需給動向 海外 |
◆米 国◆
生乳生産は2012年も増加傾向が続くが、増産ペースは緩やかとなる見込み |
生乳生産量は19カ月連続で増加米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が9月19日に公表した「Milk Production」によると、2011年8月の生乳生産量は、前年同月比2.1%増の745万3千トンとなり、19カ月連続で前年水準を上回った。これは、これまで乳価が堅調であったことを背景に、酪農家が昨年後半より乳用牛飼養頭数を増やしてきたことや、1頭当たりの乳量の増加が要因である。 2012年の見込みについては、USDA経済調査局(USDA/ERS)が9月16日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、乳用牛飼養頭数は2011年を0.1%下回る9,190千頭となるも、一頭当たり乳量は同1.5%上回る9,800キログラムと見込まれ、その結果、生乳生産量は同1.4%上回る9003万8千トンと予測されている。 なお、8月の同レポートでは2012年の生乳生産量を9017万4千トンと見込んでいたことから、USDAは9月に入って0.2%下方修正したことになる。
生乳需給の緩和などにより生産者乳価は弱含みUSDAは2012年生乳生産量を下方修正した理由を明らかにしていないが、要因のひとつとして、8月中旬からのチーズの卸売価格の低下を受けて乳価が弱含んできたことが挙げられる。またUSDAは、今後も生乳生産量が増加する見込みであることなどから、2011年の第4四半期から2012年の第2四半期にかけて乳価が下落すると予測している。 生産コストは2008年9月以降、最高値を記録乳価が弱含む一方で、生産コストは増加傾向にある。USDA/ERSが毎月発表している生産コストの推計値を見ると、2011年8月の生産コストは生乳100ポンド当たり24.64ドル(キログラム当たり42円:1ドル=78円)となり、2008年9月以降最高値を記録した。生産コストの増加の主因は、とうもろこしや乾牧草の価格上昇による飼料費の増加、石油価格の上昇による運営費の増加などが考えられ、生産コストは前月比0.5%増、運営費のうち飼料費は同0.6%増となった。 また、酪農家の収益性(乳価から飼料費を控除した金額)を見ると、乳価が弱含む傾向にある一方、酪農家の生産コストは増加傾向にあることから、7月をピークに低下傾向にあり、この様な状況が改善されなければ、今後の増産傾向はペースダウンするものと推測される。
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