需給動向 海外

◆米 国◆

2011年の米国乳製品輸出量は過去最高を記録


◇絵でみる需給動向◇


2011年輸出量は無脂乳固形分ベースで過去最高

 アメリカ乳製品輸出協会(USDEC)によると、2011年の米国乳製品の輸出量は無脂乳固形分ベースで過去最高となる147.0万トンを記録した。これは昨年より7%、一昨年より49%増加している。また、輸出金額では昨年を約29.0%上回る48.51億ドル(3963億円、1ドル=82円)を記録した。

 この結果、2011年の米国内で生産された無脂固形分のうち、13.3%が輸出されたことになる。この割合は一昨年が9.3%、昨年が12.8%と上昇してきており、米国の乳製品需給において輸出の存在感が増してきている。

 乳製品の輸出先国としては、1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)発効以降、輸入を増やしているメキシコが第一位であり、2011年の同国への輸出金額は11.6億ドル(947億円)に達した。米国乳製品の輸出先国で10億ドルを超えたのは初めてである。他の主要輸出先地域は、東南アジア諸国(9.63億万ドル(787億円))、カナダ(4.96億ドル(405億円))、中国/香港(3.83億ドル(313億円))、中東/北アフリカ(3.75億ドル(306億円))、日本(2.77億ドル(226億円))、韓国(2.22億ドル(181億円))の順になっている。

 2011年の乳製品輸出を品目別でみれば、チーズ、脱脂粉乳(NDM/SMP)、ラクトースなどが大幅に伸びた。 チーズについては、韓国向けが口蹄疫発生に伴うチーズの無税枠の設定等により大幅に伸びたことなどから、前年比29.3%増となった。

 脱脂粉乳については、メキシコ向けが前年比51.4%増となったことが特徴である。また、メキシコ向けとほぼ同量が東南アジア諸国(フィリピン、インドネシア、ベトナム等)へ輸出された。

 ラクトースについては、ニュージーランド向けが大幅に伸びたことなどから、前年比13.5%増となった。ニュージーランドの伸びは同国の乳製品加工業者への販売増によるものであり、米国産ラクトースは脱脂粉乳等の成分調整に使用されている。

表7 2011年の米国乳製品の輸出状況
資料:USDA/ ERS, USDEC

2012年の乳製品輸出を巡る環境は厳しくなる見込み

 2012年の乳製品輸出の見通しについては、景気不安やオセアニア地域などの生乳生産の増加などから、2011年より厳しい状況になるものと考えられる。乳製品の国際価格は昨年後半から弱含んできており、その傾向は今年に入っても継続している。

 しかしながら、長期的には、世界の乳製品需要の増加に生産が追いつかないのは明らかであり、米国の酪農乳業界は、将来の発展のためには輸出促進が必要不可欠と認識している。厳しい環境の中、米国の乳製品が好調な輸出を持続できるかどうか、米国の乳製品輸出の今後を占う上で、2012年は重要な年となるであろう。

2012年はホエイ以外の乳製品価格は弱含む

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が2月15日に公表した「Livestock, Dairy, and poultry Outlook」によると、2012年の生乳生産量は同1.4%上回る9026万5千トンと予測されている。生乳生産が増加することから、2012年の乳製品価格は弱含むものとみられているが、機能性食品としての需要が強まっているホエイについては、前年を上回る価格になると見込まれている

表8 乳製品卸売価格
資料:USDA/ERS

元のページに戻る