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●●●枝肉卸売価格は引き続き下落傾向、乳用種でマルキン補てんが発動される●●●
牛枝肉卸売価格(東京市場)の省令価格は、下落傾向が続いており、平成19年6月は7カ月連続で前年同月を下回るキログラム当たり1,151円(前年同月比3.8%安)となった。規格別の価格を見ると、特に乳用種去勢牛の下落傾向が顕著である。乳用種去勢牛の第1四半期(4−6月)の平均価格は、B−3が同927円(前年同期比13.9%安)、B−2が同779円(同16.4%安)となり、高値で推移した前年をいずれもかなり大きく下回った。 この結果、当機構が公表した肉用牛肥育経営安定対策事業に係る四半期推定所得等の算定結果によると、乳用種の四半期平均推定所得は1頭当たり22,916円となり、基準家族労働費(全国平均)の同28,455円を下回ったことから、補てん単価4,400円が交付されることとなった。 補てんが発動された主な要因としては、枝肉価格の下落のほか、第1四半期に出荷された乳用種肥育牛が導入された期間(18年1〜3月)の子牛取引価格(ホルスタイン種、雌雄平均)が前年同期を大幅に上回る11万円台(前年同期比約55%高)で推移していたことが挙げられる(図1)。ホルスタイン種の子牛取引価格は、取引頭数が前年同月を大幅に下回っていることから依然として高水準で推移する一方、枝肉卸売価格の下落傾向が続いていることなどから、今後の肥育経営の動向が注目される。 図1 乳用種去勢牛の枝肉卸売価格(東京市場)と子牛取引価格の推移
資料:農水省「食肉流通統計」 機構調べ ●●●豚の飼養頭数、4年ぶりに増加●●● 農林水産省が公表した「畜産統計」によると、平成19年2月1日現在の豚の飼養戸数は、7,550戸となり、前年に比べて250戸(前年比3.2%)減少した。(図2) 豚の飼養戸数の減少率は、他の畜種(乳用牛、肉用牛、採卵鶏)に比べ小さいが、子取り用めす豚飼養農家の小規模層(20〜29頭)の減少率は大きく107戸の減少(同18.0%)となった。 飼養頭数は、子取り用めす豚頭数が91万5千頭(同0.8%増)、種おす豚5万8千頭(同4.5%減)、肥育豚812万頭(同2.2%増)、合計で976万頭(同1.4%増)となり、合計では4年ぶりの増加となった。 また、子取り用めす豚飼養農家で100頭以上飼養している農家戸数が、全体に占める割合は3割程度であるものの、飼養頭数では8割を超える状況は続いており、繁殖農家の規模拡大は引き続き進んでいる。これにより1戸当たりの飼養頭数は1,293頭となって前年を60頭上回っており、安定した豚肉需要や堅調な枝肉価格に支えられた生産者の増頭意欲がうかがえる。 また、地域別の飼養頭数動向は、中国(同2.2%減)と沖縄(同0.6%減)で減少した以外は、すべての地方で増加しており特に北陸(同4.9%増)では大きく増加した。 県別の飼養頭数では、鹿児島県が1,385千頭でトップとなり、宮崎県(901千頭)、茨城県(627千頭)、群馬県(610千頭)、千葉県(602千頭)と続いた。 図2 豚の飼養頭数および戸数の推移
資料:農水省「畜産統計」各年ともに2月1日現在 ●●●鶏肉の在庫量、徐々に減少●●● 平成19年6月の鶏肉の需給状況は、生産量が前年同月とほぼ同水準の106,764トン、輸入量が前年同月を大幅に下回る25,422トンとなった。 このような中で当機構調べによる鶏肉の推定期末在庫量は117,685トンとなり、これは前月を約2千トン、前年同月を4万5千トンそれぞれ下回った。これにより、推定出回り量は134,447トン(前年同月比4.2%減)となった。 過去5年間の推定期末在庫の内訳の推移をみると国産品は、国産志向の強まりと、増産意欲に支えられ3万トンをベースに維持しているものの、輸入品は平成15年中頃から8万トン台に落ち込み、17年中頃から徐々に増加に転じ18年中頃には12万トン台にまで積み増しされた。これは、国内外での鳥インフルエンザ発生による鶏肉輸入動向の先行き不安から、輸入可能なブラジルからの輸入が急増したことによる。しかし、不足する輸入鶏肉を輸入鶏肉調製品に代替えし、外食や業務用原材が確保されたため、在庫調整が進み、18年8月以降は減少に転じている(図3)。 図3 鶏肉の推定期末在庫量の推移
資料:機構調べ ●●●6月の牛乳の家計消費支出額は前年同期比6.7%減●●●
図4 食料品支出金額に占める比率の推移 資料:総務省「家計調査報告」 図5 家計調査 品目別支出金額の前年同月比の推移 資料:総務省「家計調査報告」 ●●●19年上半期の鶏卵生産量、前年同期を4.8%上回る●●●
農林水産省「鶏卵流通統計」によると19年1〜6月の鶏卵生産量は、128万8千トン(前年同期比4.8%増)となり、これは前年同期の生産量を約5万トン上回る生産量であった。(図6) 鶏卵の年間生産量は、近年250万トンをベースに推移していたが、16年以降はそのベースをわずかに下回り、横ばい傾向にあったが、18年度は3年ぶりに250万トンを上回った。 図6 鶏卵生産量の推移
資料:農林水産省「鶏卵流通統計」、「畜産物流通統計」 ●●●19年の成鶏めすの飼養羽数は9年ぶりに増加●●●
農林水産省が公表した「畜産統計」によると、19年2月1日現在の採卵鶏農家戸数(種鶏のみ、成鶏めす羽数1千羽未満の飼養者は除く。)は、3,460戸となり、前年に比べて140戸(前年比3.9%)減少した。 一方、成鶏めすの飼養羽数は1億4,277万羽で前年に比べ587万1千羽(同4.3%)増加し、9年ぶりの増加となった。また、1戸当たりの成鶏めす飼養羽数は、4万1,300羽となり、前年に比べ3,300羽(同8.7%)増加した。 採卵鶏の飼養農家戸数は減っているものの、10万羽以上の成鶏めす飼養農家の、戸数は13戸(同3.6%増)増加し、同規模での飼養羽数も6,163千羽(同7.5%増)増加しており、大規模採卵養鶏の規模拡大は引き続き進んでいる。 県別の成鶏めす飼養羽数では、千葉県が9,786千羽(前年比8.6%増)でトップとなり、続いて茨城県9,504千羽(同13.2%増)、愛知県8,331千羽(同3.1%増)、鹿児島県7,798千羽(同5.4%増)となった。 また、前年に比べ増羽数の多かった県はトップが茨城県(1,993千羽)、次いで千葉県(959千羽)、岡山県(753千羽)、群馬県(520千羽)となった。その飼養規模別羽数のシェアを見ると、成鶏めすの8割以上が5万羽以上の規模で飼養されていた。(図7) 図7 増羽となった県の飼養規模別羽数シェア(19年2月1日)
資料:農林水産省「畜産統計」(平成19年2月1日現在) |