需給動向 海外

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2009年の生産者乳価は乳価高騰前の2007年の水準に接近


◇絵でみる需給動向◇


2009年2月の生産者乳価は100キログラム当たり29ユーロ台まで低下

 欧州委員会が4月23日に公表した資料によれば、EU域内の生産者乳価の加重平均値は2007年後半から2008年前半にかけての国際的な乳製品市場価格高騰の影響により大きく上昇し、2007年10月には生乳100キログラム当たり39ユーロ(約5,136円:1ユーロ=132円)台まで上昇したが、2009年2月には29ユーロ(約3,819円)台まで低下し、高騰前の2007年2月の水準(27ユーロ(約3,555円)台)に接近した。近年、EU域内の生産者乳価は、生乳生産量の増減に伴う季節変動を繰り返しながら徐々に低下しており、ここ数カ月の生産者乳価の低下は、生産者乳価の高騰という異常時から平時への移行と見ることができる。

 図2は、EU加盟国別の2008年2月と2009年2月の生産者乳価の比較を示したものである。これを見ると、地理的条件からほかの加盟国との生乳取引がほとんどないという特異な生乳市場を有するフィンランドを除き、全ての加盟国で生産者乳価が、2008年2月と比較して2009年2月は大きく低下していることが分かる。

図1 生産者乳価の推移(2000年1月〜2009年2月)
図2 EU加盟国別の生産者乳価の推移(2008年2月と2009年2月との比較)

牛乳・乳製品の小売価格は安定的に推移

 図3は生産者乳価と牛乳乳製品の小売価格の推移を示したものである。域内の生産者乳価が大きく変化している一方、牛乳・乳製品の小売価格は2008年に2割弱上昇したものの、その後比較的安定して推移していることが分かる。この背景には次の3つの要因が関係していると考えられる。

(1)乳業会社と小売業者との価格交渉

 小売業者は乳業会社との取引に際し、比較的長期にわたる契約を締結するのが通例であり、価格の改定は契約が終了するまで行われない。

(2)国際的な乳製品市場

 昨今の生産者乳価の下落は、域内の乳製品市場ではなく、国際的な乳製品市場の影響を受けたものである。

(3)小売業者の販売価格に対する方針

 最も重要な要因として挙げられるのが、小売業者の販売価格に対する方針である。小売業者は、食品の販売において季節的な農畜産物価格の変動などに応じ小売価格を変動させるよりも、価格を一定に保つことで年間を通じた需要を安定的に確保する方針を選択する傾向にある。このため、短期的に見れば、小売業者の利潤がほとんどないあるいは赤字となる場合や逆に非常に多くの利潤が得られる場合が生じることとなる。

 現在は一時的に生産者乳価の下げ幅が大きくなっているものの、上記のような過程を経て、生産者乳価の変動は一定期間経過後に域内の牛乳・乳製品小売価格に反映されることになるとみられる。

図3 EUにおける生産者乳価および牛乳・乳製品の小売価格の推移

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