需給動向 海外

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豚肉の輸出補助金再導入の提案は見送りに


◇絵でみる需給動向◇


ベルギー、フランスからの提案に対しマルタ、イギリスが反対

 EU農相理事会のプレスリリースによれば、11月20日に開催された農相理事会の場で、ベルギーおよびフランス代表から、昨今の域内豚肉市場の低迷を受け、2008年8月8日より停止されている豚肉の輸出補助金について再導入が提案された。いくつかの加盟国から支持されたものの、マルタおよびイギリス代表から否定的な見解が示され、最終的には欧州委員会より、現時点では追加的な措置は必要と判断される状況にないとの見解が示され、輸出補助金の再導入は見送られた。

 11月時点の豚枝肉卸売価格は、100キログラム当たり133ユーロ(約17,556円、1ユーロ=132円)と前年同月比で10%安となっており、欧州委員会が10月時点で公表した2009年第4四半期の価格水準である139.90ユーロ(約18,467円)を下回って推移している。2008年は、輸出補助金が措置されていたこともあり域内市場が堅調であったため、2009年との単純な比較は適当ではないが、ある養豚産業関係者は、ポンド安基調によりイギリスの養豚産業は国外への輸出が比較的堅調である一方、ユーロ圏であるヨーロッパ大陸側の国々は厳しい状況にあると解説している。 

 EUの豚肉市場は夏場に高値となり冬場に底値を迎えるという季節変動があり、今後さらに卸売価格が低下するとみられる。11月20日の農相理事会の場で欧州委員会側は、「今後とも市場を注視していく。」と言及しており、輸出補助金の再導入や民間在庫補助の発動については、今後の市場動向を見てその必要性を判断することになるとみられる。
EUにおける豚枝肉卸売価格の推移

豚における新型インフルエンザウィルスの検出は消費に影響していないもよう

 イギリスの養豚産業関係者によれば、イギリス国内で新型インフルエンザ(H1N1)のウィルスが複数の豚群から検出されたものの、既に同様の事例が確認されているほかの加盟国と同様、豚肉消費への影響は現時点では確認されていないとのことである。消費者の冷静な判断により、域内豚肉市場のさらなる悪化は回避されているとみられる。


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