需給動向 海外

◆米 国◆

米国農務省、2008年の牛肉輸出見通しを上方修正


◇絵でみる需給動向◇


カナダ・日本向けの増加率は鈍化も、韓国向け再開が輸出増を後押し

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が5月9日に公表した、世界の農産物需給見通しに関する報告書によると、2008年の米国の牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前年比15%増の74万6千トンと見込まれている。今回の予測値は、米韓両国政府が4月18日、米国産牛肉に対する輸入制限措置を一定の条件の下、段階的に緩和することに合意したことを初めて踏まえたことにより、従来の予測値に比べて9%(5万9千トン)程度上方修正されていることが注目される。

 なお、USDA海外農業局(FAS)が4月9日に公表した主要食肉の貿易見通しでは、2008年の牛肉輸出量は、ドル安傾向は依然として続いているものの、日本やカナダ向け輸出の増加率が前年ほど期待出来ないことを主な要因として、同局が昨年11月に公表した予測値に比べ、11%程度下方修正されていた。

 2007年の主要輸出先国別の牛肉輸出量を見ると、輸出量が最大のメキシコ向けは前年を1割強下回った(26万6千トン)ものの、カナダ向けは前年比約4割増(15万4千トン)、また、日本向けは前年の約3倍(7万2千トン)と大幅に増加した結果、全体では同25%増の64万9千トンとなっていた。

米国の牛肉需給見通し

牛肉輸入は繁殖雌牛のと畜頭数増により前年比8%減の見込み

 一方、今回のWAOB報告書によると、2008年の牛肉輸入量は、前年比8%減の127万7千トンと見込まれ、従来の予測値に比べさらに4%程度下方修正されている。同省では、今回の見込みが従来をさらに下回ると予測されることについて、繁殖雌牛のと畜頭数の増加などによる国内生産の増加をその要因としている。

 なお、2009年の牛肉生産量は、牛の飼養頭数の減少などにより、減少傾向に転じるとの見通しを示している。

 ちなみに、USDA農業統計局(NASS)によると、2007年の成牛と畜頭数は、全体で前年比2%増(3,372万頭)とされていたが、このうち、肉用繁殖雌牛は同7%増(318万頭)と、種類別に見た中でも特に高い増加率を示していた。2008年1〜4月の肉用繁殖雌牛のと畜頭数は、前年同期比8%増の112万頭と引き続き増加傾向で推移している。

生体牛輸入は前年比6%増の見込み

 FASの貿易見通しによると、2008年の生体牛輸入は、前回予測値からさらに2%程度上方修正され、前年比6%増の265万頭と引き続き高水準になるものと見込まれている。

 USDA経済調査局(ERS)によると、2007年の生体牛輸入は、メキシコからの輸入が前年比13%減(109万頭)となったものの、カナダからの輸入は前年比36%増(140万頭)と大幅に増加したとされていた。カナダからの生体牛輸入については、2007年11月19日以降、輸入可能月齢が引き上げられたが、同局によると、700ポンド(約318キログラム)以上のと畜場直行牛の輸入は、輸入規制緩和後から今年2月にかけて、前年とほぼ同水準で推移している一方、肥育素牛(400〜700ポンド(約181〜318キログラム))の輸入が昨年8月以降毎月、前年同月を大幅に上回る水準で推移しているとされている。

 一方、2008年の生体牛輸出は、メキシコ政府が昨年末、乳牛の輸入規制を緩和したことにより、全体で前年比39%増の9万頭と見込まれ、前回予測値から6割強上方修正されている。

生体牛輸出入の見通し


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