需給動向 国内 |
財務省が4月27日に公表した「貿易統計」によると、平成22年度の牛肉輸入量(部分肉ベース)は、生鮮・冷蔵が214,053 トン(前年度比1.8%増)、冷凍が297,187トン(同12.3%増)となり、全体では前年度を7.6%上回る511,675トンとなった。牛肉輸入量は、14年度には53万トンだったが、米国でのBSE発生に伴う輸入停止の影響から、16年度に45万トンまで落ち込み、その後、徐々に米国産が回復したものの、21年度までの伸び率は平均1〜2%台にとどまっていた。 22年度の輸入量を主要な国別に見ると、豪州産が352,248トン(同0.9%減)とわずかに下回ったが、米国産は98,594トン(同33.6%増)と大幅に増加した。この結果、総輸入量に占める割合は、豪州産が前年度から6.0ポイント低下し68.8%となったのに対し、米国産が3.8ポイント上昇の19.3%となり、輸入が再開された18年度以降順調にシェアを回復している(図1)。
主要な部位ごとに輸入国を見ると、「バラ」では、豪州産が83,167トン(同0.8%減)とわずかに下回ったが、米国産が54,476トン(同16.1%増)と大幅に増加した。また、「カタ、うで、モモ」では、豪州産は114,736トン(同5.3%減)とやや減少したが、米国産は37,319トン(同69.9%増)と「バラ」同様に大幅に増加している。こうした背景としては、豪州産牛肉の輸入コストが、肉牛の保留傾向による生体価格高、豪ドル高が相まって上昇していることから、米国産への需要が高まったことが挙げられる。 当機構が毎月実施している主要な輸入商社からなる牛肉輸入動向検討委員会によると、23年度上期(4〜9月)の牛肉輸入見通しは、米国産について、生鮮・冷蔵、冷凍ともに、さらに増えると見込む一方で、米国産も飼料価格の高騰などから生体牛価格が上昇しており、さほどの増加にはつながらないとの見方もある。また、国内においては、高級部位の需要が低迷する中、震災後の自粛ムードの影響もあって、低価格のアイテムへの需要がさらに高まると見込まれるが、新興国の旺盛な需要などから輸入牛肉の原産地相場は上昇しており、ユーザーのきめ細かなニーズに対応した輸入牛肉の調達が困難となってきている。 |
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