需給動向 海外

◆米 国◆

2009年第1四半期から生乳生産量は減少する見込み


◇絵でみる需給動向◇


11月の生乳生産量は3年9カ月連続で前年同月を上回る(1.1%)

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が12月18日に公表した「Milk Production」によると、2008年11月の生乳生産量は3年9カ月連続で前年同月を上回る688万6千トンとなった。しかし、前年同月比の伸び率は2008年5月をピークに鈍化しており、11月は1.1%増となった。

搾乳牛飼養頭数は前年同月を0.9%上回る

 同様に、11月の搾乳牛飼養頭数は3年10カ月連続で前年同月を上回っているが、前年同月比の伸び率は2008年5月の1.5%をピークに縮小傾向で推移しており、11月は0.9%(927万6千頭)に低下している。

 搾乳牛飼養頭数においては、生乳生産者団体による牛群とう汰事業が実施されているところである。今回は、2003年の開始から数えて通算6回目、2008年では6月に行われた5回目に続いて2度目の実施となり、2008年の2回を合わせると生乳生産の削減率は過去最大のものとなる。

 今回の牛群とう汰事業では、61,078頭の搾乳牛がとう汰されることになっており、その多くは1月以降にとう汰される。これは米国の搾乳牛頭数の約0.7%に相当する。

図1 搾乳牛飼養頭数と前年同月比の推移

1頭当たり乳量は前年同月を0.2%上回る

 また、1頭当たり乳量は15カ月連続で前年同月を上回って推移しているが、前年同月比の伸び率は2008年5月の1.5%をピークに縮小しており11月は0.2%に低下している。

 現在、飼料原料価格は2008年6月のピーク時より3〜4割低下していることから、12月18日に公表されたUSDA経済調査局(ERS)の予測では、2009年の1頭当たり乳量は飼料価格の低下を背景に1%程度上昇するとしている。これに対し、全国生乳生産者連盟(NMPF)のコザック会長は、生乳価格の急落は飼料費の低下によるメリットを上回っており、増産に向かう状況ではないと述べている。

 なお、ERSの予測では、2009年の生乳生産量を前年比0.9%増とした上で、第1四半期の生乳生産量は前年同期を4.2%、第2四半期には1.2%上回るとしていたが、1月12日に公表されたUSDA世界農業観測ボード(WAOB)の予測ではこれを下方修正し、2009年の生乳生産量を前年比0.5%増の1,905億ポンド(8,641万トン)になるとしている。下方修正した理由についてWAOBは、収益性の悪化により、搾乳牛頭数の減少が加速するとともに、1頭当たり乳量の伸びも鈍化すると見込まれるためと説明している。

図2 1頭当たり乳量と前年同月比の推移
 
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