需給動向 海外

乳価下落および飼料価格高などにより
酪農家の収益性は低迷


◆米 国◆


◇絵でみる需給動向◇


生乳生産量は28カ月連続で前年同月を上回る

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月18日に公表した「Milk Production」によると、2012年5月の搾乳牛飼養頭数と1頭当たり乳量がそれぞれ前年同月比0.8%増、同1.2%増となった結果、生乳生産量は同2.0%増の799万5千トンとなり、28カ月連続で前年を上回る水準となった。

 しかしながら、搾乳牛飼養頭数を見ると、生産者は前年までの好調な乳価を背景に前月を上回る水準で増頭したものの、年末からの乳価の下落などにより増頭意欲に弱まりが見られ、5月の飼養頭数は20カ月ぶりに前月を下回った。

酪農家の収益性は2009年水準近くまで低下

 酪農家の収益性(手取り乳価から飼料費を控除した金額)は2011年11月以降急落し、大きく落ち込んだ2009年水準近くまで下落した。2012年6月は前月からわずかに上昇したものの依然低い水準にある。これは、景気の低迷や主要な乳製品輸出地域であるオセアニア諸国での生乳増産などにより乳価の下落が続いていることに加え、飼料費が上昇していることによるものである。

図8 酪農家の収益性(乳価−飼料費)および手取り乳価の推移
資料:USDA/NASS 「Agricultural Prices 」
 注:飼料費は、乳価の算定基礎となるタンパク質含量16%飼料の価格を「Agricultural Prices 」の公表数値より試算したもの

乾牧草価格の高値維持により飼料費は上昇

 飼料費上昇の背景には乾牧草価格の高騰がある。2011年は、乾牧草収穫面積の減少や強い輸出需要により価格が上昇した。USDA/NASSが6月29日に公表した「Acreage」によると、2012年の収穫面積は2307万ヘクタールとなり、前年を3.7%上回ると見込まれるものの、過去平均(2006年〜2010年の平均。)を4.6%下回る水準となっている。アルファルファを見ると、2012年1月〜4月の輸出量は前年同期比10.1%増の58万4千トンと継続した輸出需要があることなどから、2012年のアルファルファ価格は前年を上回る水準で推移している。なお、6月の価格は前年同月比11.7%高の1トン当たり201ドル(16,080円:1米ドル=80円)となった。

図9 アルファルファ価格の推移
資料:USDA/NASS 「Agricultural Prices 」
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)は、6月18日公表の「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」で、2012年の搾乳牛飼養頭数を前年比0.4%増の923万5千頭、一頭当たりの乳量を同2.5%増の9,929キログラムと見込み、生乳生産量は同3.1%上回る9171万6千トンと予測した。本予測値は、今後の飼料価格の低下などを考慮したものであると考えられる。しかしながら、このところコーンベルト地帯は干ばつに見舞われ、単収低下などが懸念されていることから、トウモロコシ価格が再び高騰する可能性がある。乾牧草やトウモロコシの価格動向の生乳生産への影響が注目される。

元のページに戻る