需給動向 海外 |
需給の引き締まりにより、肉牛価格は上昇する見込み |
肉牛価格は前年度比6.9%高と予測豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2010年12月14日、四半期ごとに行っている農産物需給予測を公表した。これによると、2010/11年度(7〜6月)の肉牛市場取引価格(加重平均家畜市場取引価格:枝肉重量ベース)は、前年度比6.9%高の1キログラム当たり308豪セント(262円:1豪ドル=85円)と予測している。これは、同年度における牛肉生産量が同2%減の207万トンと、前年度を下回る一方、安定した国内需要が見込まれるためとしている。 一方、牛と畜頭数は同3.1%減の812万頭を予測している。前回予測に比べ40万頭程度下方修正されたことについてABARESは、NSW(ニュー・サウスウェールズ)州において干ばつ終了宣言がされるなど、北部および東部の気象条件が良好であることを要因としている。しかし2011年1月現在、クイーンズランド(QLD)州で発生した洪水により、インフラ網の寸断などの影響がでており、今後の需給動向が注目される。
牛肉輸出量、北米向けは伸び悩むも、ASEAN諸国、ロシア向けは増加2010/11年度の牛肉輸出量は、生産量の減少から前年度比2.1%減の88万トン(船積み重量ベース)と減少が見込まれる。 主要3カ国の内訳をみると、日本向けは、低調な日本経済を反映し、35万トンと前年度並みを見込んでいる。しかし、昨今の円高ドル安の基調が続けば、米国産牛肉との競合が強まり、輸出量は減少する可能性もあるとみている。 北米向けは、米ドルに対し高値で推移した豪ドルの影響を受け、同10%減の19万トンと、20万トンを切る見込みである。 韓国向けについては、米国産牛肉との競合および小売店などによる国産高級牛肉の活発な販売促進により前年度並みの12万5千トンとみている。
その他の市場ついて、ロシア向けは、需要が旺盛な中、南米からの輸入が減少するため、前年度に比べ大幅増の6万トン、ASEAN諸国向けは前年度に引き続き増加基調で推移し、同4%増の9万8千トンを予測している。 生体牛輸出は中東向けが増加の見込み 2010/11年度の生体牛輸出については、前年度比16.1%減の76万頭と大幅に減少する見込みである。これは、主要輸出先であるインドネシアが、輸入する生体牛の体重制限(350キログラム以下)を厳格化したことによるとされ、350キログラムを超える牛の一部は、今後、アセアン諸国および中東に向けられるとみられる。現地報道によると、トルコでは2010年10月頃より、酪農・繁殖用に加え、と畜・肥育用も輸入されていることから、有望な輸出先になり得るとしている。また、エジプトにおいても、輸入の増加に備え、紅海沿岸にと場の新設が進んでいるところであり、新たな市場として期待がかかる。 |
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