需給動向 海外 |
輸出需要に支えられる米国の豚肉産業
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2008年1〜4月の輸出量は前年同期比5割増米国農務省(USDA)によると、2008年1〜4月の豚肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前年同期比52.0%増の70万1千トンとなった。米国の豚肉輸出量は、91年以降毎年前年を上回ってきたが、本年に入ってからも毎月、前年同月を大幅に上回る勢いで拡大を続けている。 同期における主要輸出先国別の輸出量を見ると、輸出量が最大の日本向けは前年同期比14.1%増(19万4千トン)、第2位のメキシコ向けは同9.6%増(8万1千トン)となったほか、ロシア向けが同約2.5倍、中国向けが同約3.1倍、香港向けが同約8.5倍と輸出量の増加が顕著となっている。また、同期では、豚内臓肉の輸出量が前年同期比60.2%増の10万5千トンとなり、豚肉だけでなく、メキシコ、香港および中国向けを中心に豚内臓肉の輸出量も増加している。 さらに、同省海外農業局(FAS)による同期の豚肉輸出額を見ると、輸出単価は、前年同期に比べて6%程度低下したものの、輸出総額は同47.4%増の11億4,856万ドル(1,228億9,529万円:1ドル=107円)と大幅に増加している。 USDAでは、今後の豚肉輸出の動向について、米ドル安傾向や中国国内における家畜疾病の発生を背景とした中国向け輸出の増大などにより、2008年の豚肉輸出量は、前年をさらに4割近く上回る195万5千トンまで拡大するものの、2009年では、中国向け輸出の減速などにより2008年水準を7.5%下回るとの見通しを示している。 主要相手国別豚肉輸出量 カナダからの生体豚輸入は本年後半以降減速の見込み2008年1〜4月の豚肉輸入量は、前年同期比11.5%減の13万トンとなった。主要な輸入先国はカナダで、毎年総輸入量の8割程度を占めているが、同期の同国からの輸入量は、同17.5%減の9万7千トンと総輸入量の74%程度を占めるにとどまった。 一方、ほぼ100%がカナダからのものとなっている生体豚の輸入は、近年高水準で推移しており、2007年では初めて1,000万頭(前年比14.2%増)の大台を超えていた。2008年同期の同国からの生体豚輸入は、前年同期比19.6%増の366万頭と前年をさらに上回る水準で推移している。 しかし、USDAでは、カナダからの生体豚輸入は、同国における豚飼養頭数が減少傾向で推移していることから、本年下半期以降減少傾向に転じ、2008年全体では前年を5%程度上回るものの、2009年では、前年を9%程度下回る水準(960万頭)まで落ち込むものと見込んでいる。 米国内の豚肉生産は2009年以降減速の見込み米国内の豚肉の生産動向を見ると、豚と畜頭数は2008年初頭以降、毎月前年同月を1〜2割程度上回り、同年1〜5月の合計は、前年同期比11.5%増の4,894万4千頭となり、豚肉生産量は、同11.8%増の449万6千トンと昨年水準を上回る勢いで増大している。 しかし、USDAでは、今後の国内豚肉生産の見通しについては、飼料コスト高などによる養豚経営の収益性の悪化などから、繁殖雌豚飼養頭数の規模縮小の進展が予測されるとし、豚肉生産量は、2008年全体では前年を7%程度上回るものの、2009年では前年を2%程度下回るものと見込んでいる。なお、本年1〜5月の豚と畜頭数を種類別に見ると、去勢豚と肉用雌豚の合計は前年同期比11.6%増の4,727万2千頭、また、繁殖用雌豚は同11.4%増の151万頭となっている。 このように、豚肉輸出が順調に拡大する一方、2008年後半以降は、カナダからの生体豚輸入や米国内の肉豚生産の縮小が予測されていることから、中期的に見ても、米国内の豚肉生産に占める輸出向けの割合は、大幅に増加するものと考えられる。 |
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