需給動向 国内 |
菓子やデザート、アイスクリーム等の製造に利用されるクリームの生産量は、平成2年度以降着実に増加している。この要因としては、国が輸入品との競合度合いが小さい液状乳製品等の需要拡大へ向けた取組を総合的に推進するなど、長期的に生乳需給の構造改革に取り組んできた結果、クリームが市場に定着したことによるものと考えられる。 農林水産省「牛乳乳製品統計」によると、クリームの生産量は、22年4月以降増加傾向で推移してきたが、23年3月に一時的に前年同月を下回ったものの4月から再び増加に転じ、その後も堅調に推移している。23年12月には、前年同月比4.4%増の1万1,466トンとなり、月別生産量で初めて1万1千トンを上回った。 12月はクリームの最需要期であるが、日本スーパーマーケット協会のマンスリーレポート(1月24日公表)によると、23年のクリスマス商戦は好調で、ケーキの予約状況や手作りケーキ材料の販売動向が良かったとコメントしており、こうしたことがクリームの生産量の増加を後押ししたとみられる。また、総務省が公表した「家計調査報告」では、12月の全国1人当たりの家計消費におけるケーキの支出金額は、451円(前年同月比3.7%増)とやや増加した。
22年度以降の増加の主な要因としては、コンビニ各社がオリジナルブランド商品として展開している、ロールケーキ、エクレアなどクリームを使用したチルド生洋菓子でヒット商品が生まれ、市場を拡大しているためと考えられる。 機構が実施している「乳製品の流通実態調査」によると、21年度のクリームの推定消費量10万3,700klの用途別構成比は、菓子・デザート類が26.8%(2万7,800kl)と最も多く、次いでアイスクリーム類が20.9%(2万1,700kl)、発酵乳・乳酸菌飲料が19.5%(2万200kl)と続いている。今後公表予定の22年度以降は菓子・デザート類の構成比が増加すると思われる。 24年度の見通しとして、業界関係者によるとクリームの需要は今後も堅調に推移するという見方もあり、今後の生産量の推移が注目される。
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