需給動向 海外

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2010年の生乳価格、前年比15.1%高の31.5ユーロ


◇絵でみる需給動向◇


 オランダの生産者団体であるLTOは7月、2010年の域内主要乳業17社の生乳価格を公表した。これによると、17社の平均価格は、前年比4.1ユーロ高(15.1%高)の100キログラム当たり31.5ユーロ(約3,528円:1ユーロ=112円)と、かなり大きく上昇した。

 最も生乳価格が高かったハメーンリンナン社(フィンランド)および2位のグラナロロ社(イタリア)は前年順位と変らなかったが、前年3位であったソディアルユニオン社(フランス)は9位へ、前年8位であったアーラフーズ社(デンマーク)が3位へと入れ替わった。

 上昇率についてみると、最も上昇率が高かったのはDOCカース社(オランダ)で、前年比38.1%高の32.41ユーロ(約3,630円)と大幅に上昇した。次いでグランビア社(アイルランド)が同31.1%高の29.72ユーロ(約3,329円)、ノルドミルヒ社(ドイツ)が29.7%高の30.39ユーロ(約3,404円)と続いている。なお、生乳価格が17社のうち前年を下回ったのは生乳価格が最も高いハメーンリンナン社(フィンランド)(同1.2%安)のみであった。

表8 2010年 EU主要乳業17社の生乳価格
単位:ユーロ/100kg
資料:LTO

低迷した2009年から大幅に回復

 2010年における乳価の大幅上昇は、乳製品需要が内外とも旺盛であったことによる。欧州の生乳価格は2006年から上昇を続け、2008年には34.96ユーロ(約3,916円)と過去最高を記録した。しかし、2009年は世界的な金融危機を受けた域内外の乳製品市場の低迷により、過去10年間で最低となる27.38ユーロ(約3,067円)と、採算ラインとされる28ユーロ(約3,136円)を下回る水準まで急落し、生乳価格の引き上げ、乳製品市場の安定を求めた生産者による過激なパフォーマンスが行われるなど「酪農危機」と呼ばれた。これに対し欧州当局は、介入買入の実施、輸出補助金の再導入などの施策を講じ、事態打開を図ったところである。(注)

 こうした対策が功を奏したこともあり、2010年3月以降は一貫して前年を上回って推移した。特に、域内の乳製品需要が回復したことや、経済発展に伴いBRICs諸国などからの需要が好調であった中、ユーロ安で推移した為替状況により欧州産乳製品の競争力が相対的に高まったことため輸出が堅調となったことなど、需要面での追い風が価格上昇をけん引したと考えられる。

図11 欧州の生乳価格の推移
資料:LTO
  注:域内主要乳業17社の平均値

 2011年も高水準で推移

 生乳価格は2011年に入っても高水準で推移しており、6月は34.63ユーロ(約3,879円)と、16カ月連続で前年同月を上回った。域内の乳製品卸売価格が、脱脂粉乳は介入買入価格の80%高、バターは同40%高と、2007年以来の記録的な水準で取引されていることに加え、域外需要も伝統的な粉乳輸入国であるアルジェリアなどからの需要が旺盛である。域内のサプライヤーは、内外の旺盛な需要に見合う生乳を確保するため、生乳価格を引き上げることで、酪農家の生産意欲を高めていると考えられる。

図12 EUにおける生乳価格の推移
資料:LTO
  注:域内主要乳業17社の平均値

(注)

「酪農危機打開に向けた 欧州委員会の施策」
〜CAPヘルスチェック合意以降の動きについて〜参照 

http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2009/dec/gravure01.htm


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