9〜10月に再び小売価格を値上げ
国内の大手乳業各社は、今年度の北海道の加工原料用乳価が4%引き上げられたことに伴い、平成24年9月から10月にかけて各種バター製品の値上げに踏み切った。これにより、各社の代表的な加塩バターは、200グラム当たり10〜15円の値上げとなった。大手乳業によるバターの希望小売価格の値上げは、前回の飼料価格が高騰した平成20年以降で既に2〜3回行われており、今回の値上げも含めると、20年度当初からの上げ幅の累計は200グラム当たり50〜60円、希望小売価格は380〜385円に達している。今後、消費者の家庭用バターの購入行動にどのような変化が生じるか注目されている。
バター平均小売価格は高値維持
総務省が9月に公表した「家計調査報告」によると、平成24年8月現在の家庭用バターの平均小売価格は、100グラム当たり180.33円(前年同月比5.7%増)と、14カ月連続で前年同月を上回った。また、一世帯当たりの購入数量は37グラム(同15.6%増)と、4カ月連続で前年同月を上回っており、価格が上昇したにもかかわらず、消費者の根強いバター需要を反映するものとなっている。
バターの平均小売価格は、平成22年度には100グラム当たり170円前後であったが、原料となる加工原料用乳価の引き上げと、家庭用バターの品薄感による特売の抑制により、23年の夏頃から上昇を始めた。23年10月に大手乳業各社が200グラムにつき5円値上げしたことも重なり、同年11月と12月にはおよそ3年ぶりとなる190円台に入り、その後も180円前後で推移してきた(図8)。
図8 家庭用バターの平均小売価格と購入数量の推移
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資料:総務省「家計調査報告」 |
乳業各社は家庭用バターの在庫を厚めに確保
当機構が実施する「バターの品目別在庫量調査」によると、24年8月末時点の家庭用バターは、前年同月比31%増の1,694トンとなり、業務用冷凍バラバターに比べ高い水準となっている。これは年末のバター需要期に向けて、乳業各社が家庭用バターを安定的に供給するために、充分な在庫量を確保していることの現れと考えられる(図9)。
図9 バター在庫量(前年同月比)の推移
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資料:農畜産業振興機構「バターの品目別在庫量」 |
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