需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

22年度チーズ総消費量は2年連続の増加


◇絵でみる需給動向◇


 我が国のチーズの総消費量は、19年度に過去最高を記録したが、20年度は、新興国の食料需要の増加などを背景とした国際相場の上昇の影響で輸入量が落ち込み、大幅な減少に転じた。しかしながら、その後は、20年秋以降の世界的な景気後退を背景とした国際相場の値下がりにより輸入が回復し、21年度、22年度と2年連続の増加となった。

 農林水産省が発表した「平成22年度チーズ需給表」(表2)によると、チーズの総消費量は、261,433トン(前年度比3.5%増)とやや増加し、堅調なチーズ消費の回復傾向がうかがえる。総消費量の内訳を見ると、ナチュラルチーズが144,884トン(同3.2%増)、プロセスチーズが116,549トン(同3.9%増)となった。

表2 チーズ需給表
単位:トン、%

上段:数量、下段:前年度比
資料:農林水産省「生産局畜産部牛乳乳製品課調べ」
注1:国産ナチュラルチーズ生産量のうちプロセスチーズ原料用②は、在庫及び当該年に生産されたもののうち原料として使用された量である。
 2:③及び⑥の直接消費用とは、プロセスチーズ原料用以外のものを指し、業務用、その他原料用を含む値となっている。
 3:チーズ総消費量の国産割合は、ナチュラルチーズベースで推量している。

 一方、供給量を見てみると、国産ナチュラルチーズ生産量は46,242トン(同2.7%増)と6年連続の増加となり、過去最高を記録した。これは、プロセスチーズ原料用が伸びたことによるところが大きい。国産ナチュラルチーズ生産量のうち、ナチュラルチーズとしてそのまま消費されたものが19,857トン(同0.6%増)とわずかな増加にとどまった一方、プロセスチーズの原料用として消費されたものが26,385トン(同4.4%増)と伸長した。

 また、輸入ナチュラルチーズは、ナチュラルチーズとしてそのまま消費されたものが125,027トン(同3.6%増)、プロセスチーズ原料用が64,439トン(同3.5%増)と、ともに増加し、総量では189,466トン(同3.6%増)となった。

 この結果、チーズの総消費量に占める国産の割合は19.0%と前年度に比べ0.1ポイント低下することとなった。

 輸入ナチュラルチーズの動向を見てみると、キログラム当たりの輸入平均単価(CIFベース)は、20年度が542円(同19.1%高)と高騰したが、21年度は377円(同30.4%安)と大幅に下落し、22年度は404円(同7.2%高)となった。また、22年度の主要な輸入相手国については、豪州が83,303トン(同3.0%減)、ニュージーランドが51,541トン(同1.6%増)と合わせて134,844トン(同1.3%減)と全体の約7割を占めている。また、EU諸国が34,255トン(同4.8%増)、米国が15,164トン(同92%増)となっている。米国産の大幅な増加について業界関係者は、低価格のシュレッド原料用の需要が増加していると見ている。23年度4〜5月におけるナチュラルチーズの国別輸入量を見ても、米国産は前年同期比67.4%増と大幅に増加しており、今後の動向が注目される。


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