需給動向 国内

◆牛 肉◆

肉用牛飼養戸数、飼養頭数が共に減少するも、経営の大規模化は継続


◇絵でみる需給動向◇


 農林水産省が平成24年7月12日に公表した「畜産統計」(平成24年2月1日現在)によると、肉用牛の飼養戸数は、昭和32年の調査以降55年連続の減少となる6万5200戸(前年比6.3%減)で、前年に比べ4,400戸減少し、平成23年以降6%を超える減少率となっている。これは、繁殖農家においては生産者の高齢化および後継者不足、肥育農家においては景気低迷による牛枝肉価格の下落および飼料価格などの生産コスト上昇に伴う収益性の悪化など、肉用牛経営を取り巻く厳しい環境が継続していることに加え、平成22年に発生した口蹄疫の影響(宮崎県の減少率は平成23年が11.9%減で、平成24年は2.5%減と減少幅は縮小したが、口蹄疫発生前の水準へは回復していない)、東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故による被災(特に、福島県の減少率は23.4%と顕著)など、突発的な要因が加わったことが大きいと考えられる。

 肉用牛の飼養頭数は平成21年以降減少傾向が続いており、平成24年も、繁殖雌牛の減少および肉用種の出生頭数が減少したことにより、前年から4万頭の減少となる272万3千頭(前年比1.4%減)となった。内訳をみると、肉用種は183万1千頭(同2.0%減)、乳用種は89万1700頭(同0.3%減)といずれも減少している。乳用種のうち交雑種は49万9100頭(同3.3%増)と、近年の減少傾向から回復の兆しをみせている一方、ホルスタイン種他は39万2500頭(同4.7%減)と、近年の生乳生産の減少と連動する結果となった(表1、図1)。

表1 肉用牛の飼養頭数
資料:農林水産省「畜産統計」
 注:各年2月1日現在
図1 肉用牛の飼養戸数、1戸当たり飼養頭数
資料:農林水産省「畜産統計」 
 注:各年2月1日現在

大規模生産者への集約が顕著に

 1戸当たりの飼養頭数についてみると、肉用牛経営は大規模化が進展しており、平成24年においては、前年に比べ2.1頭増の41.8頭となった。規模別の飼養戸数についてみると、10頭未満の小規模生産者が依然として全体の54.8%を占めているものの、構成比では前年比で0.7ポイント減少した。一方、200頭以上の大規模生産者の割合は、前年比0.2ポイント増となる3.4%であった。

 また、規模別の飼養頭数についてみると、飼養規模200頭以上の生産者が飼養している肉用牛頭数の割合は前年比1.3ポイント増の52.5%と高く、3.4%の大規模生産者によって、全体の半数を超える肉用牛が飼養されている結果となっている。

  以上のように、肉用牛経営が全体的に縮小する中、小規模の肉用牛生産者の廃業が進むと同時に、経営の合理化、効率化を図るため、肉用牛の大規模生産者への集約が行われている(表2)。

表2 肉用牛の規模別飼養戸数、飼養頭数
資料:農林水産省「畜産統計」
 注:平成24年2月1日現在


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