需給動向 国内

◆牛 肉◆

22年度の肉用牛生産費、前年度比で子牛及び育成牛は増加、肥育牛は減少


◇絵でみる需給動向◇


 農林水産省は平成23年12月13日、平成22年度の肉用牛の生産費を公表した。1頭当たりの資本利子・地代全額算入生産費(以下「全算入生産費」という。)を見ると、子牛、乳用おす育成牛、交雑種育成牛は、前年度に比べ増加する一方で、去勢若齢肥育牛、乳用おす肥育牛、交雑種肥育牛は減少した。

 繁殖めす牛を飼養し、肉専用種の子牛を販売する経営について、子牛(肉専用種)の生産費を見ると、1頭当たりの全算入生産費は、564,273円(前年度比2.2%増)となった(図1)。主な要因は、飼養期間の延長(9.5カ月から9.9カ月へ延長)により飼料費が176,385円(同2.7%増)と増加したことなどによるものである。飼養期間の延長については、平成22年4月の宮崎県での口蹄疫発生後、九州の子牛主産地において、子牛市場の開催が遅延または自粛された影響が大きいとみられる。

図1 子牛(肉専用種)1頭あたりの生産費
資料:農林水産省「農業経営統計調査」

 繁殖めす牛1頭当たりの粗収益は、和子牛市場価格が上昇したことから405,638円(同6.1%増)となり、1頭当たりの所得では、前年度を13,932円上回る49,711円と大幅に増加した。

 また、肥育牛(去勢若齢肥育牛)の生産費を見ると、1頭当たりの全算入生産費は869,092円(同10.0%減)で、もと牛導入時期(主に20年8月〜21年7月)におけるもと畜費が433,948円(前年度比17.2%減)となったことなどにより、前年度に比べかなりの程度減少した(図2)。もと畜費の減少については、牛肉需要の減退などによる牛枝肉価格の値下がりを反映したものとみられる。

図2 去勢若齢肥育牛1頭あたりの生産費
資料:農林水産省「農業経営統計調査」

 肥育牛1頭当たりの粗収益は、去勢肥育和牛市場価格が上昇したことから前年度よりわずかに増加し、840,246円(同1.3%増)となった。こうしたことから、1頭当たりの所得は、前年度の68,360円の赤字から一転して、41,596円の黒字となった。しかし、23年度における肥育経営の収益性は、放射性セシウム問題などによる牛枝肉相場の低迷により、前年度に比べ大きく悪化するものと見込まれる。


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