラム当たり中国381円、タイ387円とほぼ横並びであり、いずれも上昇傾向にある。

 一方、18年度の鶏肉輸入量は前年度を21.6%下回る339,889トンとなり、初めて鶏肉調製品の輸入量が鶏肉輸入量上回った。

当機構が生産量、輸入量、期末在庫量から推計している鶏肉輸入品の推定出回り量も11年度の55万トンをピークに海外での高病原性鳥インフルエンザによる輸入停止措置の影響から下降傾向にあり、16年度は36万トンにまで落ち込み、18年度はそれを更に下回った。

図4 鶏肉及び調製品輸入量の推移

資料:財務省「貿易統計」

●●●18年度の脱脂粉乳生産量、前年度をかなりの程度下回る●●●

 平成19年3月の生乳生産量は、696,067トン(前年同月比1.8%減)となり、減産計画が実施された18年度の累計は、前年度を2.5%下回る8,085,830トンとなった。18年度の用途別処理量は、牛乳等向け4,617,524トン(前年度比2.5%減)、乳製品向け3,388,443トン(同2.4%減)と、ともに前年度を下回った。

 また、過剰在庫の解消が課題とされる脱脂粉乳の3月の生産量は、17,325トン(前年同月比6.9%減)となり、18年度の累計は176,931トン(前年度比6.7%減)と前年度をかなりの程度下回った。月ごとにみても、生産量はおおむね前年同月を下回って推移したが、大口需要者向販売価格を見ると、価格は弱含みで推移しており、18年度平均は、13,017円(同1.1%安)となっている(図5)。18年度末の在庫量については、年度途中に調査対象が拡大しているため、一概に比較はできないものの、17年度末の7万5千トンから7千トン減少し、6万8千トンとなった(巻末資料参照)。これは、在庫削減対策として、脱脂粉乳の輸入調製品や飼料用との置き換えなどが推進されたため、在庫量が着実に減少し、6年ぶりに7万トンを下回った。

 今後も脱脂粉乳の在庫削減対策が遂行されることや生乳需給の緩和が続くとの見通しなどから、中央酪農会議による生乳の計画生産は、昨年に引き続き減産型となることが決定している。

図5 脱脂粉乳の大口需要者向販売価格と生産量の推移


資料:農水省「牛乳乳製品統計」、農水省牛乳乳製品課調べ

●●●平成19年度の鶏卵補てん基準価格、前年を4円上回る166円/kgに決定●●●

 全国鶏卵価格安定基金と全日本卵価格安定基金は、4月末に平成19年度の卵価変動に対する差額補てん支給額の目安となる基準価格(鶏卵補てん基準価格)を1キログラム当たり166円と決定した。

 これは、前年度の価格から4円引き上げられており、今年度は同補てん基準価格から各月の標準取引価格を差し引いた価格に0.9を乗じた価格が交付されることとなる。

 基準価格が4円引き上げられたことにより補てんの範囲が拡大したことになるが、これは、輸入トウモロコシ価格の急騰による配合飼料価格の値上げが予想されることや鳥インフルエンザなどに対する防疫体制の強化などにより上昇する生産コストを考慮したものと推察される。

図6 標準取引価格と補てん基準価格

資料:(社)全国鶏卵価格安定基金

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