需給動向 海外 |
◆米 国◆
生乳生産は増加基調も、チーズの生産量は減少 |
チーズ生産は2年5カ月ぶりに前年割れ米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が8月18日に公表した「Milk Production」によると、2011年7月の生乳生産量は、前年同月比0.7%増の750万8千トンとなり、18カ月連続で前年水準を上回った。生乳生産については、7月の一頭当たり乳量が、コーンベルト地帯の高温の影響などにより、同0.2%減の815キログラムと、2009年2月以降初めて前年水準を下回ったものの、昨年後半より堅調な乳価を背景に、乳用牛飼養頭数が増えてきたことから、依然として増加傾向にある。 乳製品の生産量を見ると、生乳生産量の増加に伴いバターおよび脱脂粉乳の生産は増加傾向で推移する一方で、チーズは2009年3月以降初めて前年水準を下回った。NASSが9月1日に公表した「Dairy Products」によると、2011年7月の乳製品の生産量は、バターが前年同月比21.6%増の61,326トン、脱脂粉乳が同1.4%増の60,552トン、チーズが同2.0%減の389,845トンとなっている。 また、「Dairy Products」およびNASSが8月22日に公表した「Cold Storage」によると、7月の乳製品の在庫量は、バターが前年同月比3.0%減の85,157トン、脱脂粉乳が同2.3%減の87,505トンといずれも前年より減少したのに対し、チーズは同1.4%増の492,020トンと前年を上回っている。 このように、チーズの生産量の減少は、在庫の蓄積が進んだことから、乳業メーカーが生産を控えて在庫の取り崩しによる対応をとったことが要因と推察される。
チーズの国内消費は堅調に推移チーズの国内消費を見ると、おおむね前年同月を上回って推移しており、チェダーチーズを中心とするアメリカンチーズと比べ、イタリアンチーズを含むその他のチーズの消費量の伸びが大きくなっている。特に、イタリアンチーズのうち、ピザなどに使用されるモッツァレラチーズの消費は外食産業向けの需要拡大にけん引されて増加を続けている。
チーズ価格は旺盛な需要から高値で推移乳製品卸売価格の動きについて、同省農業市場流通局(USDA/AMS)が9月2日に公表した「Dairy Market News」を見ると、8月の1ポンド当たりの価格は、バターが前年同月比4.9%高の208.8セント(約162円:1ドル=78円)、脱脂粉乳が同34.8%高の151.9セント(約118円)、チェダーチーズが同19.1%高の269.8セント(約210円)となり、いずれも前年同月よりも高い水準で推移している。これは、世界的な乳製品需要の増加を受け、乳製品の国際価格が上昇している影響を受けたものと考えられる。 こうした中、シカゴ・マーカンタイル商品取引所(CME)のチーズのスポット取引価格は、8月5日に今年の最高値となる1ポンド当たり2.315ドル(約180円)を記録した後、中旬から下旬にかけて大きく値下がりし、8月中の値下がり幅は20.7%安の1ポンド当たり0.4425ドル(約34円)となった。これは、オセアニア地域の価格を上回る高値が続いたことでバイヤーが買い控えたことなどが要因として考えられる。 CMEのスポット価格は、米国のチーズ卸売価格の指標とされているため、今回の値下がりがこのまま回復しないようであれば、今後、チーズの卸売価格は弱含みで推移するものと推測される。
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