2008年の牛肉輸出量は、前年比1.7%増の95万7千トン
豪州農漁林業省(DAFF)は2009年1月、2008年の牛肉輸出量を公表した。これによると、2008年の牛肉輸出量は前年比1.7%増の95万7,479トン(船積重量ベース)となり、これまで最高であった2006年の95万3,932トンを上回る過去最高を記録した。
第1四半期(2008年1〜3 月)の輸出量は前年を16%下回る水準となったが、第2四半期以降は前年実績を7%程度上回った。これは、ロシアへの輸出量が2008年4〜8月頃にかけて一時的に大きく増加したことや2008年下半期に急速に豪ドル安が進展したことなどが背景となっている。
豪州産牛肉輸出量
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ロシア、東南アジア、EU向けが増加する一方、主要3カ国向けは減少
国別では、日本向けが前年比3.6%減の36万4千トン、米国向けが同20.7%減の23万5千トン、韓国向けが同14.6%減の12万7千トンと主要3カ国向けがいずれも前年実績を下回った。日本向けについては、飼料穀物価格の上昇などを背景として2007年後半以降、フィードロット飼養頭数が減少した結果、グレインフェッド牛肉を中心として輸出量が減少したことによる。米国向けについては、特に1月〜9月の間、豪ドル高や豪州からロシア向け輸出が急増したことから、この間輸出量が大幅に減少した。また、韓国向けについては、同国内での大きな紛糾を経て、2008年7月から米国産牛肉の輸入が再開し、同市場における米国との競合が強まったことから輸出量が前年を下回った。
主要3カ国向け輸出量が前年実績を下回る一方で、それ以外の国への輸出は増加した。特にロシア向けについては、2007年の5千トンから2008年には約14倍に相当する7万2千トンに急増した。この結果、ロシア向け輸出量は、主要3カ国に次ぐ第4位となった。ただし、ロシア向けについては、2008年8月以降急速に減少しており、2008年12月の輸出量は419トンと低水準となっている。このほか、インドネシア向けは同23.3%増の3万3千トン、フィリピン向けは約4倍の1万4千トン、EU向けは約2倍の1万2千トンと増加している。なお、ロシア、東南アジア、EU向け輸出量が増加した要因としては、ブラジル産牛肉の輸出競争力が低下したためであるとされている。
ロシア向け牛肉輸出量
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飼料穀物価格高騰を反映してグレインフェッド牛肉の輸出量は減少
種類別では、グラスフェッド牛肉が前年比7.5%増の75万6千トン、グレインフェッド牛肉が同15.5%減の20万1千トンとなった。飼料穀物価格高などを反映して、グレインフェッド牛肉が減少し、グラスフェッド牛肉が増加した。この結果、2008年の輸出量に占めるグレインフェッド牛肉の比率は、21.0%と前年より4.3ポイント低下した。
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