農林水産省「食肉流通統計」によると、21年10月の牛枝肉卸売価格(東京市場)は、高級牛肉である去勢和牛A−5が2,144円(同7.4%安)、A−4が1,773円(同4.7%安)、交雑種去勢牛においても、B−3が1,105円(同9.6%安)、B−2が882円(同11.3%安)と軒並み前年同月を下回った。景気低迷による消費者の節約志向から高級部位を中心に買い控えが続いており、と畜頭数の増加に加えて荷動きが鈍いことが価格に反映したとみられる。
こうした中、肉用牛肥育経営安定対策事業(マルキン)および肥育牛生産者収益性低下緊急対策事業(補完マルキン)の両事業では20年度第3四半期以降肉専用種、交雑種、乳用種のすべての品種で発動しているが、21年度第2四半期(21年7〜9月)のマルキンと補完マルキンを合せた補てん単価の合計は、前期に比べいずれも増加することとなった。
品種ごとの内訳を見ると、肉専用種は5期連続で発動され前期比10,100円増の1頭当たり113,100円、交雑種では9期連続の発動となる同90,800円(前期比17,100円増)、乳用種は10期連続の発動となる50,600円(同13,200円増)となった。
生産費については、3品種とも素畜費が低下傾向にあることから前期を下回ったものの、粗収益(枝肉卸売価格)の低下が続いているため、推定所得はいずれもマイナス額が大きく、肥育経営の厳しさを裏付ける結果となった(図1)
図1 1頭当たり平均推定所得の推移
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