世界的な乳製品の需給のひっ迫が乳製品輸出額増加の追い風に
2007年の世界の乳製品相場は、豪州の干ばつの影響による生乳生産量の減少、ロシア・中国などの乳製品需要の増加、飼料価格の高騰などの複合要因を背景として、過去の相場動向とは大きく異なる値動きを示した。特に、夏から秋にかけてバターや脱脂粉乳などの国際価格は大きく上昇し、価格面で国際競争力が弱く輸出補助金などに頼ってきたEUの乳製品輸出に対しプラスに働く結果となった。
乳製品の域内生産が安定して推移する中、Eurostat(欧州統計局)によれば、2007年のEUの乳製品輸出量は、バターを除き前年より増加するとともに、輸出額は輸出単価の上昇により増加した。
脱脂粉乳:輸出量は2005年水準に回復、輸出額は前年比3倍超
脱脂粉乳の輸出量については、2006年は生産量の減少、輸出補助金の一時停止、域内価格の値上がりなどにより大きく減少したが、2007年は国際価格の高騰により、2005年とほぼ同水準にまで回復した。また、輸出単価は前年比49%高の1キログラム当たり3.01ユーロ(482円:1ユーロ=160円)と上昇した結果、輸出額は前年の3倍強の6億375万ユーロ(966億円)と大幅に増加した。
チーズ:生産量が安定して増加する中、輸出量も順調に増加
また、チーズの輸出量については、近年の増加傾向が2007年も継続し、前年比2%増の59万4千トンとなった。輸出単価も、同8%上昇した結果、輸出額は同10%増の24億3,145万ユーロ(3,890億円)に増加した。
バター:輸出環境の悪化に伴い輸出量は減少、輸出額は輸出単価の大幅な上昇により増加
一方、バターの輸出量は、6月に輸出補助金がそれまでの100キログラム当たり50ユーロ(8,000円)をゼロに引き下げたことや、ユーロ高などと相まって輸出環境が悪化する中、生産量は下半期に回復し前年並みの水準となったものの域内の需要は堅調であったことから、前年比15%減の約21万トンに減少した。ただし、輸出単価は国際価格の高騰により、同22%高の1キログラム当たり2.42ユーロ(387円)と大幅に上昇した結果、輸出額は同4%増の5億777万ユーロ(812億円)に増加した。
EUの乳製品の輸出の動向
EUの乳製品の生産の動向
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