2009/10年度の牛肉生産量は、前年度比0.8%増の見込み
豪州農業資源経済局(ABARE)は9月、農産物需給見通しを発表した。これによると、2008/09年度(7月〜6月)の牛と畜頭数は、前年度比1%減の870万頭となった。これは、ビクトリア州およびニューサウスウェールズ州の酪農地域において、2009年3月に乳価が大きく引き下げられたことにより、雌牛のと畜頭数が同3%増となったものの、北アジア、特に韓国からの牛肉需要の減少により、去勢牛のと畜頭数が同4%減となったためである。
一方、2009/10年度のと畜頭数については、南東部の少雨が予測されることから、同1.6%増の884万頭としている。牛肉生産量については、平均と畜重量はわずかに減少するものの、と畜頭数が増加するため、同0.8%増の217万トンと見込まれている。
2009/10年度の牛肉輸出量は、前年度比2.9%減の94万トンの見込み
2008/09年度の牛肉輸出量(子牛肉を含む。船積重量ベース。)は、97万トンと推計され、主要3カ国(日本、韓国、米国)向けは、前年に比べわずかに増加し76万トンであった。このほか、インドネシア向けは大幅に増加し3万8千トン(前年度比20%増)、一方、ロシア(CIS諸国)向けは、大幅に減少し3万7千トン(同19%減)であった。その結果、主要3カ国のシェアは、前年度の81%から78%に低下した。
2009/10年度の牛肉輸出量は、同2.9%減の94万トンと予測されている。これは、北アジア(日本、韓国)やロシア向け輸出減の見込みによるものである。主要3カ国向け輸出動向は下記のとおり。
(1) 日本向け:米国産牛肉との競合で、前年度比0.8%減の36万トンの見込み
2008/09年度は、豪州産グレインフェッド牛肉の出荷減少、豪ドル高、米国産牛肉との競合の強まりなどで、前年度比0.5%減の36万3千トンとなった。2009/10年度も、米国産牛肉との競合が継続することから、同0.8%減の36万トンと見込まれている。
(2) 米国向け:同国内の経産牛と畜頭数の増加により、前年度比0.7%減の28万トンの見込み
2008/09年度は、豪ドル高の緩和、高級部位から低価格部位への消費の変化などから、前年度比17.5%増の28万2千トンとなった。2009/10年度は、同0.7%減の28万トンを見込んでいる。これは、同国において乳価維持のために実施されている乳用経産牛のと畜に伴い低価格の牛肉生産量が増加し、豪州産加工用牛肉と激しく競合することが予想されるためである。
(3) 韓国向け:前年度比7.1%減の10万 5千トンの見込み
2008/09年度は、前年度比22.6%減の11万3千トンであったが、2009/10年度は同7.1%減の10万5千トンと見込まれている。これは、同国において経済が停滞する中、牛肉需要が減少している上、2008年中旬に米国産牛肉の輸入規制が緩和されたことにより、米国産牛肉の輸入が増加すると見込まれるためである。
牛肉生産量と輸出量の推移
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2009/10年度の生体牛輸出は、前年度比3%減の83万頭の見込み
2008/09年度の生体牛輸出は、インドネシアの強い需要(前年度比28%増の70万頭)に支えられ、前年度比20%増の85万6千頭であった。2009/10年度は、クイーンズランド州において牛群の再構築がゆるやかに進むことから、輸出に適した生体牛の供給が減少し同3%減の83万頭になると見込まれている。
図1 生体牛輸出頭数の推移
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