需給動向 国内 |
財務省が10月28日に公表した「貿易統計」によると、平成23年度上半期(4〜9月)の牛肉輸入量(部分肉ベース)は、生鮮・冷蔵(以下「冷蔵」という。)が前年同期比3.6%減の108,773 トン、冷凍が同2.2%増の155,139トンとなり、全体では前年度並みの264,212トン(同0.2%減)となった。これを主要な国別にみると、豪州産は、円安・豪ドル高の影響などにより、同9.3%減の167,509トンとかなりの程度減少したものの、米国産は、円高・米ドル安を背景に同37.7%増の66,599トンと大幅に増加した。この結果、総輸入量に占める割合は、豪州産が、前年同期から6.3ポイント低下の63.4%、米国産は6.9ポイント上昇の25.2%となり、米国産が全体の約4分の1を占めた(表1)。
23年度上半期におけるキログラム当たりの平均単価(CIFベース)を見ると、豪州産は、冷蔵が前年同期比3.1%高の同536円、冷凍が同4.9%高の同305円とそれぞれやや値を上げたが、米国産は、冷蔵が同6.8%安の同542円、冷凍が同8.4%安の同340円とそれぞれかなりの程度値を下げており、円高・米ドル安による米国産の価格競争力が高まっている。 さらに、主要な国ごとに、冷蔵、冷凍の内訳を見ると、豪州産は、冷蔵が前年同期比14.7%減の68,969トンと大幅に減少したが、冷凍は同5.1%減の98,308トンとやや減少した。冷凍を主要な部位ごとに見ると、「ロイン」、「カタ、うで、モモ」は、それぞれ同3.7%減の1,489トン、同24.2%減の8,237トンと前年同期を下回ったのに比べ、「バラ」は同9%増の27,887トンとかなりの程度増加している。一方、米国産は、冷蔵が同33.4%増の34,080トン、冷凍が同42.4%増の32,519トンとそれぞれ大幅に増加した。 23年度における冷蔵・冷凍牛肉の輸入見通しについて、当機構が毎月実施している主要な輸入商社からなる牛肉輸入動向検討委員会によると、上半期は、豪州産から米国産へのシフトが顕著に見られたものの、下半期(10〜3月)は、米国において牛肉価格が上昇傾向で推移していることや、冬場にかけてと畜頭数が減少することなどから、米国産への大幅なシフトは見込まれないとしている。同委員会によると、生食用牛肉の食中毒事件や放射性セシウム検出問題などにより牛肉消費が伸び悩む中、量販店では、国産・輸入を問わず、低価格商品への要望が強いとしている。しかしながら、新興国の旺盛な需要、輸入牛肉の原産地相場の上昇などにより、ユーザーの要望に見合う現品の調達は困難となっているとのことである。 |
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