需給動向 海外

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10月の平均生乳価格は100キログラム当たり32.98ユーロと前月比0.2%安


◇絵でみる需給動向◇


生乳供給量は5月以降前年同月を上回って推移

 オランダの生産者団体であるLTOが公表した2010年10月におけるEU域内大手16社の生乳価格の平均値は、100キログラム当たり32.98ユーロ(約3,661円:1ユーロ=111円)と前月の値より0.2%低下した(図10)。北半球に属するEUの生乳供給量は、毎年11月に底を突くため、11月に生乳価格のピークを迎えることが通例であるが、2010年の場合は11月を待たずに9月以降に下落に転じたことになる。

図10 EUにおける生乳価格の推移
資料:LTO
  注:主要16乳業の単純平均値。

 2010年の生乳供給量は、乳製品市場のひっ迫を背景として5月以降常に前年同月の値を上回って推移するなど増産基調で推移しているところであり、10月の値は前年比4.3%増と大幅な伸びを見せている(図11)。しかしながら、脱脂粉乳の卸売価格が春以降緩やかに低落しつつあるなど域内の乳製品市場も一服した感があり、この動きが生乳価格に伝達されたと理解することができる。

図11 EU27における月別生乳供給量の推移
資料:ZMB
  注:各月の日数を365/12に補正。

10月の脱脂粉乳(飼料グレード)の卸売価格は介入買入単価の108%の水準まで低下

 このような中、10月のバター卸売価格は、介入買入単価を50%ほど(注)上回って推移しているのに対し、脱脂粉乳(飼料グレード)では介入買入単価の108%の水準まで低下した。このように脱脂粉乳の相場が低下基調で推移しているのは、国際市場の動向に加え、ドルに対するユーロの為替レートがEU側に不利に作用していることが影響しているとみられる。脱脂粉乳の介入買入在庫約10万トンについては、実質的な仕向け先が決まっていないが、欧州委員会側は市場の混乱を防止する観点から放出には慎重な姿勢を崩していない。

 春先以降良好に推移してきた域内の乳製品市場および生乳価格が上記のような転機を迎え今後どのように推移するか注目される。

(注):バターの市場価格が介入買入単価(100キログラム当たり246.39ユーロ(約27,349円)の90%を下回った場合、一定規格のバターの介入買い入れが行われる。

図12 バターおよび脱脂粉乳の介入買入単価と域内価格の推移
資料:ZMB
  注:バターはオランダのブランドバター、脱脂粉乳はドイツの飼料グレードの卸売価格をそれぞれ指標とした。

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