需給動向 海外 |
2010年牛肉輸出、量・金額ともに前年を大幅に上回る |
2010年12月の輸出量は前年同月比31.5%増米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2010年12月の牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は前年同月比31.5%増の10万1千トンと14カ月連続で前年を上回った。通年では前年比18.9%増の104万3千トン、輸出額ベース(USDA海外農業局公表)では同32.5%増の33億9千万ドル(約2780億円:1ドル=82円)と、過去最高となった2003年の30億3千万ドル(約2485億円)を13.3%上回ることとなった。これは、米国産牛肉に対する世界的な需要の増加や、仕向け先に対する米ドル安による有利な為替環境だったことが要因とされる。 なお、USDA の予測によると、2011年の輸出量はアジア市場向けの拡大が継続するため前年を1.8%上回る106万4千トンとされる。その一方で、生産量の減少などから拡大は限定的との見方もある。
上位4カ国以外への輸出拡大が進む2010年の輸出量を仕向け先国別に見ると、全体の約66%を占める上位4カ国では、メキシコを除き前年を上回った。最大の輸出先は、昨年と同様メキシコで、前年比20.4%減の22万7千トン、2位はカナダの同7.4%増の17万7千トン、3位は日本の同27.9%増の15万9千トン、4位の韓国については口蹄疫発生に伴う需要増などにより前年から約2倍となる12万6千トンとなった。 5位は2009年以降堅調に推移する香港向けで、ブラジルからの供給減により前年比62.2%増の6万1千トン、6位は台湾向けで45.6%増の5万6千トンとなり、大幅な伸びをみせるロシアおよびエジプトについては、それぞれ同2倍の3万9千トン、同5倍の3万6千トンとなった。このほか、東南アジア(フィリピン同13.7%増、インドネシア同6倍)、中東(ドバイ同52.2%増、サウジアラビア同103.2%増)、および中米カリブ地域向け(バハマ15.7%増、ドミニカ共和国同14.0%増)が拡大した。 これまでの輸出の構造として、米国でBSEが確認された2003年までは上位4カ国が9割以上を占めていたが、BSE後は4カ国のうち日本と韓国の2カ国向け輸出が伸び悩む中、これら以外への輸出が拡大した。その結果、4カ国のシェアは2003年の92%から2010年は66%までに減少し、新興国からの需要増などにより、4カ国以外への輸出が拡大されたことが分かる。今後の輸出先動向を注視したい。
|
元のページに戻る