需給動向 海外

◆豪 州◆

フィードロット飼養頭数、生産コスト増により減少


◇絵でみる需給動向◇


各州の飼養頭数は前回調査比では軒並み減少

 豪州フィードロット協会(ALFA)は10月21日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と共同で四半期ごとに実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2010年9月期)を公表した。これによると、2010年9月末時点の総飼養頭数は76万6千頭と、前年同期比では3.1%増となったが、前回調査(2010年6月期)比では3.2%減となった。

表1 州別飼養頭数内訳
(単位:頭)
資料:ALFA

 州別にみると、ニューサウスウェールズ(NSW)州が、前回調査比0.6%増とわずかに増加した一方、最大の肉牛生産地であるクイーンズランド(QLD)州が同2.8%減、ビクトリア(VIC)州が同7.4%減と、各州ともに軒並み前回調査を下回った。

 ALFAは、頭数の減少について、飼料穀物および肥育素牛の価格上昇によるフィードロットの収益性低下や豪ドル高によるグレインフェッド(穀物肥育)牛肉の国際的な競争力の低下を要因としている。

 2010年7〜9月における肥育素牛価格については、春季から夏季にかけて降雨に恵まれるとの見込みから、生産者が出荷を手控えたため、前年同期比16%高で推移した。

 また、同期間における豪ドルは、前四半期に比べ、日本円に対し2%高、韓国ウォンに対し4%高といずれも上昇した。なお、豪ドルは10月中旬、変動相場制に移行した83年以降初めて、米ドルと等価水準に達している。

グレインフェッド牛肉の輸出環境は厳しいものの輸出量は増加

 MLAによると、2010年7〜9月におけるグレインフェッド牛肉輸出量は59,201トンと、豪ドル高などによる厳しい輸出環境であるにもかかわらず、前年同期比では10%増、前回調査比では20%増といずれも増加した。要因としては、グラスフェッド牛肉の供給が豪州東部における多雨の影響で滞り、ひいては輸出量が減少したこと、グレインフェッド牛肉の中でもハンバーガー向けなどに堅調な需要のあるフローズンが大幅に増加したことを挙げている。

図3 フィードロット飼養頭数などの推移
資料:ALFA

 国別では、日本向けが前年同期比10%増の43,850トンと増加する一方、韓国向けは同5%減と減少した。韓国向けの減少については、競合国である米国産牛肉の輸入量が2010年1〜7月の間で127%増加するなど、他国産牛肉のシェアが拡大していることを要因としている。

 MLAは、グレインフェッド牛肉の輸出環境について、生産コストの増加や豪ドル高の長期化により厳しさが増しているとしている。


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