豪州政府は2010年1月20日、豪州産高級牛肉(穀物肥育)のEU向け輸出について、無税枠の対象として承認されたと発表した。この無税枠については、2009年8月にEUが新設(年間20,000トン)したものであるが、穀物肥育による高級牛肉に限定したものであり、その対象は米国に限られていた。豪州政府は、昨年5月にホルモン牛肉紛争に絡む米EU間の暫定合意(*)が発表されて以来、EUに対し、「新設される無税枠は、WTOルールに従っていること、すなわち、すべての国の牛肉供給者が利用できること」を求め、豪州産高級牛肉についても無税枠の対象となるよう働きかけていた。
(参考)
ホルモンを投与された肉牛から生産された牛肉の貿易をめぐる紛争に関し米国側と暫定的に合意(EU)
*http://lin.alic.go.jp/alic/week/2009/eu/eu20090507.htm
ホルモン牛肉紛争に絡む米EU間の暫定合意に主要牛肉輸出国が懸念を表明(EU)
http://lin.alic.go.jp/alic/week/2009/eu/eu20090716.htm
なお、2008/09年度(7月〜6月)のEU向け牛肉輸出量はわずか1万トン程度(牛肉輸出総量の1%程度)であり、また輸出額は、1億2800万豪ドル(牛肉輸出総額の2.5%程度)と豪州にとってEUはそれほど大きな市場ではない。また、EUの無税枠適用に係る条件(ホルモンフリー、と畜前100日間の穀物肥育、EUに承認された食肉処理施設での加工など)を満たす高級牛肉を生産、加工できる施設は限られている。しかし、豪州牛肉関係者は、豪ドル高により牛肉輸出が低迷しているこの時期に、今まで課せられていた20%の関税が一部とはいえ無税となることは明るいニュースであると歓迎しており、豪州肉牛協議会(CCA)は、「EUが課す厳しい条件に適合する高品質で衛生的かつ安全な牛肉の供給国として承認されたことは、豪州産牛肉の地位をいっそう高める。」とコメントしている。
2008/09年度国・地域別牛肉輸出量
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