需給動向 海外 |
◆米 国◆
酪農家の収益性は回復し、生乳生産量も堅調に増加 |
搾乳牛頭数は前年比0.9%増、生乳生産量は1.1%増米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が7月19日に公表した「Milk Production」によると、搾乳牛飼養頭数は2010年9月以降前年を上回って推移し、2011年6月時点では921万頭(前年同月比0.9%増)となった。また、1頭当たり乳量は一貫して前年同月を上回っており、6月も同0.2%増の814キログラムとなった。この結果、生乳生産量は、2010年2月以降前年を上回って推移し、飼料価格の高騰にもかかわらず、6月は同1.1%増の749万7千トンとなった。 なお、2010年9月以降、生乳生産量の増加率が鈍化しているのは、乳用牛の更新が進み、生乳生産のピークに達していない搾乳牛の割合が増えたことや、飼料価格の高騰を受け生産者が飼料の給与量を調整していることなどによるものと推測される。(図6)
生乳生産量、カリフォルニア州は前年比3.4%増、ウィスコンシン州は同1.6%減地域別でみると、全米の生乳生産量の21.2%を占めるカリフォルニア州は、搾乳牛の増加および一頭当たりの乳量の増加を背景に前年同月比3.4%増の159万3千トンと順調に生産を伸ばしている。一方、13.4%を占めるウィスコンシン州は、同1.6%減の100万2千トンとなった。ウィスコンシン州の場合、四半期毎にみると、4〜6月は2004年の第4四半期以降初めての減少となったが、今回の減少は昨年が記録的な生産量であったことに起因することから、この様な状況が今後も継続するとは見込まれていない。(図7)
飼料価格は高騰するも、好調な乳価により7月の酪農家の収益性は上昇の見込み酪農家の収益性は手取り乳価と生産コストのバランスにより決定される。図8は、酪農家の収益性を図る指標として、手取り乳価から飼料費を控除した金額の推移を示したものである。収益性は2008年の世界金融危機を契機に大きく落ち込み、その後は回復傾向にあったが、トウモロコシ価格の高騰により、2010年10月をピークに低下傾向に転じた。その後は、上昇と下降を繰り返し、7月は飼料価格が高値で推移しているものの、乳価が大幅に上昇したことから収益性は改善傾向にある。
2012年の生乳生産量は、同省経済調査局(USDA/ERS)が7月18日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、飼養頭数がわずかに減少すると予想されるものの、一頭当たりの乳量の増加が見込まれることなどから、前年比1.6%増の9017万4千トンと見込まれている。 |
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